表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/29

21. 6月12日、金曜日になった

7/15 20話について一部修正しました。

6月のこの時期のことは、芒種、腐草蛍となる。


そう呼ばれている。


文字通り、蛍の季節。


風流を感じる、沁々とした季節なんだろう。




そして、目の前には。


真っ赤だ。


そう、真っ赤なトマトが出始める季節でもある。


赤々とした素肌は、水を弾いて、新鮮さを主張していた。


マヨネーズと絡めると、うん。


旨いよね。




「新鮮なトマトが入ってな」


そうマスターは言ってきた。


今、エルフィンローズにいる。


先週ぶりだ。


いつもはチビチビするためだが、今日はアリスちゃんもいる。


あまり調子に乗れない。


カウンター席で足が、どことなくブラブラしているところを見ると。


まだまだ子供なんだなと、思うわけだ。


ツルゲーネフの初恋みたいに、お嬢さんに手を出す人じゃないんだ。


俺は。




「アリスちゃん、箸で大丈夫?」


「いいえ、使えるようになってきたので…」


ゲルトルードでは箸は一般的ではないんだとか。


アリスちゃんの練習に次ぐ練習でかなり上達していた。


中学生って早いね。




「マスター、いつものダブルで」


「?お前さん、娘っ子の前で飲むのかい?」


確かに。でも俺、そこまでできた人じゃないです。


「酒売る側の人間がそんなこと言っていていいのかい?」


「いや、ま、そうだな。弱ったね。」


そう言いながらシーバスが出された。


カラン


氷の音を奏でながら傾けると。


今日もいい薫りがした。


琥珀色の液体に、一週間の楽しみが凝縮されているのだ。




アリスちゃんは隣で、オレンジジュースを飲んでいる。


ルカさんが絞ってくれたオレンジジュースだ。


その場で絞ってくれたくれたやつだ。


うわ、旨そう。




手の空いたルカさんが聞いてきた。


「アリスちゃん、中学校はどう?」


「…友達もできて、楽しく行けてます。」


「それは、よかったわ。私も、4Fの専門学校部には、出入りしてるから、何か合ったら来るのよ?」


「はい。ありがとうございます。」


どことなく、同じエルフのルカさんとだと、自然に話せている感じがした。


クラスでも自然な感じで過ごせているといいのだけれど。


そんな風に、俺だって、思い悩むわけです。




「あの、ルカさん…」


「どうしたの、アリスちゃん?」


「あの耳近づけてもらっても…」


コソコソ話すアリスちゃん。


それを聞いて難しい顔をしているルカさん。


話を聞き終わった彼女は俺に言ってきた。




「小鳥遊さん、アリスちゃんを明日の朝連れてきてもらえます?」


「ええ、構いませんが…何か?」


「女の子のショッピングというやつです。」


「必要なものなら…いや、野暮というものですね。」


翌日の10時にアリスちゃんを届けて、帰りは電話してくれることになった。


図らずもルカさんの連絡先をゲットした。




この後ルカさんは別の席のオーダーに移り。


俺達は、マスターの料理を食べていた。


ショッピングは気になるけれど。


ボンヤリした頭で思うことは。


ウヰスキーはミズナラ。


それだった。


いいね!と思ったら評価・ブックマークしていただければと思います。


そうすると筆者のMotivationが更にUpします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