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完璧超人がスライムに転生した結果  作者: 眠り人
第2章 神獣ニンバスの修行編
23/87

ニンバス視点

何となく書いた。

我は、この世界でただ一人で朽ちる運命だと分かっていた。それが、神獣として生まれた我の運命なのだから。だが、それを否定するかのように、そいつ(スライム)は現れた。

最初は、世間知らずの奴が、この住処を壊しているのかと思った。そして、其奴に念話を送った。しかし、中々反応しない。我慢ならず、大声で呼びかけたら、驚きながら反応した。

最初は罰でも与えようと我の元まで呼び出した。

そして来たのが、スライムだった。

最初は、我の目を疑ったが、鑑定してみてわかった。こいつは、《転生者》と言うことに。何の因果か、この世界にスライムとして転生したようだ。

500年生きてきて、ここまで面白い事は無かった。

何より、このスライムに興味を持った。

そうだ、この者を育てよう。そして、受け皿として完成した時には、この者に我の魔石を喰らって貰おう。

我は人間が嫌いだ。だが、この者は嫌いにはならない。それどころか、惹かれる。何にかはわからないが不思議と惹かれるのだ。

人間が醜い争いをして死んで行くのはどうでも良い。だが、この森の魔物を殺すのは、許せない。ならば、この者を鍛えて我の力の受け皿にし、この森を守って貰おう。


少なくとも最初は、そう考えていた。


しかし、このスライムと暮らしている内に、さらに惹かれた。まるで、我がこの者を待っていたかのように。今までに感じたことのない感覚だ。だが、悪くは無い。自分にも、心があったのかと思うくらいに心が温かい。ずっとこのスライムと居たい。気がつけば、そう思えるまでにこのスライムに惹かれて居た。

だが、周りの環境がいくら変わったからと言って運命(さだめ)まで変わらなかった。

自分の体は自分で分かる。もうすぐ我は死ぬ。

何故だろうか、今までは感じなかったのに、今になって死にたく無いと思っている。

やはり、このスライムは自分にとって危険だったのか?いや、違うな。このスライムに出逢えたからこそ、この感情を抱けたのだ。

何処の誰だかは知らぬが、感謝しよう。このスライムを、我に合わせてくれた事に。

そして、憎もう。我にこのような感情を、死ぬと言う恐怖を与えた事に。

そして、嫉妬しよう。このスライム……レイの未来を見られる世界を。

そして、祈ろう。レイの未来を。

我はもうすぐ、この世界から消える。だからこそ、この時を楽しもう。そして、この感情を抱いたまま死のう。

このスライムに、看取られながら。

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