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JACKET フリーワンライ企画

喧噪地点

 息を吸うように流れる景色を眺め、息を吐くように毒づいた!俺は歩いていた、空には€(ユーロ)が舞っている、貨幣が支配した過去の価値は今や幻影、巨額の紙切れは冬の寒さの凌ぎの為に焚きつけられた粗末な燃料。


 エネミーは溢れる、まるで現象のように、伝播する衝動、これはあたかも新たな災害…


 人!

 すれ違うたび着火する、視線の電荷は擦れ合う火花。

 毎瞬!街は戦場だ、狂い怒った猛獣の牙、表情に隠蔽された死のアドレナリン中毒者、互い熾烈に放電を待つ…


 エネミーは溢れる、錯綜する世界線の危険、凝視みつめるとメルトダウン、これは新たなアナタが害毒!


 俺は練り歩く、しつこく、短く、当て度なく可能性。

 向こうから来る、逼る、宿る、イビルなる邪道癖。


 奴の名は『布団のぬくもり』…透明に見える奴の背後には、ちゃんちゃんこ着た不気味に笑い布袋様、担いで、透明におぶって、奴はシャム双生児の要領で対に孕むは奴らの情動…


 我が敵に不足なし、行き場失くして肝臓に溜まったエネミーが、とうとう俺の骨身を射す!…痛み…太陽さえギラギラと跳ね返して虹の彩色にギラつく液汁えきじゅう…頚動脈を…締め!頭蓋骨を…キめ!神経系を…暴力の闇色に染めた!!

 そう、鉱石が俺を蝕んだ!暴れ滲んだ虹色の茨…


 もう限界だ…俺は朽ち果てようとしている…己の魂を餌とした…あっけらかんとドSな悪鬼!不快…深い晦渋…我が陰翳の怪獣は…刹那の徒花地獄の殺生!!


 ジャンケンはもう息も衝けぬ世界、交錯する熱視線の喧騒地点、そら高き想像の威厳、曇る頂点は羨望の圧縮点!


 広がっていく…奴の境涯は略奪の開眼、旧き鎖絶たんと両の手廣げ、宇宙へと跨がるは…相反しては永久の欲求…


 逃れられぬ運命に…我が宿敵は我を宿して……

 

 鮮血!!!

 奴の腹部を捉えるは、千切れ裂かれて風に舞う、視るも憐れな砕かれたチョッキ、美事破るは獰猛な、我が手麗し鐵拳の一突き。

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