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人にはそれぞれ矜持がある

時は少し遡り


ヘル視点


部下から『対象に接近するも気付かれた』と言う報告を受け、作戦続行の命令を出す、さすがはAランク冒険者と言ったところか。

「準備が終わりました、予定通り襲撃ポイントで攻撃を仕掛けます。第一目的は死の影の殺害、第二目的は最も非力そうな銀髪の少女を人質に取ることです」

「ふむ、聞いていた作戦通りだな。所でヘル君。本当に大丈夫なんだろうな」

「ゼブル部長、不安なのは理解出来ます。何と言っても相手はAランク冒険者、それも伝説に出る様な化け物を倒す様な実力派ですからね、しかし我々は彼らと違い人を殺すプロです、なんら問題はありません」

そうは言ったが本当の所はキツイのは事実だ、Aランク冒険者と言うのは最強レベルの存在であり、事実、既に部下の接近はバレているのだから。

「むう、プロである君がそう言うなら信じよう。どのみちこのラクタ村の責任者である私は余程のことがないと逃げられないのだから。まあそれは君も同じだろうがね」

その通りだ、なんと言おうがイドラ商会は裏の顔があり、その裏の側面にいる俺もゼブルも基本的に失敗すれば死あるのみであることは変わらない。いやむしろ警備部である俺の方が逃げることは出来ない。

「そう言った意味ではゼブル部長は幸運ですね、我々警備部の人間がいるタイミングで事件が起きたのですから」

「そうでもない、君たちが居なければ重要書類や証拠を持ってここから逃げることも出来たが君たちが居合わせた以上頼らない訳には行かないからな」

さすがに舌戦では勝てぬか。ここでゼブルに恩を売れれば今後の俺の警備部での地位も向上したのだがそう上手くは行かぬか。

「しかし逃げるにしても護衛は必要でしょう」

「そのぐらいであれば警備部に頼らずとも問題ない。…そろそろ襲撃ポイントに着くんじゃないか?」

「そうですね、予定通り映像を出すとしましょう」

準備して置いたモニターに襲撃ポイントの裏路地が映る。これは遺跡から見つかった遠くの景色を見ることができる魔法具で特に景色を見る場所に置く発信水晶は小さく魔力も感知されず当然気配もないためこうして決まった場所を偵察するには非常に便利な物だ、欠点としては音が入らないことだろう。

「本物は初めて見るが凄いものだな、一点ものでなければ数を揃えることも出来るのだがな」

「我々も非常に重宝しています。これは、落とし前を付けた貴族の家にあったものです。最もその貴族もこれを国に黙って隠し持っていんですがね」

「君たちが落とし前を付ける様な貴族であれば国には言わずに売るか持っておくだろうな」

落とし前と襲撃を聞き分けたか、落とし前なら商売上のトラブル、襲撃なら商売と関係ないトラブルだからな、落とし前の時点で既に顧客であったのは間違いないし俺たちの顧客と言うことはロクでもない連中であることも間違いない。本当によく聞いている、さすがはラクタ村からつながる各方面との調整をする調整部長と言った所か。

「始まる様です。Aランク冒険者のお手並み拝見と言った所です」

「君の部下が、あっさりと決めてくれると気が楽になるんだがね」

それはこちらも同じではあるがバレている以上そうはならないだろう、これは誰にも言っていないが正直なところあの三人が奴らを殺せる可能性は俺の中で半ば捨てている。望むのは最低限の仕事として奴らの手の内を明かせば十分、死の影を殺せれば上等だろう。

固唾を飲んで俺とゼブルで成り行きを見守る。そしてとうとう襲撃のタイミングになり一斉に襲いかかる。完璧なタイミングでありこれならば行けるのではないかと考えたその時部下が見えない何かに吹き飛ばされる。

「なっ、なんだ今のは」

「分かりません。もしかしたらAランク冒険者、フレイムのスキルかもしれません」

そんな会話をしている内にも部下は幾度も吹き飛ばされる。いったい何が目的だ?

「遊んでいるのか、刺客を吹き飛ばして遊んでいるのか」

「なん、だと。動いていない、フレイムが、Aランク冒険者が動いていない。奴のスキルではないのか!動いているのは元ギルド職員と……銀髪の、少女、だと。いや待てまだそうと決まったわけじゃない、あの2人が動いているがあの2人は動いてるだけと言うこともある。いやきっとそうに違いない!」

「ヘル君、逃げるぞ。書類は纏めてある」

どうするここは逃げるのが正解か?確かにあの意味不明に吹き飛ばされる仕組みが分からなければ勝ち目はないだろう。だからと言って逃げ帰って俺に居場所はあるのか?いや、ない。

「ヘル君、ここは無理をすべきではない。彼らに勝てない以上ここに残っても無意味に死ぬだけだ」

「我々は警備部として逃げる訳には行かない!たとえ勝機がなくとも警備部として撤退は認められない!我々に残された道は死か勝利のみ。……ふぅ、落ち着きました。ゼブル部長は逃げて下さい、我々が生きていれば逃走が妥当であったことを報告します」

「そんなことをして君になんのメリットがあると言うのだね。ここは逃げて本部に救援を要請するべきだ」

まるで分かっていない。

「我々警備部はあなた達調整部と違って敵が強いと言うのは逃走事由になりえないと言うだけです。ゼブル部長は逃げて下さい」

そう、いざという時に逃げる警備などいる価値がない。情報を持って帰るのは1人で十分だ、

「ふむ、君は裏社会に生きるには素直過ぎるな。変えた方が長生きするぞ」

「生憎、裏社会に生きる者として長生きには興味はありません」

そうだ。今更死など恐れる物ではない。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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