修羅場も見方によっては両手に花
最後まで読んで頂けたら幸いです。
フレイム視点
「あ〜気持ちわり〜、頭いて〜、完全に二日酔いだ」
そんな最悪な目覚めを迎えたがそれよりも大事な事がある。
「ここどこだよ、それに、ディアレストは?」
一言でこの場所をあらわすなら『牢屋』それも陽の当たらないジメジメとした地下牢だろう。
「まあ、囚われてるなら武器がないのは当然か」
状況的には囚われてると見て間違いないが、問題はどうして囚われてるいるのかだ。もし、酔っぱらってそこらへんで寝てるのを自警団かなんかに見つかって牢屋にいるならここでじっとしているべきだが、非合法の組織にでも捕まったなら即脱出するべきだ。
「まあ、昨日の事を思い出せば良いんだよな」
えーと、昨日は確か零達の礼儀指導が終わった事だし3人で集まる約束をしてたんだよな。でも、零が遅かったから迎えに行ったら零と氷花さんがイチャイチャしてたんだ。それでショックを受けて酒を飲んで、飲んで、どうなったんだ?あれ、もしかして二日酔いじゃない可能性があるな俺が飲み始めたのは朝だからまだ日が変わってないかもしれないな、だからどうしたって話だけど。
「分からないな。取り敢えず動くか」
牢屋の格子を叩いてみると造りがしっかりしている事が分かる。
「これは自力で出るのは厳しいか?」
身体強化を全力でかけて壊れるか壊れないかの微妙なラインだ。
「やって見るしかないか」
全力鉄格子を殴ると、鐘でも鳴らした様な音がして鉄格子が歪む。おおよそ作戦通りだが1つ想定外の事があった。
「頭に響く、二日酔いがヤバイ」
「何事だ!!」
牢番のやつが来るのは想定の内だが、二日酔いのせいで格子を壊す前に来てしまいそうなので二発目を放つ。
「あ〜、頭がガンガンする」
とは言えあと一発で壊せそうなので、最後の一撃を放つと派手な音を立てて格子が飛んで行く。
「取り敢えず脱出成功だな」
「貴様、逃すと思うなよ。くらえ」
牢番は刺股を突き出して来る、なかなかの腕前だが。
「その程度でやられる訳ないだろ」
刺股を掴んで逆に押し込み、牢番の鳩尾を柄でつく。
「ついでにこいつも貰っておくか」
刺股なんて使ったことないが素手よりは良いだろう。
「脱走者だ、捕まえろ」
新しく来たやつがそんな事を言いながら持っていたベルを鳴らす。
「まあ、予想はしていたがこうも大量の追っ手が来ると嫌になるな」
フレイムの気配探知にはベルの音に反応して動き出した者が大勢いる事を察知していた。
時は遡り
零視点
しばらく若干不満そうな2人を撫でていると、まあ良いかという感じになって来たが一体俺はいつまで撫でてれば良いのだろう。まあ、いつまでも撫でていたいぐらいには手触りが良いのだが。
「いつまでこうしてるんだ?」
今すぐ止めたいぐらい居心地は悪い。
「あー、そうだね、いつまでもこうしている訳にも行かないしね。あれー、フレイムがいない」
「フレイムなら食堂でスピリタスをストレートで頼んで断られてたぞ」
「スピリタスのストレートとか正気じゃないね」
その通りだな。
「食堂で、断られて、バーに、行った。ジャミ、オレンジ、ジュース代、銅貨、一枚、ちょうだい」
そこまでしてスピリタスが飲みたかったのか。
「えー、バーってどこのバー?」
いや、単純に焼け酒か?
「確か、バー、トマホーク」
「んー、確かトマホークってここから結構遠かった様な気がするんだけど」
まあ、テレジアさんの事だからその距離で頭を冷やせって所かな。
「まあ場所が分かったんだし早く迎えに行こう」
「いや待つね零君、フレイムはきっと焼け酒を飲んでる所なんて見られたくないね。だからここは一緒にゆっくり街でも見て回るね」
いやそっちの方がかわいそうなんじゃ?
「あー、そうだな。確かに焼け酒飲んでる所なんて見られたくないよな、じゃあ俺がラクタ村を案内しよう。ラクタ村にも近づかない方が良い様な所があるからな」
そんなもんか?焼け酒なんて飲んだ事ないから分からないな。
「分かったよ。それでも一応カラスは付けとくよ。トマホークはどっちの方向にあるの」
これを付けとけば道端で酔いつぶれても拾いに行ける。
「えーと、トマホークはあっち側の斧のマークの看板がある店だよ。それより、カラスってなに?あの黒い鳥?」
そうか、ジャミさんは知らないのか。
「俺のスキルの1つで魔力で作ったカラスを作るのがあるんだよ。そのカラスと視界を共有したり自動である程度言う事を聞かせたり出来るんからそのカラスをフレイムに付けておこうと思ってな」
「あー、なるほどそれを付けとけば酔いつぶれても助けに行けば良いって訳か」
行った方が良いとも思うんだが2人は行かない方が良いと言うし多分これが最善だろう。
「行ってこい」
宿の窓から魔力で作ったカラスを飛び立たせる。
「それじゃあ行くね零君」
と言って氷花に右手を取られる。
「えー、それじゃあ、案内するよ」
と言ってジャミさんに左手を取られる。
「行こうか」
早くも帰りたい気持ちを抑えて俺はそう言った。
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