完璧超人、スライムになる
目が醒める。いや、目が覚めた筈なのに、辺りは真っ暗だ。
俺は…生きていたのか?
しかし、目は見えない、体も動かない。
いや、動いた。
動く毎にお腹が擦れる感じだ。
いや、擦れている事が分かるだけで、痛みも感覚も無い。
どう言う事だ?
純也は、気配探知をする。
気配探知は、自分を鍛えるためにやっていた、自主練中に身につけた技で、目を瞑ったまま周りを知る事が出来る。
『空間把握 LV.4を獲得しました。』
うわっ!
声は出なかった。
何なんだ?今の声は。
突然聞こえた無機質な声。男かも女かも分からない。しかし、ただ、聞こえた。
いや、今は周りの状況の把握が一番だ。
また、気配探知をする。
『空間把握がLV.5に上がりました。』
まただ。
だが、今この時に聞こえるのはこの声だけだ。
何故か、そこに安らぎを感じていた。
それからしばらく気配探知をしていた。
結局、空間把握とやらが、LV.MAXになりました。と言う声の後からは、どれだけ気配探知をしようと、あの声は聞こえて来なかった。
とりあえず、動こう。
純也は動き出す。自分の体を引きずるようにして。
気配探知をしていて分かったことは、ここは閉鎖空間である事。道がいくつかある事。水がある事。以上だ。
今はその水を目指しているところだ。
水を目指していると、何かが自分に当たった気がした。
なにかの草?
純也はそれを手に取る感覚で触ろうとする。
しかし、それは自分の体に入り込んでくる。
(うわっ、何だ?!)
すると、頭の中に文字が流れ込んで来る。
『万能草
説明
上級ポーションの材料になる。
洞窟の奥深く、魔力がかなりの量溜まっていて、近くにエリクサー、もしくは聖水がある場所に自生する。』
その後に、また無機質な声が聞こえる。
『鑑定 LV.3を手に入れた。』
今の説明や、無機質な声を掛け合わせて、推理する。
そして、出た結論は、
(あぁ、夢か。)
純也は考えるのをやめた。