噂をすれば影ってびっくりする
フレイム視点
俺は今空き地にいるんだが、また零が来ないんだよな。とは言え今回は時間も決めてないし、なにより久し振りの兄妹の再会ともなれば積もる話もあるだろう。特にあの凛ちゃんは完全に行きすぎたお兄ちゃん子だろうしな。まあだからと言ってイライラしないかと言えば話は別な訳で、
「なあ」
「んー、そんなに不機嫌さ全開な感じだと答えたくないんだけど」
「答えてんじゃねーか」
まあ、ジャミなりに俺の気を紛らわそうとしてるんだろうが正直言って効果はないし、むしろ若干のマイナス効果とさえ言える。
「えー、そうカッカしてばかりだと禿げるよ」
「カルシウム、不足。小魚を、食べる」
「誰が禿げるか、俺の将来はダンディでフサフサなおじさんだからな。あと俺はちゃんとカルシウム取ってるからな」
そうだ、俺の親戚筋禿げ多いけど俺は禿げないからな。
「いやー、フサフサはともかくダンディはないな」
「禿げると言いながら否定するのはそっちかよ」
「んー、だってフサフサよりありえないよね」
なに、「当然だろう」って顔してるんだよ。
「普通に歳を取ればダンディなおじさんにはなれるから」
「あー、もしかしてフレイムの親戚って禿げが多い感じかな」
えっ。「なんで知ってるんだよ」と出かけた言葉を飲み込み平静を装って返す。
「ん、んなわけないだろ」
「あー、そうなんだ。フレイムは将来は禿げるんだね」
「フレイム、海藻は、食べても、ダメらしい」
こいつら、俺が地味に昔から気にしている事を言いやがって。
「しー、きっと海藻はフレイムの最後の砦なんだからそれをあっさり崩す様な事を言ったらだめだ」
「どんなに、目を、背けても、現実は、変わらない、世は、無情」
「おい、俺が禿げる前提で話を進めるな。それにな零だって禿げるかもしれないんだぞ」
おい、なんだそのバカを見る目は。
「あー、フレイム。木崎は不老だから禿げないよ」
「いや、その……若ハゲって知ってる」
「人間は、間違える事で、成長する、でも、髪は、増えない」
ウロボロスちゃん、名言が迷言になってるよ。
「うーん、少しは落ち着いたかい」
「それがイライラを指してるなら方向が零からジャミに成っただけでむしろ増えてるだろ。それに今までのは俺の気を紛らわす為だったの?」
「カルシウム、不足。牛乳を、飲む」
誰のせいで怒ってるのか追求しようと思っているとタイミング悪く零が来る。
「悪い。待ったか」
「遅い。なにやっ……大丈夫か?」
「あー、大丈夫?凄い顔色してるよ。薬屋行く?」
凛ちゃんと積もる話もでもあって遅くなってるなこと思ったら純粋に体調不良かよ。てか本当に大丈夫か?真っ青だぞ。
「そんなに顔色悪いか?」
「んー。毒でも盛られた?」
「いや、まあ、限りなく正解に近いがジャミさんが思ってる様な事じゃない。単純に凛の料理を食べただけだ」
はっ、えーっと。ジャミの思ってる事って言うのは裏組織から毒を盛られた可能性だよな。だけど零が言ってる『凛の料理を食べただけ』ってどう言う事だ?
「今は凛ちゃんの料理の後遺症で頭が上手く回らない零君に変わって私が説明するね。まず〜(惨劇の料理の説明中)〜という事ね」
「つまり壊滅的に料理の出来ない凛ちゃんの料理を食べたせいで零は体調が悪いという事か」
「そう言う事ね」
にしても何をしたら鮭の塩焼きが虹色になるんだよ。
「で、その元凶の凛ちゃんはどこにいるんだ?」
「よく分からないんだが、食べ終わったらどこかに転移して行っちゃったから今どこにいるかは分からないが、部屋にメッセージは残しといたしいずれ来ると思うぞ」
「んー、木崎。本当に大丈夫?」
まあ、今にも倒れそうな感じだもんな。
「無理しなくて良いぞ、今日は宿でゆっくりしたらどうだ」
「気遣いは嬉しいけど凛の料理で具合が悪いのが凛にバレるとまずいし普通に活動するよ。大丈夫だあと一時もすればだいぶマシになる」
「いやー、それは凛ちゃんに分からせた方が良いんじゃない」
正しいんだろうけど、零ってかなり妹である凛ちゃんに甘そうだし無理な気がするな。
「それは止めておいて、せっかく凛が俺のために作ってくれてるんだし、味とかはともかく嬉しくはあるんだ、ただ作るものが毒物過ぎるんだよな」
「あっ、てっきり凛が可哀想だから無理とか言うかと思った」
「えー、色々言ってるけど要は凛ちゃんに甘いだけじゃない」
おーい、ジャミ。零が崩れ落ちてるぞ。
「分かってはいるんだがな、こう、どうにも成らないんだよね」
「そー言う時こそ、第三者の視点ではっきり物の言える人に任すべきじゃないかと思わないかな」
露骨にアピールして来たな。
「じゃあジャミさんに凛の料理指導を頼んでも良いかな?」
あっ、そこは料理指導でやんわり伝えるんだ。
「ストーップ、2人とも止めるね。前に凛ちゃんの料理を改善しようと零君が料理指導を試みた時は完全に失敗したね。なぜか指導するたびに毒性が上がる上に、当然料理指導をすれば料理が出来るね。つまり、指導する度に凛ちゃんの料理を食べないといけないね」
悪夢じゃねーか!
「そうか、まあすぐに思いつく様な事は試しているって事か。考えれば当然か、しかも結果が結果だけに『もう1回試してみよう』という訳には行かないしな。どうした物か?」
「困ってるならこの私に任せるんだよ」
これが噂をすれば影ってやつか。………心臓と頭皮に悪いな、小魚と牛乳買って帰ろう。
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