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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

気がついたら勇者になっていた件について…

作者: 宵の黒猫

いやー、前の作品を投稿してもう半年ですよ。

やっと二作品目を上げることができました。

ここに綴るはある一人の勇者のお話です。

どうぞ読んでいってください。


ぴぴぴぴぴっ!!!


今日もけたたましく鳴る目覚まし時計に起こされた。


「はいはい、今起きますよ、おはようございます…」


特に意味は無いが目覚まし時計にあいさつをすると、俺は自室を出て顔を洗うために階段を下る。

顔を洗い、朝食をすませた俺は仕事に行く準備をする。


「いってきまーす!」


俺は須加 正人、25歳、サラリーマン。

ごく普通の一般人として働いている、はずだったんだが…


「ここどこだよ!?」

「お迎えに上がりました、勇者様」

「…俺?」

「はい、貴方様でございます」


なんだこいつは?

一見燕尾服に似たような深緑色の服を着ているが、どことなく俺が知ってる燕尾服とは違う気がする。


「俺が…勇者?何を言ってるんだ?」

「城にて王様がお待ちです」

「俺には仕事があるんだが…ちょ、ちょっと!」


強引に馬車に乗せられて城に連れてかれた。


「でっけぇ…」


城の門の前に立った俺はあまりの迫力に声をもらしてしまった。


「それではこちらへ」

「あぁ…」


城の廊下をしばらく歩くと玉座の間に案内された。


「よく来た、勇者よ」

「えーと、勇者ってなんことだ?」

「あぁ、すまんすまん、説明がまだだったな…」

「ここはどこなんだ?」

「ここか?ここはアルファニア王国じゃ、半年に1人のペースでこの国に住む魔王を倒すべく勇者が様々な世界から送られてくるんじゃ」

「は、はぁ?…ということは俺は別世界に魔王を倒すべく送り込まれた、ということか?」

「あぁ、そういうことじゃ」

「俺は元の世界に戻れるのか!?」

「うむ、3年経つと自動的に元の世界に戻れるようになっておる」


なんだそれは!戻れるのはいいが俺にどうしろと、俺はただのサラリーマンだぞ?


「それではおぬしに装備をさずける、それとと同じく魔王を倒すべく旅をしてもらう者を呼ぼう、だから魔王と戦ってはくれんか?」

「あぁ、ここままじゃ元の世界には戻れないんだろ?」

「そうじゃな」

「はぁ…ならわかった、俺も戦おう」

「それでは持ってきてくれ!」


まず装備が運ばれてきた。明らかに高そうな装備が並べられた。確かにこの装備ならなんとか戦えそうだ、というか俺は戦えるのか?

それと城の兵士らしき人達が20人ほど出てきた。屈強そうな男ばかりだ、いや何人か女性も混ざっている。


「この中から2人選んで連れていくといい、大丈夫だ、こちらでしっかりと腕前を確認して合格した者のみ集めてある、だから腕はわしが保証しよう」

「そうか、わかった」


しかしこれだけの中から選べと言われてもな…


「勇者様!どうかこの俺を!必ずお役にたちましょう!」

「いいや、俺こそが!勇者様のためにこの身をささげましょう!」


そんな風に何人かの男どもが名乗り出てきた。


「ん?なあ、そこの君」

「は、はい」


俺は1番後ろに居た1人の少女に声をかけた、


「どうかされましたか?」

「君はいくつなの?」

「12ですけど…?」


「12だって!?まだ子供じゃないか!」

「おぬしの世界では12はまだ子供なのか、この世界では12歳からは大人と見なされ、兵士になれるのじゃ」

「そうなのか…?」


しかし兵士に成り立てでここにいるってことはかなりの腕を持ってるってことか?


