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一章 ⑥俺氏勇者にされる(後編㊀)

俺が目を覚ましたのは、豪華な天蓋の中だった

一度、状況を整理するために立ち上がろうとしたが、身体(からだ)に力が入らない

何かおかしいと思い、首だけを動かして自分の体を見渡してみると


「……まだはめられてるのかよ」

きちんと右腕に『拘束の腕輪』がはめられたままだった

……それにしてもこの『拘束の腕輪』

腕一本動かせないとは、すごい効力である


それでも、なんとか腕輪を外せないだろうかともがいていたら、部屋の扉が

厳かな音を立てながら開いた


「よく眠れたかね?」

赤色のローブを羽織った、いかにも、いかつい顔のおじいちゃん、といった感じの人物が現れた

こいつが王様だろうか?


「あんたがこれを命令したのか?」

「いかにも、私が命令した」

やっぱりこいつが王様か

俺は無理だとは思いながらも、王様に『お願い』をしてみた


「今すぐにこの腕輪を外せ」

「……君はものの頼み方も知らんのかね?」

お前みたいなやつにはこれで十分だ


「聞きたいことは、たくさんあるだろうが、後にしたまえ。お前たち、彼の着替えを手伝ってあげなさい」

そう言うと王様の後ろから、メイド服の従者が二人現れ、俺の服を脱がし始めた


「ちょっ……!?」

俺の驚いた様子も気にすることなく

着々と着替えを済ませていく


…数分後

「……俺、汚されちゃった」

「うむ、その言葉の意味は理解できんがなかなか似合っているじゃないか」

着替えが完了し、俺は天蓋の中で泣き崩れていた

といっても、体は動かせないので涙だけの抗議となった


……こいつだけは絶対に許さん

いつか絶対に暗殺してやる…!

ちなみに、元々着ていた服は洗濯してから返すそうだ

訳のわからないところで律儀である


「しばしそこで待たれよ」

そう言って王様は出て行った

待つも何も腕輪のせいで動けないんだが……


天蓋の中で寝て待っていると

さっき俺の服を脱がしたメイドの一人がやってきた

「王様がお呼びです」

とだけ言って去っていった


……終わり!?

どこに行けばいいのかわからないんだけど!?

って、動けるようになってる?

効果切れか何かだろうか?


少し不思議に思いつつも、ストレッチをして、長いこと動かしてなかった体をほぐす


からだが動くとなったらこんなところにいる必要はない

さっさと窓から逃げ出そう

窓を開き、飛び出すべく助走をつけ

勢いよく窓から飛びだ……


「へごがぶっ……!?」


……せなかった

飛び出そうとすると不可視の壁のようなものにぶつかってしまい、外に出ることができなかった


やはり廊下を進んでいくしかないようだ

そういえば、未だに腕輪が取れないんだがこれいかに?


ぶつかってしまった顔の痛みを堪えつつ、トボトボと先の見えない廊下を歩き始めた



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