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違う視点で見ると新しい事が分かったりする

今回は主人公以外の視点な上、何時もより少し長いです。

最後まで読んで頂けたら幸いです。


時はさかのぼり

テレジア視点

今日もいつも通り。宿の食事で出す山菜を採りに行った。普通なら戦えもしないおばさん1人で山菜採りなど自殺行為だが、私は【隠れる】と言うスキルを持っているのでゴブリン程度には見つかったりはしない自信があったし今までも見つかった事はなかった。でも今日、初めて見つかってしまった私はただ悲鳴を上げて逃げる事しか出来ない事を思い知る。息が切れ、足が動かなくなってくる。だけど私は『捕まったら間違いなく殺される』と言う一念で走っていると、後ろから風切音と何かが倒れたような音が聞こえた。誰かが助けてくれたのでは。と言うわずかな希望を胸に後ろを向くと、真っ暗な男がいた。別に肌の色が黒いと言うのではなく黒い髪に黒い目、さらには服も見た事のない黒い物であった。おまけによく見ると目つきのもかなり鋭い。一言で言うと悪人にしか見えない、とはいえ恩人だから礼を言う必要があるだろう。それにどうやってゴブリンを倒したのかも気になる。

「ありがとね〜、あんちゃん強いね今の魔法かい」

我ながら軽薄な話し方だがこういう物は直そうと思っても上手く直せるものではない。それに冒険者向けの宿での話し方などこれ位がちょうどいい。それにあんちゃんもあまり気にしていない様だし。

「いえ、偶然通りかかっただけなので。道に迷ってしまったので案内してもらえなでしょうか?」

どこか無理をした様なていねいな話し方で道案内を頼まれる。ここから1人で帰るのは正直きついし、案内すれば宿の客にもなってくれるだろうし、同行してくれるならこちらからお願いしたいぐらいだ。何よりあんちゃんは恩人だから断る理由などない。

「良いよ、助けてもらった恩もあるしね。何よりうちは宿屋だからね泊まってくれるなら大歓迎だよ。所であんちゃん変わった格好をしてるけどどこから来たんだい。」

見たこと無い服はかなり気になる、気になったものは聞くのが私の主義だ。変えるつもりはない。

「木崎 零と言います。異世界の日本から来ました」

正直言って想定外だったが納得出来る答えが返ってくる。あの服は異世界の服なのだろう。そして何より、滅多に見れるものではない異世界人と言うのは私の興味を引くには十分すぎる存在でつい私は話し込んでしまった。まあ、あんちゃんもいろいろな事を知れたし悪くなかっただろう。一泊タダにしてやったし。


門番視点

門番と言うのは俗称であり正確にはラクタ村配属の第5騎士団と言うのが正確な俺の役職名だ、つまり一応俺は騎士なのだ。もっともこのカルホーン王国における第5騎士団の仕事は税収管理と街への出入りの管理であり、騎士らしさなど一つもない。特にこのラクタ村は運送の中継地点のため検査などもかなり緩く、仕事といえば身分証を確認する位のため、時々かつてやった採用試験の難しさは何なのかと思ったりもするが仕事が楽なのは悪くない。今日もひたすら身分証を確かめる、中継地点だけあって通る人だけは多いのだ。

「身分証明をお願いします」

正直言って不審者くさい目付きの鋭い黒服の男に声をかける。

「あー、すいません俺は異世界人なんですけどここで手続きをしないといけないって話しを聞いたんですけどどうしたらいいんですか?」

異世界人?どう見てもお前は不審者だろ。確かに異世界人ならば新しい身分証を発行するが、ちゃんとチェックするから嘘を言ってもどうしようもないから無駄だぞ。

「えっ、異世界人?本物か?うそだったら厳罰だぞ。分かってるのか」

こう言えば帰るだろう。

「大丈夫ですよ」

どこからその自信が出てくるんだ?とは言え異世界人と主張する以上チェックをしなければならないため後ろのやつと交代して詰所の確認用の部屋に案内する。

「ついて来い」

机と椅子があるだけの確認用の部屋についたので椅子に座らせる。

「そこに座れ」

異世界人かどうかチェックする『異世界人チェッカー』を持ってくるついでに暇つぶしにノートも持ってくる。

「その玉の上に手を乗せろ」

手を乗せると玉が黄色く光る。この魔道具は便利だが1時間かかるのが難点だ。

「そのまま1時間じっとしていろ」

俺は趣味の絵を描いて時間を潰すことにした。










「ふう。ようやく終わった。ええと、本物の異世界人だな、じゃあこっちの書類を書いてくれ。」

口ではそう言ったがかなり胡散臭い。

「日本語でいいんですか」

日本語で書いてあるだろ。

「大丈夫だ。問題ない」

しばらく待っていると。

「終わりました」

と言ってこちらに書類を持ってきたので軽く確認してから隊長に渡しに行く。

「そこで待っていろ」

と言って部屋から出て隊長の部屋に行こうとすると。

「なあ、異世界人に会ってもいいか」

と自警団の団長であるガッツさんに聞かれる。問題はないので普通に了承し、俺は再度隊長の部屋に向かった。


ガチムチさん(ガッツさん)視点

俺はラクタ村の自警団団長で現役のBランク冒険者でも有る。自警団と言うのは村に近ずいた魔物を倒したり、犯罪者を捕まえたりするのが主な仕事だ。村人が有志で所属するため金にはならないが村を守る仕事なので気に入っている。

今日はテレジアさんが『異世界人に助けられた』とか言っていたのでどこにいるのか聞いたら、手続きをしてると言うので確認用の部屋に向かうとちょうど門番が出できたので。

「なあ、異世界人に会ってもいいか」

と聞くと、門番は少し考えて

「大丈夫だ。問題ない」

と言うので扉を開けて声をかける。

「お前が新しい異世界人か?」

声をかけながら俺は【格闘力判定】のスキルを発動させる。能力は名前のままだが接近戦における技量を判別出来るスキルだ。

「そうですよ」

と答えてくるがそれどころではない。なにせ格闘力がカンストしているのだ。一言で言えば世界を壊せそうな値だ。かつて見たドラゴンでさえ53万だった、それがこの異世界人は999万9999なのだ。確かに、ドラゴンと言っても若い個体ではあったし、俺のスキルではブレスなどは値に入らないとはいえこの値はおかしい。しかし、何度見ても数字は変わらない。という事はこの異世界人がそれだけ強いという事だ。

「すいません。何か付いてますか」

いかん、ジロジロ見すぎてしまったようだ。

「すまない。あまりに強そうだったので見続けてしまった。許してくれ」

と言うと異世界人が少し変な顔をする。だが、そんなことを気にしている余裕は無い。

「すまない。ちょっと用事があるので帰らせてもらうよ」

と言い残して俺は足早に門番の隊長の部屋にこの事を知らせに向かう。この後緊急の会議を開いたものの結局いい答えが出ず『刺激しないようにして、この事は上に報告』という事を決めるのに日が暮れるまでかかった。

改善点、要望があったらお願いします。

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