『藪をついて蛇を出す』✖️2
シラン視点
エッジはなにやらしばらく考えてから
「そうか、ついでに聞くが凛君と翔子が戦った場合どちらが勝つと考えている」
と聞いてきたので今度はこっちが考える羽目になる、もっとも相性としては凛の方が有利なのだがいかんせん翔子さんの情報が少ない、でもわかる範囲で言うなら。
「そうだな、凛のが勝つはずだ。翔子さんの戦い方は【護身術】と【歌術】だからな遠距離戦の得意な凛の方が有利なはずだ。とは言え俺の考えとしてはあの2人を戦わせるのはやめた方が良いと思うがな」
「『やめた方が良い』か、忠告には感謝するが辞めるつもりはない。それで【歌術】とはなんだ」
「マイナー能力だし知らんのも無理はないか、【歌術】ってのは文字通り歌う術だ、当然の事だがただの歌じゃない。歌に魔力を乗せて様々な魔法みたいな事を起こすんだ、魔法との違いとしてはゆっくりと広範囲に作用するものが多いから避けずらい事だな、とは言え魔法にかなり近い物ではあるな。あとどうでも良い情報としてはなぜかしっかりと演奏までついてる事ぐらいか」
実際に聞いてみるとかなり良い歌ではあるんだがそれが向けられたら聞いてる余裕はないだろうな。
「ふむ、しかしあの時は歌など聞こえなかったが」
「単純に使わなかったんだろうよ。【歌術】は広範囲に被害が出るから屋内戦向きじゃないからな、【護身術】だけで戦ったんだろ」
「我の部下は翔子に【歌術】を使わせる程の強さもないと言いたいのか?返答によってはたたでは済まさんぞ」
本気っぽいな、これは少し面倒な事になったな。
「はっきり言えばその通りだ。例え俺が全力で挑んでも【護身術】だけでも殺られちまうぐらいには翔子さんは強い」
「凛君は勝てるのだろう」
「そんなに凛の強さを疑うなら直接挑んでみても良いんじゃないか?それと一つ勘違いしてる様だから言っておくが凛だって圧勝できる訳じゃないぞ」
「………ここに来てからろくな事を聞かんな、これが厄日、いや翔子の襲撃からの一連の流れから言えば厄年か」
間違いなく翔子さんに襲撃されている時点で厄年確定だと思うが結構ショックを受けている様なのでしばらくそっとして置く。
「少しはマシになったか?」
「そうだな、状況は良くないが状況は理解した。それでも我は復讐を辞めるつもりはない」
「そうか、ご立派な決意だな。所でどうしてそこまでこだわるんだ」
今まではそんなもんか程度だったが、ここまで強く復讐にこだわりを見せられれば嫌でも興味が湧いてくる。
「一言で言うならば我も老いたという事だろうな」
「もう少し分かりやすく言えよ」
「あの国、エッジ帝国にそして部下に愛着を持っていたのだよ。もっとも昔は箔付け程度にしか思ってなかった、だが何時からか命をかけられる位には愛着を持っていたんだ。と言ってもそれに気付いたのは奪われ街を一つ消されてからだったのだがな」
そう言うエッジの姿は確かに少し老いて見えた、
「俺が向こうの世界に行った頃に建国したんだから400年か。400年は愛着を抱かせるくらいには長かったって事か」
「ふむ、その通りだ。400年は長い、短命な種族に限らず我らの様な高位の悪魔に取ってもな」
ほとんど封印されてた俺としてはこの400年は大して長くなかった様な気がするな、いや俺が向こうの世界で封印されてなかったのは実質30年もない事を考えれば400年が大して長くなかったと思える位には濃い日々を過ごしてきたのか、
「ふむ、先達として言っておこう。シラン君は失うなよ」
「本当に老いた様だな。まあ忠告には従っておくかジジイ」
まあ放って置けない主ではあるが正直言って凛が死ぬ様な事態の時に俺に一体なにが出来るのか疑問に思わないでもないがな。
「ふっ、ジジイか。成る程今の我にはそれぐらいちょうど良いのかも知れんな」
「なんだよ、えらく素直だな。まさか昔みたいに会議に出席しろとか言うんじゃないだろうな。俺は会議なんてごめんだぞ」
「そう言えばそれも言わなくてはいけないんだったな、すっかり忘れていた」
不味い完全にやぶ蛇じゃねーか。
「もちろん出席するんだろうな。『大罪会議』に」
「耳が遠くなったのか?さっき言ったろ『俺は会議なんてごめんだぞ』って、そもそも大罪なんて勝手に着く称号みたいな物があるだけでなんで会議に出ないといけないんだよ」
「【大罪スキル】は我ら悪魔に伝わる秘伝の一つだぞ悪く言う物ではない」
じゃあせめて恩恵を寄越せと言いたいのだがこれは昔に言って『名誉な物だ」という返答をもらってるので言わない、だが俺には秘策がある。
「出たってどうせ誰も出席してないだろ」
「シラン君。400年は長いぞ、君の知る大罪持ちが我以外全滅するぐらいにはな」
「おいおい嘘だろ。会った事はないが【大罪スキル】を持てる条件は元々【大罪スキル】を持っていた者が死ぬ事と強い悪魔である事だろ、そう簡単に死なないだろう」
そう言うとエッジは自信たっぷりに答える、
「座学としては100点だ。だが400年はシラン君が思ってるより遥かに長い。それに強くとも不死ではない事も上には上がいる事もその身で知っているはずだ」
「絶対俺のいない間になにかあったろ、おこらないから言ってみろ」
「ちょっとドラゴンと揉めたらしいが詳しい所は知らないな」
くそ、誰だよそんなバカな事したのは、
「さてそれで今の『大罪会議』の出席率なのだがね86パーセントで、実質100パーセントと言って良い。なにせ【傲慢の大罪】を持ってるシラン君が異世界に行ってしまっていたからね、だが次回からはシラン君も出席して本当に100パーセントだめでたい事だと思わんか?」
「思わねーよ、だいたいにしてどんな事を話すんだよ」
「この魔大陸や生大陸の情勢だな」
いやだそんな会議出席したくない。
「誰ファ出るか、そんなだるそうな会議」
「『誰ファ』か、まあ良い時間はあるだろう。話し合おうじゃないか」
〜(説得中)〜
「あ〜〜、楽しみだな『大罪会議』」
「分かってくれた様でなによりだ」
チクショウいけば良いんんだろ行けば。
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