一章 ①神と俺と制約と
ある晴れた日のこと、俺、四宮健一は登校している最中、突然この世界から姿を消した。
気がつくと雲の上のような場所にいた
水平線の向こうまでずっと雲が続いていて、まるでラノベの中のような風景だった
「…まぁ、出来ることもないしな…」
俺は寝ることにした、騒いでも何とかなる訳でもないしな。
嗚呼、この雲の大草原で寝ることができたら、どんなに気持ちが良いだろうか
俺は欲望の赴くまま雲をベッドにして横になろ…
「やあ♪四宮健一くん♪異世界を救ってみないかい♪」
…うとしたが、何か神経を逆撫でる声によって、俺の至福の時間は邪魔されてしまった。
「…誰だおまえ?」
俺は苛立ちを隠そうともせずに、目の前の人物へと話しかけた
「僕は神様♪君を異世界に召喚するために来たのさ♪」
「すみません、俺、宗教には入らないようにしてるんで」
邪魔された時間を取り戻すべく、もう一度横になろうとすると
「全く…♪話を聞いてくれよ♪」
突然、天地がひっくり返った。
「突然何をするんですかね?そんなに暴力的に勧誘しなくても…」
「…まだそのネタ引きずってたんだね♪というより、咄嗟に受け身を取る人に言われたくないな♪」
「コレぐらいはできる…」
「普通の人は咄嗟に出来ないんだよ♪」
まぁ、そんな事は置いといて
「何で召喚されたの?」
先ずはこれに尽きるだろう
理由がわからなくては始まらない
「君の魂が、最も異世界に適合していたからさ♪」
魂の適合率なんてあるのか…
「理由は分かった、けど、まさかこのまま異世界に向かえって、訳じゃないよね」
このまま放り出されたら流石に死んでしまうだろう
「いやいや♪ちゃんと能力はあげるよ♪その上2つも♪」
願ってもない幸運だ、これならかなり楽ができるだろう
…能力次第だが…
「ただし、1つは僕が決めさせてもらうよ♪」
やはり、そうそう上手くはいかないか…
「君にあげる能力は『魔法適性』全ての魔法に適正がある能力だよ♪」
…そのまんまだな
しかし、それを除いてもチート能力過ぎではないのか?
「そこは心配しなくていいよ♪適性があるだけで、魔力が足りないこともしばしばあるからね♪」
…それは詐欺と言うのでは?
「そんな事は気にしない♪それよりももう1つの能力を考えていてね♪僕は寝とくからさ♪」
そう言って神様は横になってしまった
…このまま頭を蹴り砕いてやろうかな?
不穏な言葉が頭をよぎったが、仕方がないので能力作成に取り掛かった
「…さてと、何を作ったものかね?」
『魔法適性』が凡庸性がありそうだから一点に特化させたものを作るか?
「…まぁ、とりあえずやってみるか。」
こうして俺は、着々と能力を作成するのであった
「ふぁぁ〜♪出来た〜?」
人に、挑発するかのごとく欠伸をする神様に少しばかりの殺意を覚えながらも欲しい能力の概要を伝えていく
「能力はそれでいいんだね?後で変更とか出来ないよ?」
「別に構わんが」
「それとは別に君の方の能力には、制限をかけさせてもらうよ♪」
なんだと?そんな話は聞いてないが?
「勘違いしちゃダメだよ♪これは全ての能力につけるものなんだ♪」
む?それならば仕方がないか…
「能力発現の条件は『自らの意思で戦う』ことだよ♪誰かにお願いされて、は、ダメだよ♪自分の意思で戦うのさ♪」
この程度であれば問題はない
「さて、これが異世界に旅立つ前の最後の会話になるけど、何か聞いておきたいことはあるかい♪」
「1つだけいいか?」
「いいよ♪」
「どこへ向かえばいいんだ?」
「王都に向かってごらん♪そこで何をすればいいか分かるから♪」
王都…かとりあえず目指してみるか
「それじゃあ、さようなら♪またどこかで会おうね〜♪」
そう言って俺の頭に手をかざすと
俺の意識は闇に飲み込まれた