12. 聖ゲルトルード学園へ行く
もう一本行くよ!
コトブキヤとか、行きたかったなー、と後ろ髪引かれながら。
神田明神通りを駅に向かって歩く俺。
「ビークッ!ビークビク…」
聞こえてくるのは、元気な電気屋さんの宣伝。
「…するんだ~、高く飛べ、高く空へ、…」
美少女ゲームのオープニング曲。
「メイド喫茶、アリステールでーす!」
よく分からないメイド喫茶の客引き。
「メイドさんいっぱいいますね?」
「アリス、あれは、そのちょっと違うんだ…」
「そうなんですか?確かに、スカートが…短いし…もしかして!?」
止めなさい!
君の想像とは違うから!
どうしてそっち方面に思考が片寄るの?
お兄さん、アリスちゃんのことが、心配だよ?
行きの時は、売られるんじゃないかとヒヤヒヤしていたアリスちゃん。
今はちょっとイキイキしていて…。
危なっかしい。
正直危なっかしい。
今日は休日だからな…
あっ!こらっ!前を見なさい前を!
そんな感じでふらふら~、ふらふら~していたので、しっかりとおててを繋ぎました。
指を絡めて繋ぎます。
ぷにぷにしているおてて。
まだ12歳なんだな。
そうしみじみと、感じました。
「あのー…、ちょっと…、恥ずかしいかな…、とか、思うんですけど…」
しっかりと握っていたら、どことなく顔を赤らめている、俯き加減のアリスちゃん。
「私、もう立派なレディーですよ?」
「ダメです!ふらふらしてる子は手を繋ぐ決まりなんです。」
そう、俺は言って。
アリスちゃんはふて腐れちゃったけれど…。
「…はい。」
さっきよりもしっかり、俺の手を握り返してくれた。
「…を…てないでくださいね…」
「うん?」
「なんでもないです。」
アリスちゃんが何か言っていたような気がするけど…
なんでもないならいいか?
11時頃のこと。
俺とアリスちゃん。
二人は473号線を歩いていて。
ついに、聖ゲルトルード学園に辿り着いた。
佇まいはビル。
表札には、
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学校法人ハンター学園
聖ゲルトルード幼稚園
聖ゲルトルード小学校
聖ゲルトルード中学校
聖ゲルトルード高等学校
聖ゲルトルード専門学校
(異世界文化学専攻 開設)
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本年度編入・途中入学受付中
無料体験実施中
当校はゲルトルードバカロレア認定校です。
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ゲルトルード王国含む異世界関係でお困りの方。
お気軽にお越し下さい。
(住民登録含め、当方では各種手続きをお手伝いできますので、ご相談ください。)
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とりあえず、入ってみるか?
アリスちゃんも「入りましょう!」と言って。
二人で入っていった。
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