元完璧超人、喋る
遅くなりました。
「あ……あーーー」
スライムが間抜けな声を上げている。
なぜスライムが声を上げているのかって?その答えは簡単、俺だから。
今は、ニンバスが召喚する魔物の中にいたレッドバットと言う、赤いコウモリの持っていたスキルの『超音波』を改良して、声を出せるようにしている。今は簡単な声しか出ないが、そのうち完璧に喋れるようになりたいな。
『ふむ、なかなか順調に進んでいるようじゃな。』
(まだ簡単な声しか出せませんがね。)
『もっとレッドバットを召喚しても良いのだぞ?』
(本当ですか?)
『うむ、お主の頑張りに免じてな。』
(じゃあ、お願いします。)
『行くぞ!『指定召喚門《レッドバット》!』』
『門』からレッドバットが出てくる。その数ザッと20匹。正直キモい。
(出し過ぎです。)
『このくらい、余裕じゃろう?』
(まぁ、そうですが。)
純也は、レッドバットに近づいていき、魔法を使う。
使った魔法は、範囲攻撃系魔法の1つだ。
(『吹き荒れる雷鳴』!)
レッドバットに静電気の様なものが吹き荒れる。
『吹き荒れる雷鳴』は、光属性の上位魔法を冠する範囲攻撃系魔法で、魔力消費量は多いものの、圧倒的な範囲と威力を持つ。レッドバット程度なら、レベルが80を超えない限りは、即死する。
純也は、倒したレッドバットを完全吸収する。
色々と吸収している間に、完全吸収がレベル18になった。現在食べた物の7割のステータスを得られるようになっている。正直、ここまで来るとかのスキルが本当にチートじみて来た。だって、レベルも得られるのだから。
今回レッドバットを倒したのは、スキルを既に持っていると、得たスキルが既にあるスキルを吸収して、一定を超えるとレベルが上がるのだ。正直なところ、普通にやろうと思えば、心が折れていただろう。
マジで、スライムに転生出来て良かった。
ただ、それ以外のことは人間の方が……
いや、やめておこう。虚しくなるだけだ。
レッドバットを全て吸収して、スキルレベルを確認する。レッドバットは色々と美味しい。スキル的に。
レッドバットから得られるスキルは、『超音波』と『飛翔』と『暗視』と『吸血』だ。
『飛翔』は、短い間だけだが、飛べると言うスキルだ。
『暗視』はその名の通り、暗い場所でも目が見えると言うものだ。スライムの俺には必要無いが。むしろ、魔力による視界確保の下位互換と思っている。
『吸血』は、相手から血を吸って魔力を奪うと言うものだが、非常に効率が悪く殺して吸収した方が、魔力上限も上がり、魔力の回復もできる為、ぶっちゃけると要らない。
4つ中2つを否定したのだが、残りの2つが有能なため、美味しい。もう一度言うが、スキル的に。味覚は無いので、味は知らん。味を知りたければ食ってみろ。俺は見た目的に食う気にならんが。だって、凶悪な顔に豚鼻だよ?実際に食いたいと思うか?
ニンバス曰く、血生臭くて不味いらしい。よくこんなの食えたなと思っている。
まぁ、俺も吸収とは言え食ってるんだが。
とりあえずそれは置いといて、『超音波』はレベル7になり、『飛翔』はレベル5に、おまけの『暗視』はレベル8『吸血』はレベル4になった。
よし、喋る練習しよう。もうすぐ生まれて半年経つし、まだ遅くは無いはずだ。そうと決まれば、まずは『あいうえお』からだ。
「あ、い、う、え、お」
出た声は、前世とほとんど変わりの無い慣れ親しんだ声だ。やはり、慣れた声は良い。
『ふむ、中々声として出るようになったでは無いか。この調子ならば、練習を重ねていけば、喋れるようになるぞ。』
「ソウ、デス、ネ」
『うむ、これからは戦いと発声練習をしていくぞ。』
「はい」
俺もそのつもりだった。せめて、普通に喋れるくらいにはなりたいのだ。
純也の声は、世間一般に言うイケボ。
イケメンイケボで、成績優秀、スポーツ万能、他人に優しく自分に厳しい。前世はこんな感じ。
今世では、新しく得た生だからか、怠けが入ってます。人間、休む事も肝心なのだ。