「じゃあ君にしよう」

「よろしくおねがいします」

「あ、あの!リゼを連れていくのなら僕も連れて言ってはもらえないでしょうか!」


そうかこの子はリゼというのか…


「君は?」

「あ、は、はい!僕はラウと言います!リゼの兄です!」

「なるほどな、兄だからついて行きたいと…」

「お兄ちゃん!どこまで私を子供扱いするの!?」


あー、過保護な兄か、よくわからない勇者と旅をするのが心配なんだな…


「わかった、君も連れていこう」

「ありがとうございます!」


ラウはものすごく目を輝かせている。

そんなにうれしいのか。


「それでは決まったな、ではよい旅を願っておるぞ!」


ものすごく他人事に聞こえるな。


そんなこんなで成り行きで旅を始めてしまった。


リゼは背中に大きな杖を背負っている。魔法を得意としているようだ。

逆にラウは腰に二本の剣をつけている。二人のバランスは良さそうだ。

ちなみに俺は剣と盾を持っている。これが初心者には一番使いやすいらしい。

しかし、俺は昨日までサラリーマンだったんだが、戦っていけるんだろうか。


「なあ、俺はこの世界に来たばっかなんだけど、まず何からしたらいいんだ?」

「そうですねぇ…ではまずは勇者様の戦闘力を見させてもらいますね」


なんだかラウが悪い顔をして言ってくる。

表情豊かな奴だな。


「お兄ちゃん!何する気なの!?」

「大丈夫だリゼ、何も心配しなくていい」

「お兄ちゃん、忘れたの?勇者様は転生されるときにある程度戦えるように、王国騎士団長レベルに調整されるんだよ!お兄ちゃんじゃ敵いっこないって!」


ん?そうなのか?それならたしかに戦っていけそうだが…


遠くで何かが光った


「危ないっ!」


俺は二人を庇いながら横に飛んだ。

見るとさっきまで俺らが立っていた地面がえぐれていた。


「ぐっ…」

「勇者様大丈夫ですか!?今治療しますね」

「あぁ、ありがとう」


確かに、これなら戦っていけそうだな。


「あーら、よけられちゃったぁ、せっかく新しい勇者を潰しに来たのに…」


声の方に向くと、そこには肌は闇のように黒く、逆に髪はまばゆいほど白い、俺らとはなにか

違うような男が立っていた。


「なかなか、噛み応えがありそうじゃなぁい」

「こいつは!?魔王軍幹部のライナモンド!なんで幹部がこんなところに!勇者様ここは逃げた方がいいかと」

「あらぁ、せっかく噛み潰してあげようと思ったのに逃げちゃうの?」

「まあ、逃がすわけは、ないんだけどっ!」

「ゔっ!」


俺はとっさに盾を構えて攻撃を受けるが、耐えきれずに吹っ飛ばされてしまった。


「まったくこの私から逃げられると思ってるの?」

「エクス・スラッシュ!」

「ブリザード・ブレス!」

「ぎゃああああああ!!!」

「「勇者様!」」

「何とか大丈夫だ…それより戦うしかないようだな」

「はい、私は魔法で援護しますね」

「じゃあ、俺が突っ込みますから、勇者様は俺についてきてください!」

「ありがとう、二人は俺が絶対に守る、だから絶対生きて帰ろう!」

「「はい!」」


俺、ラウ、リゼの三人は各々の武器を構える。


「やっと準備できたの?せっかく待って上げたんだから、少しは楽しませてくれるんでしょうね」

「あったりめぇだ!この勇者様は魔王を倒すんだ!お前なんかにやられてたまるかよ!」

「行くぞっ!ラウ!」

「はい!」

「援護します」


俺とラウはライナモンドに向かって勢いよく飛び出す。


ライナモンドは大剣を背負い、両手に二丁の銃を持っている。

銃からは実弾ではなく、魔法の球を撃ってくる。

魔法だからか一撃一撃が重く、あまくガードすると吹っ飛ばされそうだ。

本当に遊ばれているのか背中の大剣は使ってこない。


俺はラウを守りつつ隙を突いて攻撃をする。

リゼは俺が防ぎきれない攻撃を相殺してくれている。

ラウは二本の剣で素早く攻撃している。

