世の中そう美味い話はない
時はほんの少し遡り
葉炎視点
あやつが一切考える様子もなく思考誘導を否定したのはかなり怪しいのじゃ。通常思考誘導を掛ける時は最初に『思考誘導されていない』と言う思考誘導を掛けることが多いのじゃ、これは記憶や他の思考と矛盾しても思考誘導されていると言うことに気付きにくくさせるためじゃな、とは言えこれを掛かるせいで余計に時間がかかる とも言えるんじゃがな。まあ所詮便利そうな産廃じゃからな。産廃な理由としては、第一に習得出来る者が少ないのじゃ。第二に記憶や他の誘導してない部分の思考と矛盾から勝手に解けることもあるじゃ。なにより第三に思考誘導は掛けるのに最低でも何十時間も掛ける必要があるのじゃ、じゃから、正面から戦いながら掛けるのは不可能に近いのじゃ。射程も30メートルぐらいしかないしの。まあ思考誘導の唯一の救いは累積して掛けることも出来ると言うことと、掛かれば強いことぐらいじゃからな。纏めると。
・思考誘導は記憶等と矛盾することが多く、そこから勝手に解ける場合もある。
・思考誘導は射程も短く時間も掛かる。
・1番最後は『思考誘導されていない』と思考誘導することが多い。
・累積して掛けることも出来る。
・掛かれば強い
まあこんな所じゃな。少しばかり考えが逸れたがあやつが即答で否定した以上なんらかの思考誘導を受けておる可能性が高いと言うことじゃな。とは言えそれをどうやって2人に伝えるかじゃが、いつ何時利用されるとも限らんのじゃ、手っ取り早く素直に言うのが一番じゃろうな。小娘が妾の話を素直に聞いてくれると良いのじゃがそう上手く行くかのう?兎に角人化して話すのじゃ。
「先程ぶりじゃな、小娘」
「氷花ひゃん。大丈夫?結膜炎になってるんだよ」
話し方が違うじゃろうが、これだから酔っ払いは嫌なのじゃ。
「えっ、零君ちょっと見て欲しいね」
氷花も酔ったのか?いや、氷花は昔っからどっか抜けた所があったのじゃ。
「取り敢えず落ち着け、先ずこの氷花にそっくりなのが氷花の姉の葉炎だ、決して氷花が結膜炎になった訳ではない。そして氷花の目はいつも通り綺麗だぞ」
おぬしも少しは自重するのじゃ、なにさらっと『氷花の目はいつも通り綺麗だぞ』とか言っとるんじゃこの誑しめ。
「葉炎?お兄ちゃんを傷付けたやつだよ」
「そうじゃ。そのことに関して申し開く気は一切ない。じゃがそれとは別に聞いてもらいたいことがあるんじゃ」
「申し開く気はないと言うなら死ぬんだよ」
ぬう。小娘の酔いが醒めた様じゃが、取り付く島もないのじゃ。やはり無謀が過ぎたか?
「凛、ちょっと待ってくれないか。葉炎には葉炎の事情があったんだ」
おお、助かったのじゃ。これで話が良い方向に向かうと良いのじゃが。
「私からもお願いするね、お姉ちゃんは思考誘導を受けてただけで悪気はなかったね。だから許して欲しいね」
「お兄ちゃんと氷花ちゃんがそう言うならそれで良いんだよ。でも次はないんだよ、あとまさかとは思うけど小娘って私のこと?」
いかんのじゃ、永らく生きてきたのじゃが他人に気を使うことなど刀に成ってからなかったからどうにも上手くいかんのじゃ。
「そうじゃな、悪かったのじゃ。これからは凛で良いかの」
「凛様だよ」
小娘め調子に乗ってるのじゃ。じゃがここで騒いだ所でこじれるだけじゃ、ここは1つ妾が大人の対応で行くかのう。当然後で正すつもりじゃがな。
「分かったのじゃ凛様。それで聞いてもらいたいことはこや、ゴホン零…さんのことじゃ」
怖いのじゃ、妹も小娘も妾がこやつのことを呼び捨てにしようとしたら物凄い 形相で睨んで来たのじゃ。
「お兄ちゃんがなんなのか気になるんだよ」
「そうじゃな。単刀直入に言うのじゃ、零さんは思考誘導されてる可能性があるのじゃ」
「いや、だからそれはないだろ」
やはり直ぐに否定するんじゃな、ますますもって怪しいのじゃ。じゃがもう氷花も小娘も気付いておるのじゃ、こうなれば勝ったも同然じゃな。
「零君、物は試しね、もしかしたらなにか良くない術が掛かってるかも知れないね、気がひけるかも知れないけどやって見て損はないはずね」
「そうだよお兄ちゃん。思考誘導は受けてなくても他のなにかを受けてる可能性はあるんだよ」
「まあそこまで言うならやって見るか、自分で自分を切るとはなんとも変な気分だがな。氷花頼むぞ」
「任せるね」
そう言って刀に成った妹であやつは自分の腕をちょっと切ったのじゃ。
「どうじゃ?」
「うーん、確かになんか切れた様な手応えはあったんだが……特になにかが変わったって感じはしないかな」
「『切れた様な』ってことはどう言うことか気になるんだよ」
そう言われるて零が悩んでる間に氷花が人化するのじゃ。
「なんて言うのかな、もうボロボロで切れる寸前の物を切ろうとしたけどボロボロ過ぎて当たっただけで切れたって感じって言えば良いのかな?………あっそうだ!魔法の残りカスを切ったって感じだな」
「魔法の残りカス?て事はもう解けてたってことね?」
「解けてれば残りカスなんてないんだよ、そう言えば氷花ちゃんはなんか感じなかったの」
そうじゃな、残りカスなんて物が出来ると言うことは一回思考誘導を掛けたは良いが最後まで掛けられなかったと見るべきかも知れんのじゃ。
「なんか感じたりしてたら言ってるんだよ。まあでも確かになんか切れては居たんだよ」
我が妹ながらあんまり当てにならないのじゃ。
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