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自分のあずかり知らぬ所で運命が決まる

グリモアール視点


「凛様、ようやく終わりましたね」

「全くだよ、あの年増があんなに硬いとか想定外だよ」

凛様わはそうぼやきながらも血液ドームを解除してアヤメを解放する。

「さて、あの耐久力ですし必要ないかも知れませんが一応水、血を吐かせるなどの処置をした方が良いかと」

「いや、きっといらないんだよ。飲んだ血を消せば勝手に呼吸するんだよ」

「確かに吐かせるより確実で手っ取り早いですが、大丈夫でしょうか?」

などと聞いてみるも、凛様は答えずに血を消してアヤメの口の上に手をかざし

「呼吸確認だよ。それじゃあ……適当テレポート」

「凛様!今のは完全にどっかに捨てましたよね」

「そんな事はないんだよ、ちゃんとこの星の陸上で『壁の中にいる』展開も『海の藻屑』展開も『宇宙の藻屑』展開もない良心設定なテレポートだよ」

そう言うと良心的かも知れませんけど意識のない人をどっかに捨てる時点で良心的じゃないですからね、言ったら長くなりそうなので言いませんけど。

「案外ラクタ村に飛んでるかも知れませんね」

「そんなヘマはしないんだよ、しっかりとラクタ村付近は除外してあるんだよ。でもそう言えば高度設定を忘れたんだよ、まああの頑丈さなら高い所から落ちても平気だよ。じゃあ用件は済んだし早くお兄ちゃんの朝ごはんを作るんだよ」

ああ、恐怖の料理タイムが始まってしまいます。しかももう応接室に戻ってるじゃないですか、ロウ様になんて言うつもりなんですか。

「アヤメはこちらで適切に処置したから心配ないんだよ、後大銅貨4枚も気にしなくて良いんだよ。他に用がないなら私は忙しいのでこれで失礼したいんだよ」

その言い方だと完全に殺っちゃてるじゃないですか。

「ふむ、適切な処置とはどの様な処置ですか」

「適切な処置だよ」

「言えないという事ですか」

これ完全に殺ったものだと思われてますよね。

「ロウ様、心配せずともアヤメは生きています。それだけはお答えさせて下さい」

「生きてはいるはずだよ」

凛様!言い方をなんとかして下さい。

「うーむ、分かった。また会う事は出来るだろうか」

「運が良ければ会えるんだよ」

「そうか、…………では失礼した」

そう言ってロウ様は去って行った。

「凛様、あれで良かったんですか?もしかしたら魔物討伐斡旋所を敵に回したかも知れませんよ」

「お前、もっと言い方があったろ。それで結局アヤメはどうしたんだ?」

「アヤメはどっかに捨てたよ。それとあの状況ではなにを言っても無駄なんだよ、だからさっさと帰ってくれるようになにも答えない態度で臨んだだけだよ」

さっさと帰ってくれる様にってもしかして

「凛様、もう良い時間ですし零様に料理を作るのは諦めた方が良いかと」

「なに、…凛料理するのか。するつもりなら止めておけ」

「おことわりだよ。いざ厨房だよ」

そう言って凛様は転移を発動する。そして転移したという事はここは、

「ち、厨房」

「どうしようも、ないと言うのか。この絶望を止められないのか」

「なんで2人とも最終兵器が起動したみたいな反応してるのか聞きたい所だけどまあ良いんだよ。時間もないしグリモアールはこれを元気よく読み上げるんだよ」

最終兵器(りんさまのりょうり)が目覚めるんですよ。えーっと読み上げる内容は、

「『凛ちゃんの1時間半クッキング』…あの凛様1時間半ってあんまり特別感がない様な気がするので止めにしませんか?」

「それ以前にそのタイトルコールみたいのが必要ないな。料理は中止だ」

「五月蝿いんだよ。あのうっとうしい年増を適当な所に飛ばしてようやく料理ができるんだよ、だと言うのに事ある毎に私が料理するのを止めようとするなんてひどいんだよ。それに本当ならもっとしっかりとした料理が作りたかったのに都合により時間短縮レシピなんだよ」

1時間半は時間短縮レシピではないと思いますよ、それに止められたくないならきちんとレシピ通りにお願いします。

「良いか、お前が零さんのために料理を作っても零さんは喜ばない。良いかげんにそれに気付け」

「なにを言うかと思えば、そんなはずはないよ。いつも少し爆発したりするけどお兄ちゃんは『いつも斬新な味で美味しい』って言ってくれてるよ」

マズイですね、不機嫌な時の症状である語尾が『〜だよ』じゃなくて『〜よ』になってますね。

「零様は凛様が指を切ったりしないか心配なんですよ」

「そうだ、だから料理は止めるべきだ」

「う〜ん、でも私は作るんだよ。だって私は頼れる妹を目指すって決めたんだよ」

しまった、そんな事も言っていました。私としたことが、やはり焦りは禁物ですね。

「それならお兄ちゃんが心配にならない様に毎日料理すれば良いんだよ」

「止めておけ、零さんはきっとそんな事は望んでない」

「そうです、それに毎日料理をするのは大変ですよ」

これだけは絶対に阻止しなくては、零様が死んでしまう。

「毎日じゃあ特別感がないよな」

「ええ、それに毎日となると料理の質も落ちます」

「その上、零さんと一緒にいられれ時間も減るな、それに零さんの作る料理も食べられないな」

おお、さすがシランさん私より断然凛様との付き合いが長いだけありますね。

「わ、分かったんだよ。そこまで言うなら毎日は止めるんだよ、でも今までより料理する頻度は増やすんだよ」

ああ、限界だ。隣のシランさんも同じ様な表情をしている。零様、無力な私達を許してくれますか?

「心配しなくてもちゃんとシランの分もグリモアールの分もあるんだよ」

私達も共に行くので許して下さい。

最後まで読んで頂けたら幸いです。

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