だがライナモンドはそのすべての攻撃を人間離れした動きでかわしている。

…というかなんかクネクネしている。


「はぁはぁ…このままじゃ埒があかない…」

「さすがに飽きちゃった…」

「エクス・スラッシュ!」

「うるさいハエね」

「ぐはっ」

「お兄ちゃん!?」

「あぁら、回復なんてさせないわよん」

「ソニック・バレット」

「させるかっ!くそぉっ」

「勇者様!?」

「なかなかいい反応するじゃない、じゃあこれはどう!」

「スタンプ・ブレイド!」

「まずっ…ぐあぁ!」


ガキンと嫌な音を盾が吹っ飛んでいった。


「まだまだよ!」

「フル・ブラスト・シューティング!」


くそ、まだ冒険始まったばっかりなのに、こんなところで死んでたまるか…

俺にも能力があれば…


そのとき頭に一つのイメージが浮かんできた…


「ボルテック・スピア」


俺の放った突きとライナモンドの放った巨大な魔法弾が激突する。


「負けるかぁあ!」


と、その時俺の剣は弾き飛ばされた。


ドゴーンと爆発音が轟き、大地を揺らす。


「はぁはぁ…ぐっ」

「なかなかやるじゃない、楽しかったわ、今回は生かしといてあげるから、強くなりなさい」

「「勇者様!」」


リゼとリゼに回復してもらったラウが心配して近づいてくる。


「今回復します!」


リゼに回復されているとき、遠くから車輪の音がする…


「お迎えに上がりました、勇者様」

「…俺?」

「はい、貴方様でございます」

「それにお連れのお二方も、王様がお待ちです」

「「「え?」」」


俺たちは何が何だかわからずに馬車に乗り込み、城に向かう。


「おお!よくきた、勇者よ!」

「此度の働き、まことに感謝する!まさか一日目にして、素晴らしき活躍じゃ!」

「せっかくじゃ、宴を開こう!さらに褒美もやろう!なんでも好きなものを言うがいい!」

「あのー、王様?私たち何もわからないんですが…」

「王様、いったい何があったんですか?」

「おぬしらは魔王と戦っていたのではないのか?」

「いえ、俺たちは幹部のライナモンドと戦っていたんだが…」

「じゃが確かに魔王はわしがそなたに授けた剣によって倒されたと聞いておるのだが…」

「剣?…それって、まさか!」


その後、城では盛大にパーティが開かれた、城下町の人たちは集まり歌って踊りあかした。

そのにぎやかなパーティは夜明けまで続いた。


「そうじゃ、勇者よ、おぬしの願いを聞こうか」

「なんでも叶えてやろう、領地が欲しいか、それとも我が娘を妻にむかえいれるか、この国を救ったおぬしなら喜んで嫁がせよう」

「いや、俺はこの世界の人間じゃない、だから領地も妻もいらないよ」

「それでは何を望む」

「そうだな…じゃあ魔王の死因を隠すってのはどうだ」

「あれだけ世界を苦しめた魔王でも、あんな最後はちょっとかわいそうでな」

「…そうか、わかった、おぬしがそういうなら、おぬしが魔王を倒したとだけ皆に伝えよう」

「あぁ…じゃあ俺はそろそろ元の世界に帰らせてもらうよ」

「そうか、ありがとう、英雄殿」




ぴぴぴぴぴっ!!!


今日もけたたましく鳴る目覚まし時計に起こされた。


「はいはい、今起きますよ、おはようございます…」


いつものように目覚まし時計にあいさつをすると、俺は自室を出て顔を洗うために階段を下る。

顔を洗い、朝食をすませた俺は仕事に行く準備をする。


「いってきまーす!」


次の日、目覚めるとこれまでのようにサラリーマン生活に戻っていた。

あれはもしかすると夢だったのかもしれない。

夢にしてはなかなかリアルだったような気がするが、話したところで誰も信じたりはしないだろう。

だから夢にしておこう、あの気が付いたら英雄になっていた物語は…

いかがだったでしょうか?

感想やアドバイスなど貰えるとありがたいです。

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