元完璧超人、兆候が現れる
本日二話目。
次に注目したのは、明らかにやばそうな『賢者』スキルだ。
(ニンバス様、この賢者って言うスキルって何ですか?)
『む?それは……ほう、面白い事になっておるのう。』
(面白い…事…?)
何となく嫌な予感がする。
俺のこう言う時の嫌な予感って、ほぼ必中何だよね。
『うむ、お主には、《暴食の魔王》の兆候と、《知識の勇者》の兆候が、二つ同時に出ておる。』
(えぇー。)
今、あれだよ。嫌な予感が倍になって返って来た気分。
《賢者》スキルが何となく《知識の勇者》の兆候って言うのは、何となくわかるよ。
《暴食の魔王》の兆候って何?
あれか、《飢食》スキルか?
それ以外考えられないから、絶対それだよね。
まだ、片方だけなら許容範囲内だ。
いや、違うけど、ギリギリ許容範囲内だ。多分!
けど、《美徳スキル》と《大罪スキル》の兆候を同時に持つって何?
(あの、本当、ですか?)
『うむ、我の目に狂いは無い!』
ドヤって言う感じで言ってくるニンバス。
殴りたい、その笑顔。
笑顔かは知らないけど。
とりあえず、ニンバスの目には狂いは無いらしい。
何なん。俺悪いことしたっけ?前世か。前世の運が良かったからか?俺からしたら、凄く運が悪かったんだけど。目立ちたくも無いのに、目立って。
そうか、神は死んだ。これで解決だ。
(桑原桑原)
『お主、何をぶつぶつ言っておるのじゃ?』
(あぁ、前世でのお祈りをしていただけですよ。)
まぁ、嫌な事を避けるお祈りだから、すでに遅いんだけど。
『まぁ、お主は、転生者なんじゃ。我みたいに、魔神や天使も、面白がって付けたのじゃろう。』
(待って、ニンバスも面白がって付けたの?)
『うっ……そ、それよりもじゃな!』
あ、話逸らしやがった。こいつ、今すぐ喰ってやろうか?
し無いけど。
『お主はこれから、そのスキルに向き合うべきじゃ!』
(向き合う?)
『うむ。そのスキルをどう使うかによって、かなり変わってくるのじゃ。魔王に進むか、勇者に進むかはお主次第と言うわけじゃな。』
(俺次第…)
確かにそうだ。
もし、このスキルのどちらかを受け入れて魔王か勇者になるんだよな。
人間に転生してたら、こんなの迷わなかったのかな?
まぁ、そこは、神のみぞ知るか。
いや、神は死んだ。
『それに、選択肢はそれだけでは無い。スキルを受け入れずに、別の道に進む事も可能じゃ。』
(別の道か…)
俺に今提示されている道は3つ。
1つ、《飢食》を受け入れ、《暴食の魔王》になる事。これをすると、恐らく、人間に敵対されるのだろう。
2つ、《賢者》を受け入れ、《知識の勇者》になる。
確かに人間からは敵対される事は無いが、知識ある魔物からは敵対されるだろう。
そして3つ、どちらも受け入れずに、自分で決めた道を自由に進む。これのメリットは、自由という事だろう。しかし、この道を選ぶと逃げた事になる。
ん?待てよ。本当に3つか?
いや、違う。
4つ目、その場の成り行きに任せる。
これだ。受け入れるわけでも、逃げるわけでも無い。
いっそのこと、その場のノリに任せよう。
未来のことは、今の自分で考えるのではなく、未来の自分に考えサレせれば良い。
よし、俺の答えは、今は決めない。
しかし、いつか決めなければならない時が来るだろう。
その時はその時の俺に決めさせればいい。
そうと決まれば、俺が今やることは1つ。
いつまで続くかわからないニンバスとの時を楽しむ。
未来の事なんて、偉い人が決めときゃ良いんだよ。
俺ではない誰かが。




