元完璧超人、戦う
『とにかく、スライムにあった戦い方は、不意打ちか遠距離からの攻撃じゃ。しかし、それでは避けられてしまったり、塞がれてしまう。じゃが、お主は空間属性を使えるのじゃ。じゃから、空間属性で魔法を相手に飛ばせば良い。それに、魔力によって周りを見ているのじゃから、死角が無い。じゃから、空間属性による戦闘にはもってこいなのじゃ。まぁ、普通のスライムは空間属性なんて使えんが。』
(ふむふむ。)
『それからお主に足りないのは、実戦経験とレベルじゃ。レベルは1じゃが、ステータスは高い。そこは良いとして、実戦経験だけは当たり前じゃが、実際に実戦をしなければ見に付かぬ。じゃからお主にはこれから魔物と戦って、実戦経験を積んで貰うぞ。』
(え、戦うんですか?)
『当然じゃ。お主はこの洞窟に一生居る気か?』
(確かにそのつもりは無いですけど…)
『それならば、我が助けに入れる今のうちに実戦経験を積んだ方が良いじゃろう?』
(まぁ、それは一理ありますね。)
『と言う事じゃ。戦うぞ!』
そう言うと、ニンバスの前の地面に五星陣が現れた。
これは、『門』と呼ばれ空間転移魔法の基本だ。
その『門』から出てきたのは、熊だった。
茶色い毛に3mの巨体。
それが合計で6体。
(えっと、熊?)
『何を言っておる。こやつはグリズビーじゃ。パワーとスピードしか無い雑魚じゃ。』
(それってニンバス様視点でですよね?俺だと普通に死ねますよ?)
『何を今更。さぁ!行くぞ!』
「グオォォォォー!!」
グリズビーが吠えた。その咆哮だけで怖いんだけど!?俺って前世で戦ったのって、人間ぐらいだよ?
しかも、ただの模擬試合。殺し合いじゃ無いんだけど!?
いや、今更うじうじ言っても、ニンバスは引き下がってくれないだろう。
よし、やるぞ!
(『門展開!』)
俺は『門』を開いて飛び込み、グリズビーの背後に出る。
(『水刃!』)
ヒュンッ!と言う音と共に、水で出来た刃がグリズビーの首めがけて飛翔する。
水刃は、採掘に使っていたが、殺傷能力が非常に高い。
グリズビーの首に当たった水刃は、そのままグリズビーの首を切断する。首を切断されたグリズビーは力なく倒れる。
隣で首を切断されたのを見て他のグリズビーが此方を警戒する。
すかさず『門』でまた背後に飛ぶ。
そして、次の魔法は、
(『複数式光矢!』)
五本の光の矢がグリズビーに向かって飛翔する。
この魔法は、『光矢』を同時に飛ばす魔法だ。
とてつもなく燃費が良い。
グリズビーに飛翔した矢はグリズビーの後頭部に突き刺さる。そのままグリズビーの頭を貫通してグリズビーを絶命させる。五体のグリズビーが同時に倒れる。
『うーむ、我がしろと言った戦い方と少し違うぞ?』
(えっと、そうでしたっけ?)
『我が言ったのは、魔法を空間転移魔法で飛ばして敵に当たると言ったのじゃ。その戦い方が出来るのは、お主よりも能力も知能も下の奴だけじゃ。其奴らを片付けてもう一度じゃ。』
(はーい。)
レイは、グリズビーの死体を『完全吸収』する。
ちなみに、『飢食』はレベルMAXになり、『絶食』へと変化している。
『絶食』は『飢食』の逆で、食えばレベルが上がる。
『絶食』単体での能力は、腹が減らないと言うものだった。
グリズビーを『完全吸収』すると、力と素早さが上がった。スキルは、『剛腕 LV.3』と『咆哮 LV.2』を手に入れた。
片付けた所で、またニンバスが『門』を展開する。
そして、次に現れたのは、体長6mほどの黒い毛の熊だった。




