賢者の石の宝玉の核
朝日の後姿を見ながら、レイは後悔していた。
まさか、朝日がこっちに来てたとはな…やっぱり俺はあの時と同じ、弱いままなんだな。
レイはそう考えながら、追憶転移をしようとする。
しかし、そこに大賢者からの声が聞こえる。
『告。固有名 賢者の石の宝玉の解析が終了しました。』
ん?ニンバスがくれた宝玉か。で、解析結果は?
『解。解析の結果、固有名 賢者の石の宝玉には、核がある事が判明。また、その核を解析した結果、スキル『変体 75』がございました。』
え?変体 75?その中に人間は?
『解。完全に解析をする為には、核の吸収が必要不可欠です。』
どうしようか。この宝玉を作ったのは、ニンバスだ。
もしかしたら、ニンバスがスキルをこの宝玉の核として閉じ込めたのかも知れない。
ならば、この中に人間があれば……
この時のレイの気持ちは複雑だった。
もし、人間があると言う事は、変体の使用上、ニンバスが人間を殺したと言う事だ。
それはそれで複雑な気持ちだ。
でも…朝日がこっちにいると分かった以上は、人化したいし…それに、魔物に生まれ変わったからには、いつか人間を殺すかも知れない。そうなる前に人化を取っておくべきなのだろうか?
『解。マスターの記憶より、最適な記憶を発見しました。再生します。』
大賢者の声が聞こえた後に見えたのは、まだ転生する前のあっちの世界で、朝日と共に話している姿だった。
そして、朝日は言った。
『別に周りに合わせる必要なんて無いじゃん。自分のしたいようにすれば良いよ。信じたいものを信じれば良いんだよ!』
その時の純也は、苦笑いしながら、『自由だね。』と返していた。
ああ、そう言うことか。大賢者。決心がついたよ。
レイは、心の中で何かを納得して心に決める。
大賢者。賢者の石の宝玉の核を吸収して。
『解。YES、マスター。』
賢者の石の宝玉の核を吸収する。
『変体 35が変体 80になりました。』
大賢者、解析結果は?
『人間への変更が可能になっています。』
あれ?大賢者の喋り方が…いや、今は…
大賢者、人間への変体を。
『はい、マイマスター。』
体が作り変わって行くのがわかる。
足で地面に立っていると言う感触が分かった。
手が動かせるようになった。
目が見えるようになった。
しかし、レイが人間体に変体したのは分かったのだが、明らかにおかしい点がある。
あれ?身長低くね?
そう、身長が前世よりも低いのだ。
前世での身長は、175cm。
だが、今の身長は、大体150cmくらいだ。
嫌な予感をしつつも、大賢者に今の姿を頭の中に浮かべさせて貰う。
そこには……
青髪を腰まで伸ばした女の子がいた。




