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【ギルガメッシュ】奇流我終【くすしくながれ、わがおわり】

 エンキドゥが死んでからは、長く退屈な旅が続いていた。

 これ以上、続ける気は、ない。


 ――エンキドゥ、なぜ私を置いて逝った?

 キサマが死んでから、私は死が怖い。私には永遠の命がないと思い知らされた。

 私と唯一等しいキサマが死んだのならば、私も死ぬのだろう。死ぬのが怖い。だから、私は不老不死を求めた。

 旅をした。長い旅だった。エンキドゥの居ない苦痛でしかない旅を。


 私は、いつの間にか……恐らく最初から、死以上に不老不死を恐れていた。

 エンキドゥはいつか生まれ変わるが、私はそれまでキサマの居ない時間に耐えなければならない。

 エンキドゥの言葉は全て真実だった。ならば、きっと、私は生まれ変われる。エンキドゥとも、また会える。

 後年には、不老不死は得られなかったと記そう。

 あまりにも大王らしくない。エンキドゥを忘れられなかったばかりに不死を得ない英雄なんぞというものは。

 私は、日出国(ひいずるくに)のヒルコという男から受け取った不死の秘薬を、希望へと託す。


「じゃあ、楽しんでくるよ。ギルおじさん、親父(エンキドゥ)が未来を固定しない程度に残した情報から……俺は世界を見てくる」


 彼は、エンキドゥ・ジュニア。

 エンキドゥを父に、神聖娼婦を母に持つ少年。

 父には似ているが父ではない。私の寂しさを慰めはしたが、埋めきることなどできはしない。

 私の孤独はエンキドゥとの出会いによって生じ、別れによって爆発した。

 私は永遠の命は要らない。その分まで、この子には未来まで見てきて欲しい。私が征服しないでおいた世界を。


「親父のヤツの残したメッセージは、“一九九九年はニホンていう国で俺とギルとイシュタルに似たヤツを探せ”、

 “人肌で装丁されたような本を追え”細かい指示が多いけど、まあ、時間だけはあるしね。ゆっくりスタンプラリーするさ」


 不老不死の少年の遠く長く奇妙な道程は、こうして始まった。


 この作品は、

 平安京インベーダー(https://ncode.syosetu.com/n1843dz/)、

 虚海西遊記(https://ncode.syosetu.com/n5062ey/)の前日端です。

 エンキドゥジュニアくんの冒険は、そちらで続いています。


 また、エンキ(転生前)とギル(転生後)がアン・ズーと戦うエピソードに関しては、虚海西遊記にて登場予定です。

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