22. 記憶にございません。
目が覚めたら身動きがとれなかった。
成る程、金縛りか。
そう、最初に俺は思ったのだが。
鼻先を掠める、金色の線。
金色の線があった。
!?
途端に目が冴えてきて、視線を移せば。
小麦色の丘が見えて、そして、ぴよっと伸びるエルフのお耳。
アリスちゃんである。
静かな息遣いで、スースーと聞こえてくる。
右半身に感じるのは、温もり。
そして、アリスちゃんの鼓動。
さらに膨らみかけたバスト。
ちょうど俺の右腕が固定されていた。
ああっ、悪くない。
そう思ったのもつかの間。
えっ?
俺もしかして、やっちゃった?
どうなるの?
事案じゃね?
事案なんじゃね?
そう思うと、思えてきてならない。
凍てつく汗が滝のように流れていた。
思い出せ、思い出すんだ、俺!
一生懸命念じて、思い出せるのは…
「おい、止めとけ。全く、言わんこっちゃない」
「ライジョーブ!これでサイロです。お金、あるよ、あい。」
マスターにお金を渡して、ふらつく足取りで、アリスちゃんと帰宅。
シャワー浴びたアリスちゃんの後に、俺も浴びて…
「大丈夫ですか?」
そう聞いてきた、アリスちゃんに「大丈夫」と言って。
ベットに倒れ込み…
「アリスちゃん…」
?
何て言ったっけ?
覚えていない。
とにかく、アリスちゃんに迷惑をかけたことだけは覚えている。
後で謝らなくては。
腕を抜こうと思って動かしてた時。
どうやらアリスちゃんに当たったらしく、
「ふぅんっ、あっ、」
等と悩ましい声が聞こえてしまった。
上体を起こすと、アリスちゃんはネグリジェのショルダーが外れかけていて。
胸元がどこか見えかくれしそうになっていた。
幾つかの疑問を抱きながら俺は、シャワーを浴びた。
シャワーから浴びると、アホ毛をピョンと立てたアリスちゃんがボーとしていた。
「おはよう、アリスちゃん」
「ケン君おはよう?」
そう言ったアリスちゃんは顔をどことなく赤らめていて…なんだ?
とにかく俺は謝った。
「アリスちゃん、昨日はその、ごめん」
「えっ、えっ、えっ、えっ、ななんですか?」
慌てている彼女を見ると…なんだ?と思うが。
「いや、飲みすぎちゃって、みっともないところ見せてさ。記憶がないんだよね。」
俺はそう言った。
「記憶がないんですか?」
と聞かれ、視線を向けられたから、
「悪い。シャワーを浴びたところまでしか記憶がないんだよ。俺、アリスちゃんに何か酷いことしてないよね?」
と俺は素直に答えた。
「…してないですよ」
と赤みの消えた顔で、キョトンと返すアリスちゃん。
「何も、されてないです。」
そう、彼女は言ったのだった。
どことなく、彼女の様子が変で。
やっぱり何かしていたのかな?とか、思い悩む俺であった。
さて、今日は何のスイーツを用意しようか。
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