人は恐怖に対して逃走か攻撃の二択をする
ゴールド視点
前に聞いた通りなのか偶然かは分からないがアヤメはグーを出したのでジャンケンには俺が勝った。別に絶対に左が良かった訳でもないのだがああも反対されるとつい邪魔したくなる。
「ねえゴールド」
「なんだ?進路は左で決まりだぞ」
「ジャンケンで負けたんだし、そのことをグジグジ言ったりはしないよ。私の言いたいことはここはこの辺で一回空に上がって遠くを見るのも良いんじゃないかと思ってね」
確かにそこそこ移動したし、運が良かったらたら町ぐらい見えるかも知れない。でも右の方に町でも見えたら絶対にそっちに行く気だよな。とは言え悪い手ではないしここは探索しておこう、別に最悪右でもなんら問題はないしな。
「そうだな、どうせ大した労力のかかることでもないし、見てみるのも良いかもな」
「でしょ、こう言うところやっぱり私は頭脳派だよね」
「そう言うのは自分で言うものじゃなくて他人に言わせるもんだぞ」
「違うよゴールド、今の社会は自分から主張して行かないと」
それは日本での話だろ、と言ったら良いのか?それとも一体人っ子一人居ないこの砂漠で誰に主張しているのか、と問うべきか?それともアヤメが頭脳派である、と言う誤った主張は取り下げさせるべきか?
「今、絶対に失礼なこと考えてたよね?」
「いいや、そんなことはない。全て事実だ」
「うーん、絶対に失礼なこと考えてたと思ったんだけどな〜」
事実だからと言って失礼なことではないとは限らないぞ、もちろんそんなことは言わないがな。
「そんなことより、空から偵察するんだろ」
「ううう、でも今は砂漠からの脱出が最優先か、ゴールド剣に戻って」
「へいへい」
「返事は『ハイ』でしょ」
アヤメは口うるさいことを言いながらもしっかりと【空翔】を使って一気に高度を上げて行く。あれは船か?
「オイ、アヤメ。海の方を見てみろ」
「ん?あれは船?それも帆船だね」
「ああ、帆船の様だな。とは言えその様子だとことの重要性が分かっていない様だな」
まるで、湖に浮かんだレジャー用の帆船でも見つけたかの様な反応を見るにおそらく、船がある=人がいると言うことに気付いてない様だな。
「重要性?確かに私は船に乗ったことがないから乗ってみたいけど今はそう言う時じゃないと思うんだよね」
「良いか、船には乗組員がいるだろ、つまり人がいるんだ。それに最悪でも後を付ければ港に着くぞ」
「あっ、き、気付いていたよ、でも大丈夫かな?ほら海賊船とか、奴隷船とかそんなオチはないよね」
アヤメの運の悪さだとありえそうで怖いな。
「行ってみれば分かるだろ」
「そうかな?もう少し慎重に行っても良いと思わない?」
「せっかく見つけた手掛かりだぞ、活用しないでどうする。安心しろ、お前は強い。海賊やら奴隷商人の部下に負けるほど弱くはない。これまでの戦績から言っても間違いない」
「そうだよね、私ドラゴン倒したもんね。海賊ぐらい余裕だよ」
そう言うとアヤメ船に近付いて行く。そして見えて来た船は結構大きく全長が50メートルぐらいはある。その大きな船の甲板にはスプラッタな死体が幾つか転がっていた、あるものは首を引き千切られ、あるものは喰われた様で下半身がないやつもいる。つまり
「あれは完全にや人の殺し方じゃないな、それに船のサイズの割りに死体が少なすぎる食べられたのか?」
「ゴールド、逃げて良い?」
「そうだな、むしろ逃げた方が良いと思うぞ。生きてるやつはいないだろうしな」
「でもゴールド、こう言う時って大概逃げられないんだよね」
そう言う要らんことを言っても逃げられなくなるだろ、と思っていると船室から甲板に目が完全に逝っちゃってる男が出て来る。
「おや、新手ですか?時間的に救援ではないでしょうし、まさか偶然?どっちにしろ今の私はとても気分が悪い。死んでもらいますよ」
パニック映画で襲って来そうな見た目の割に理性的な話し方でそう言うと男の背中から気色悪い羽が生えて飛んでくる。
「ご、ゴールド。完全にやばいやつだよ、なんかよだれダラダラだし。首の向いてる方向がおかしいし、羽が生えてるし人間じゃないよ」
そんな泣き言を言いながらでもしっかりと剣を構えて相手を迎え撃つ。普段なる泣き言言うなよ、と言うところだがあのきみ悪いやつは俺も出来れば切りたくないと思ってしまったので黙っておく。
「くひゃひゃ。死ね」
当然アヤメが泣き言を言っても相手は待ってくれる筈もなくアヤメに掴みかかって来る。
「はっ」
だが所詮はめちゃくちゃな素手による掴みかかりのため簡単に上半身と下半身に斬りとばすことが出来た、が
「下半身がなくなったって死ぬわけがない〜くひゃ」
と言って上半身だけで迫って来る。
「キャー」グチャ
おおう。余りのホラーな動きに素で何も考えずに反射的に殴ったな、そのせいで敵のミンチをもろにかぶったよ、これは酷いな。
「勝てたけど、最悪だよ。そもそもさっきの生き物はなに?」
「ああ、おそらくだが悪魔だな。それも何らかの理由で暴走したやつが人に取り付いた状態だ。しかも最初船室から出てきた時は話し方だけは理性的だったのに戦い始めたら外見通りのイカれた話し方になったってことはまだ微妙に元の性格が残ってるってことだから、暴走したのは最近みたいだな」
「暴走したのが最近だってことは私が肉片に塗れていることより重要性が高いの?」
「そうだな……暴走した理由によってはそうだ」
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