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一章 ③俺の身体能力が上がりすぎている件について

「……やっとついたか」

川に沿って三日ほど歩くと街のような場所に着いた

街の中はいかにもファンタジィな景観で、活気にあふれていた


「流石にここが王都ってわけではなさそうだな…」

王都にしては街の規模が小さいし、

何よりファンタジィ王都定番の王宮

がないしな

……仕方がない周りの人にでも聞いてみるか

そう思い、露店商のおっさんに話しかけようとしたところ


「てめぇら、死にたくなかったらそこをどけぇ!」

声のした方向に顔を向けてみると

身長2メートル程の大男が、ナイフを振り回しながらこちらへと走ってきていた


「誰かそいつを止めろぉぉ!」

さらに、後ろから大男を追いかけている、商人らしきものもいる

どうやら大男は強盗で、逃げている真っ最中らしい


「……ちょうどいい、試してみるか」

あれぐらいの体格なら、ちょっとやそっとじゃあ壊れないだろう

手加減するくらいがちょうどいいだろう


「おい、そこのガキ!お前もすっこんでろ」


ピキッ…

ガキだと……?

やっぱり手加減はなしだ、本気で行こう


俺は右足を振り上げ、サッカーのキックのような構えをとった

そしてその爪先を強盗の腹めがけて思いっきり叩き込んだ


「相手をゴールに向かってシュゥーーーーーート!!」

強盗が吹き飛んだ

吹き飛んだと言っても、爆発四散した

訳ではない

街の壁を突き破ってどこか遠くへ

飛んで行ってしまった


「超エキサイティング!」

とてもスッキリした強盗も頑丈そうだったし死んではいないだろう

……多分

それにしても、恐らく召喚時に身体能力(スペック)が上がっているだろうとは思っていたが、ここまでとはな…


さて、身体能力の確認も出来たし、おっさんに王都への道を聞いて出発するか

そう思い露天商のおっさんがいた場所を振り返ると


「ひっ……!」

完全に怯えていた

それはそうだろう、目の前で大男が街の外までふきとばされたのである

よく見ると、周りで見ていた人たちとの距離が少しばかり、さっきよりか遠い気がする

それでも、道筋が聞ければ問題ない


「おい、おっさん」

「は、はいっ!な、なんでしょう!」

「王都まで行きたい、どうすればい い?」

「お、王都までですか?」

「そうだよ、教えてくれないのか?」

「い、いえ、滅相もございません!」

「じゃあ教えてくれよ」

「わ、わかりました。王都へは

この街の門からルナミエド通りをまっすぐ歩いていけば王都です」


案外簡単につくものだな、そうと決まれば早速出発だ

「で、ですが王都までの道のりは、 馬車を使っても一週間はかかりますよ?」

馬車で一週間か……流石にそこまで食料がもたない

さっきの感覚から、全力で走れば二日ほどで着くだろうが、さすがに走り続けるのもな……


「何か、長持ちして腹がふくれるものはあるか?」

現代日本であったなら缶詰があっただろうが、街の様子を見る限りそこまでの技術は無いように見える


「え、えっと、今ですと飛翔熊の燻製と氷原魚の干物ですね」

「ならそれを一週間分貰おう、いくらだ?」

「銀貨2枚と銅貨4枚です」


この世界の貨幣基準は分からんが金貨で足りるだろう

俺は、怪しまれないようにポケットの中で、スマホのアイコンをタップすると、手のひらに1枚の金貨があらわれた


「これでいいか?」

「はい、銀貨7枚と銅貨6枚になります」

さすがは商売人といったところか、商売の話になると先ほどの怯えはどことやらである

さて、返ってきた枚数から推測すると

金貨1枚=銀貨10枚

銀貨1枚=銅貨10枚

といったところか、わかりやすくて助かる


「それではお気をつけて」

「ああ」

俺は一週間分の食料を持って王都へと旅立った





数日後、その街では「奇声を上げながら、人を吹き飛ばす化け物」の噂が立ったらしいが、俺がそれを知るのはもう少し先の話である




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