1人でも無理なのに2人とか詰んでる
零視点
いつの間にか逃げようとしていたやつに向けて手招きすると物凄い重い足取りでこっちに来た。
「さて、尋問を始めようか。凛、口のバンドを解いて」
「分かったんだよ」
「お前ら切り替え早すぎだろ」
「なんでも言います。ですからせめて殺してください」
よし、質問に素直に答えてくれる様に良く懲らしめておいたのが生きたな。
「じゃあまず名前は」
「本名はギルです。殺し屋としては死の影と名乗ってます」
殺し屋か、出来れば今回敵対した組織のメンバーだった方が情報を持ってるだろうし良かったんだがな、まあ仕方ないか。
「誰に雇われた」
「人身売買がメインの闇商人『イドラ商会』です」
イドラ?確か偶像だっけ?いやイマイチ思い出せないな。
「んー?イドラ商会って食料品を売ってる所じゃなかったっけ」
「はい、イドラ商会は表立っては食料品を取り扱う商会と成ってますが実態はさっき言った通り人身売買を行う商会です、手口としては食料品を扱う上で関係を持った農村を裏工作で不作にして金に困らせ人身売買を迫るってうわさです。しかしこの話はうわさでしかないので実際にはどうなのかまでは知りません」
なんか遠回りの様に感じるが不可能ではないだろうし良く分からんな、でも大事なのはそこじゃないし置いておくか。それよりの表側も結構でかい商会っぽいのが厄介だな。
「ふーん、それでどこに行けばそのイドラ商会を懲らしめられるんだ」
「このラクタ村には俺が知っている限り3つイドラ商会の施設があります、1つ目が表通りにあるイドラ商会の販売所です、ここは真っ当な品物しか置いてないですが裏の人身売買に関わっていてここで金を払うそうです。2つ目が倉庫街にあるイドラ商会の倉庫です、こっちは真っ当な品物だけのただの倉庫って話です。3つ目はここでイドラ商会の人間取引所です、ここは基本的に受け渡し専門だって話です。あくまでこれらは俺がこの仕事を受ける時に調べた情報なので間違ってたり足りなかったりするかも知れません」
ああ、思い出した、そう言えばイドラには幻影って意味もあるしアイドルの語源でもあったな、そう考えると正にぴったりの名前だな。そう言えばなんで俺はこんなに詳しいんだ?……はあ、現実見るか。要するにフレイムが喧嘩売ったイドラ商会はかなりデカイ組織で、しかもここ以外の分かってる所は真っ当な施設か真っ当な施設の皮を被ってるから手は出せないと、詰んでるな。
「んー、不味いね。イドラ商会ってカルホーン王国でもトップの商会だよ」
「なあ、相手がイドラ商会なら雇われたのがこいつだけって事はないんじゃないか?」
「フレイム、そう言う要らない事を言うとフラグが立って第二の殺し屋が来るんだよ」
【気配探知】にはここの中に入る気配はないし大丈夫だろう、それにここの周りには凛の【空間断絶】があるから入れないはずだしな。
「とにかくこの事を……自警団に言えば良いのか?」
「うーん、それで良いんじゃいかな」
「オイ、ちゃんとこいつえっとギルに零のやった事とかジャミの能力とか口止めしとけよ」
それもあったな。でも言った所で今の綺麗な体なら誰も気づかないと思うが、口止めして困る事もないだろう。
「そう言う訳で俺たちの事はあんまり語るなよ、あとこれまでの罪は全部言うんだぞ」
「分かりました」
「あと聞く事はあるか?」
そう言うと凛がピシッと手を上げているので促すと
「なんで私の事をモンスターって言ったのかが気になるんだよ」
「その、【種族看破】のスキルで吸血鬼だとは分かったためモンスターと言いました」
「【種族看破】?そんなスキル初めて聞くぞ」
あれ、まさか嘘をついたのか?ならもう一度お仕置きだな。
「わあ、すいません。本当はこれで分かりました」
考えていた事が伝わったのかギルは小石の乗った手を差し出して来る、やっぱお仕置きが足りないらしい。
「これはサイガル教のサイガル石なんです」
「サイガル石って知ってるか?」
「あー、サイガル石は知らないけどサイガル教は知ってるぞ、サイガル教は英雄サイガルを祀る宗教で魔物の殲滅を教義に掲げてたはずだ」
どう考えても殺し屋が入る宗教じゃないと思うんだが
「別に俺はサイガル教徒ではないです、ただ昔の仕事で手に入れただけです。それでこのサイガル石なんですがこれは1番近くにいる魔物に反応してそっちに動くんです、普段街の中に入るとそこまで一定の方向に動くって事は無いんですが今回はずっと彼女に向かって動いたので良く見てみると八重歯が見えたので吸血鬼だと思いました」
「と言う事は私はサイガル教徒にあったら殺されるって事だよ」
あれ?もしかしてサイガル教はなんとした方が良い感じかな
「安心しろ、まずサイガル教はそこまで力を持ってないし、仮に力を持っていたとしてもこの世界には凛ちゃんを殺せるようなやつはほとんどいない。だから零、その底冷えする様なオーラは止めろ」
「底冷えする様なオーラは置いといて、凛を殺そうとするのは兄として看過出来ないからな、その時が来たらどうにかするさ」
「んー、凛ちゃんと木崎を同時に相手取るのか、詰んでるね。まー、その話題はそれぐらいにして今は目の前のイドラ商会をなんとかしようよ」
確かにそっちの方が急務だよなぁ、手は思いつかないけどなんとかしないとな。
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