23. 12歳の女心が既にわからない
elfとelvで意味が違うという話を耳にして…。
日本語だとエルフとエルヴになるのかなと思っています。
前者がFairy circleのエルフ、後者がトールキン由来のエルヴ、みたいな?
アリスちゃんは無口だった。
ツンと澄ましていた。
別にいい。それだけなら。
ちょっと虫のいどこが悪いだけかもしれないからだ。
ただ、今日はルカさんと買い物にいく日。
買い物にいく日だぞ!?
こういう日に「気分が優れませんわ」という女の子に俺は出くわしたことがないので、どうしたものかと思っていた。
ルンルンしすぎていて手に負えない事しか無かった。
それに今回は、アリスちゃんからルカさんにお願いしたようなものだしな…。
コーヒーの苦味を噛み締めていた俺。
「俺、やっぱり何かした?」
そう聞けば、
「ケン君は何もしてないですよ?」
と、静かな微笑みで返された。
陽光に照らされた金色の髪。
透き通るような白い肌。
細い指先はバターナイフと一体感をもっていて。
アルミ箔に包まれたバターを掬っては塗り。
「フワフワですー」
と食べている様が俺に感じさせるのは。
ただ。
子どもっぽさと女の子っぽさ、しか無かった。
Vaschyリュックをしょった私服JCがそこにいた。
白地のブラウスに緑と赤のチェック、ロスハンティング柄のジャンパースカートを着ている。
濃紺の靴下が膝下まであるのが正当派。
そして、金髪のエルフときた。
隣に歩いていると、何だかいいよね。
これで機嫌が良ければな…。
ちょっと天の邪鬼なところがあるから、下手に刺激しないことにしたんだ。
新御徒町の駅の前では、
「あっ、猫さんだ?」
とか言っていた。
山手線で一駅。
秋葉原の駅は今日も人が集まり出していた。
電気街口から降りると、いつものラジオ会館が見える。
タイムマシンでも突っ込まないかなと思ってしまうのは仕方のないことだと思うようにしている。
学校の話をアリスちゃんとする。
魔女っ子キャッシーとケモ耳エレナ。
信号を渡り、アリスちゃんの視線の先を追えばセガのゲームセンターで。
そう言えば、プロデューサー業お休みしていたなと思った。
この区画の近くにエルフィンローズはあって、今日もCloseを掲げていた。
カラン
「お早うございます」
そう言って店内にはいると、
「おう、来たか」
とマスターの声が聞こえた。
「お前さん、昨日はずいぶんと回ってたが、様子を見ると…大丈夫だったようだな?」
「いやいや、ダメですね。今日もアリスちゃんをご機嫌斜めにしちゃいました。」
「そりゃ、弱ったな」
ハハハッ
男二人の笑いが響いた。
「あらっ、小鳥遊さんにアリスちゃん、いらっしゃい」
ルカさんが出てきた。
余所行きの服。
白色の二段にフリルのついたトップスと赤のサーキュラースカート。
腰回りには広い腰ベルトをして、ウエストの細さを強調していました。
茶色のキタムラのショルダーバッグも似合っていた。
「足りなそうだったら連絡ちょうだい。一応諭吉が何枚か入っているけど。」
「そこまでのものは買わないわよ」
そう、ルカさんは言っていて。
「行こうか、アリスちゃん?」
「はい、行ってきますねケン君」
俺とマスターは二人を見送った。
カラン、ガチャン。
見送った彼女はご機嫌な感じで。
12歳にして女心とは不可思議なものだなと俺は思った。
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