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一章 ➇神様のいたずら

「あたまいてぇ……」


結局、俺の勇者任命の後、丸一日飲めや歌えの大騒ぎだった

もちろん俺も例外ではなく丸一日飲み食いしていた


ただ、酒を飲んだのがまずかった

なんでもこの国では17歳で成人し、酒が飲めるようになるらしい

えっ?日本の法律?ナニソレオイシイノ?


初めての酒に調子に乗って飲みすぎた結果が、この有様である

そもそも、よく丸一日ぶっ続けで飲んで急性アルコール中毒を起こさなかったものだ


俺が、二日酔いを醒ますべく街中を歩いていると


「あ、待ってくださーい」

どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた

振り返ってみるとあの時のギルドの女性職員がこちらに走ってきていた


「お前……」

「あの時は申し訳ありませんでした!

上からの命令だったもので!」

上からの命令でも人を拉致するのは如何なものか


「で?何しに来たんだ?」

「あっ!忘れるところでした!

えーっと、はい、これが先日渡し損なったギルド証です!持っていると念じるだけで自分のステータスが見れるようになりますので」


結構便利な能力がついているようだ

早速確認しようとしてステータスを念じてみた


シノミヤ=ケンイチ


年齢 17

性別 男

職業 勇者(笑)

レベル 1


HP 237

MP 3265


ステータス

ATK 95

DEF 89

AGI 91

TEC 97

LUC 152

MAT 117

MDF 84


アビリティ

『魔法適性』

『魔眼持ち』


称号

『神速の逃亡者』

『食いしん坊』


称号だけ見たら完全にやんちゃ坊主である

それはそうとこのステータスは高いのだろうか?


「平均的なステータスは見ることはできないのか?」

「できますよ?ギルド証のギルドマークをタッチしてみてください」


平均を確かめるためにギルドマークをタッチすると


イッパン=ジン


年齢 21

性別 男

職業 冒険者

レベル 1


HP 18

MP 7


ステータス

ATK 2

DEF 3

AGI 4

TEC 4

LUC 1

MAT 2

MDF 4


アビリティ

無し


称号

『厳格普遍の正常』


ナニコレ?

名前のつけ方も衝撃的だが

それよりもステータスの差がありすぎる

俺はてっきり平均60くらいだと思っていたんだが…


「これ、桁を間違えてない?」

「?、いえ、正常ですけど?」

「そうか……ちょっと待っててくれ」


俺はこの現象を引き起こしたであろう人物へと電話をかけた


「はーい♪久しぶりだね〜♪」

「この異常なステータスお前の仕業か?」

「気に入ってくれた〜?」

「ふざけんな!限度ってもんがあるだろ!」


これではどちらかというと俺が魔王だ

……だんだんあたまの痛みがひどくなってきた

「あと、王様に君が勇者になれるように『神託』しておいたか…」


ブチッ

……なんでこいつは余計なことしかしないんだ

「どうかされたんですか?」

「いや……なんでもない、ちょっとあたまが痛くなっただけだ」

「そうなんですか、飲みすぎはいけませんよ。あっ、それと三日後に旅立ってもらう予定なので準備しておいてくださいね、お大事に〜」


そう言って女性職員は行ってしまった

そうか、俺、勇者になってしまったんだ…


「……………はぁ」


俺の溜息は誰にも聞かれることなく街の喧騒の中に沈んでいった

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