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口だけでなく手も動かす

活動報告にも書きましたがここにも書いときます。しばらくは更新日は火曜日と金曜日以外にします。

アヤメ視点


前をなにやら機嫌がよさそうに歩く職員のロウさんを見ながら考える。筆記試験じゃあないって事はやっぱり実地試験だよね、まあ私は零君にも「その先が読めないところはすごいと思う」と褒められた事もあるしあの血の巨人倒したしどんな試験でも突破する自信はある。

「まさか討伐に出る前からドラゴンと戦うとは、アヤメのハードラックもここまで来るといっそ清々しいな」

えっ、ドラゴンと戦う?

《どう言う事なのゴールド》

「どう言うもなにもこれから戦うんだろ。そちらのドラゴンと」

そちらのドラゴン、つまりロウさんである。なんて言っている場合ではない。

《まさかとは思うけど試験って私とロウさんが戦うの?もっとこう、ね。あるじゃん『これが捕まえておいたゴブリンだ、さあ倒してみろ』的な感じじゃあないわけ」

「それはないだろ」

思いっきり呆れを含んだゴールド返事だがそれどころではない。ドラゴンと戦うのはさすがにまずいと思う。なにがまずいって『ドラゴン』って所がまずい。でもロウさんって正直言ってなんか蛇人って感じなんだよね、だから案外いけるんじゃないかな。

「着いたぞ。いつでも始めて構わない」

なにやら広いところに着いたらロウさんはそう言って完全に高さ5メートルほどのドラゴンになる。一言で言うと黒龍って感じ?ここで人生終了のお知らせかなぁ。いや零君に会えずに死んじゃうとかシャレにならない。スイッチ切り替えて行こう。

《行くよゴールド。私は死ぬ時は零君の腕の中って決めてるんだ》

「思いが成就するかは分からんがそう気負うな、落ち着けば勝てる相手だ。それにドラゴンキラーってのも悪くない響きだろ」

「そうかもね。励ましてくれてありがとう」

ゴールドを抜いて気合いを入れる。

「行きます」

「来い」

そう言ってロウさんは爪を振るってくる。

「良かったな、今回の相手はアヤメとの相性が良さそうだ」

無責任な事を言っているゴールドは無視して正確に私の位置に来てる爪を受け止める。派手な金属音がしたが想像してたよりはるかに軽い一撃だった。なにか嫌な予感がして後ろに飛び退く、すると上から来ていた尻尾が地面を叩く。威力から言ってこっちが本命だったのだろう、にしても

《非力すぎない?まだ【金体化】はもちろん【豪腕】も使わない乙女の細腕で余裕なんだけど》

「………お前が馬鹿力すぎるだけだ」

女の子に向かって馬鹿力はないよ。そんな事を思っているとロウさんが息を吸っている、あれブレスってヤツかな?

「グラァ」

予想は当たってた様で黒い火球が迫って来る。そう言えば零君が『上手くやれば水だって空気だって切れる』って言ってた。

「えいっ」

スキルは使っていないが思いっきり振り抜くと火球は砕け散った。『やっぱり零君は頼りになるなあ』と思うとつい顔がにやける。

「ふむ、さすがだ。自然体で居られるのも当然の実力だな」

そう言うとロウさんは元の人型に戻って、

「テストは終了。言うまでもないが合格だ、仕事を依頼させてくれ」

「ありがとうございます」

「猫をかぶるのは一流だな」

いらない一言を入れてくれたお礼に少し乱暴にゴールドを戻す。

《これで問題なくお金を稼げる。あとは零君を見つけて、あいつに復讐をするだけだ》

「だけって言うがまだ手がかりの一つも手に入れてないだろ」

問題ない。ここまでついてないことが多かったんだからきっとそろそろいいことが来るに違いない。



ラクタ村 裏組織下っ端視点


「なあ、こんな事が出来るやつに勝てると思うか?」

俺は片付けてる壊れた牢屋を指して同僚に聞いてみる。

「バカ、俺たちが単独で立ち向かった所で死ぬか昼のヤツらみたいにのされて終わりに決まってんだろ」

「だよな、正直俺たちみたいな下っ端からすればこいつと揉め事なんて起こして欲しくないんだが……むりだろうな〜」

「当たり前だろ、こんな事されて黙ってる訳にはいかないからな。とは言えこんな事が出来るバケモノとはやり合いたくないな」

一応、雑談をしながらでもちゃんと手は動かしている。時間までに片付いてなければ良くて殴られる、悪けりゃそのまま墓場行きなんてこともあるかも知れない。

「なあ、噂で聞いたんだが今回揉めてるやつってAランク冒険者らしいぜ」

「Aランク冒険者とかサイアクじゃないか。あいつら本当に化け物だからな」

「ああ、よく聞くやつだろ。Hは雑用、Gは見習い、F・Eは初心者、Dは才能ないやつの限界、Cあれば十分、Bは微妙、Aは化け物、Sはお偉いさんってやつだろ、俺はDから上がよく分かんないだよな」

そう言うと同僚はどこか得意げに話しだす。

「それはな、Cランクでだいたいの依頼は受けれるんだよ。だからCあれば十分ってワケだ、BランクはBランク向けの依頼ってほとんどないからだな。だからBは微妙、Aランクに成るには普通に試験を受ければ良いんだがその内容が貴族に実力保証して貰うってヤツなんだよな、でも早々保証なんかしてくれないからな、後で話すが保証しても自分の息のかかったやつのランク上げのためがほとんどだからな直ぐSランクに上がるんだよ。なにせ保証したヤツが無様な結果を出すと保証した貴族に責任が来るからな、まあだからAランクのヤツらは貴族が本当に実力を保証した化け物ってワケだ、でSランクは貴族が雇ってる冒険者だからAランクは通過点、Sランクだと完全にお抱えだから外からとやかく言われないんだよ。だからSはお偉いさんってワケだ。分かったか」

よくしゃべるな、とは言えなんとなくなぞは解けたな。

「まあ、Bランクが不憫だって事は分かったよ。……冗談だ、そう睨むな。一つ気になったんだがAランクの方が上に見られるならAランクにしとけば良いのになんでSランクにするんだ?」

「単純に雇ったらもうSランクになっちまうのと、あと基本的に他の貴族が雇ってるSランクを引き抜くのはマナー違反だから引き抜き対策とかにもなるらしいな、あとよく分からん貴族的な見栄とかがあるらしい」

あー、貴族ってよく分かんない所気にするからな、とは言ってもここの国の貴族はそうでもないんだが。

「じゃあ俺たちは喧嘩売って来たのがAランクじゃない事でも祈りながら片付るか」

「そうだな」

そんなこんなで片付けは進んで行った。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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