止まらないことが大事。
短編には短編の良さがあり、書く上での難しさも有りますが。
やはり長編こそ、小説の華!というわけで、今回は長編を書く上でのヒントなどをまとめてみます。
主に私の体験が元であり、個人的な意見ではありますが、これから長編へ挑戦する方へは、参考になるのではないかと。
はじめに、私自身について書いておくと、このサイトでの活動歴は2年ほど。
最初に完結させたのはコメディ「百合魔法少女マジカル☆リリィ」で、約7ヵ月で35万文字。
2作目「百合メイド喫茶へようこそ♪」が私の代表作で、ほぼ1年で50万文字。
つい先ごろ、シリアス有りのファンタジー「姫君革命」を、途中エタりつつも15万文字で完結させました。
作品のタイトル通り、主に(というかほぼ全て)ガールズラブばかり書いている、ガールズラブ専用書き手です。
そのため、このエッセイで言うことは、「小説家になろう」の主流である異世界テンプレの書き方とは、異なる部分も有りますが……なるべくジャンルを問わず参考になるよう書こうと思います。
ちなみに、最初に定義づけをしておくと、このエッセイで言う「長編」は、だいたい10万文字以上、文庫1冊くらいをイメージしてると思って下さい。
※ ※ ※
1・プロットは作るべきか。
プロット。いわば、小説の設計図。
小説の書き方のアドバイスなどを見ると、「まずはプロットを!」というのも多いですが。
正直、無くても書けます。
これは人による部分で、正解は無いかもしれませんが、長編の場合、あまりプロットを決めても、書いていくと必ずズレが生じてきます。
キャラクターが自由に動いた結果であったり、ズレが生じる理由は様々ですが、このズレを修正しようと躍起になって、初めから改稿……とかすると、だいたいエタります。
なのであまり細部まで練り込んだプロットを作るよりは、ズレが生じても進行できるよう、大筋だけを決めておくことを、私はおすすめします。
「起承転結」でも「序破急」でもいいですが、物語の導入部と、いちばんの盛り上げ所、終着点くらいがイメージできたら、それ以上は考えるより書く。
書き進めながら微修正するのも、長編の執筆には必要な能力です。
むしろプロットとズレても、面白ければいいと思います。
当初の構想とお話がズレてきた時に考えるべきは、「どう直すか」ではなく、「直すのと、このままと、どちらが面白いか」でしょう。
キャラクターが動いた結果ズレるなら、そのまま書き進めた方が面白い場合も多々あります。
とにかく、書き続けることをやめない。長編を書く最大のポイントです。
千里の道も一歩から。長編は一日にして成らず。
「振り出しにもどる」に等しい改稿は、危険です。
そうは言っても、止まりやすい部分というのは有るので。
執筆が止まらないようにする、プロットとズレても書き進められるようにするポイントを、2つ挙げます。
ひとつは、「作品に主張、テーマを持たせる」こと。
テーマの無い小説が無価値とは思いませんし、高尚なテーマだけ有って娯楽性に欠ける……作者の「読ませる努力」「伝える努力」が無い作品は、むしろ低く見ているのですが。
長編をぶれずに書き続けるには、作者の、作品に込めたい想いとか、伝えたい主張などが有った方が、書き易いです。
別に「平和とは?」「人生とは?」なんて大仰なテーマでなくてよいです。
「美少女同士が仲良くしてると萌える!」とかそんなでもいいので。
作品の芯となる部分。お話の細かい流れが変わった程度では影響されない、揺るぎない部分。
これを確立させると、お話に一本筋が通り、長編であっても書き進めやすくなります。
もう一つは、初めから、「動かしやすい主人公を設定する」こと。
これは私の連載の反省点からですが、最初の連載「姫君革命」は、15万文字と長編としては短めながら、途中何度か中断し、完結に2年掛けてしまいました。
主人公が大国の姫君であり、かつリアリティの強い世界観だったため、自由に動かしにくかったというのが、途中止まった理由です。
ファンタジーとは言っても、剣も魔法も出ない、歴史風味の作品だったので、「いきなり魔王が攻めてきたので戦いに行く!」とか無茶な展開が出来なかったわけですね。
こうした理由での中断を回避するためにも、主人公は「動かしやすさ」を念頭に置いて考えた方が良いと思います。主人公に明確な目的があると、それを軸にお話を進められるので、書き易いです。
私の作品の場合、「本来巻き込む側の立場のお姫様を主人公に、しかも性格は巻き込まれるタイプ」にしてしまったのが失敗でした。
とはいえ「姫君革命」は他のキャラが主人公では成り立たない作品ではあり、初めて長編に挑むには難易度が高すぎる題材だった、というのが自己分析です。途中コメディ作品で修業し直さなければ、完結出来なかったと思います。
いや別に2年掛かった言い訳ではないのですが。2年掛かった言い訳ではないのですが!
《続く》
次回は「初めての人でも書き易い長編」について。
アニメみたいに細かく話数を分けると、構成が楽ですよ!という話。