二章 ⑤勇者一行は村を救うことになったようです㊂
とりあえず入った家のベッドの上で俺はみんなに作戦を言い渡した
「とりあえず俺はここで寝とくから、あとはよろしく!」
「いや、あんたが働きなさいよ」
「えー!いいじゃん!しばらく動いてなかったからお腹がタプタプして…」
ドスッ ドスッ ドスッ
「ちょっ!ナイフ投げるのやめろよ!」
「頭に直接投げてあげましょうか?」
「いや…ちょっ…すみません頭に照準を合わせるのをやめてください死んでしまいます」
頭を下げること十数分リリはやっとナイフを下げてくれた
それにしてもこのぐらいのことで怒りすぎだよな〜
そう思い同意を求めるべく、ミツキとドロシーの方を向いた
「勇者様…さすがに今のはデリカシーがないんじゃないですか?」
「ち、ちょっと酷すぎると思います…」
あれれ〜?俺の味方がいないぞ〜?
ドロシーはともかくミツキは味方してくれると思ったんだが……
「私も女の子ですからね、リリさんの気持ちも分からなくはないです」
「さりげなく心を読むのはやめような?」
油断も隙もない奴である
「てゆーか、あんたがやるって言ったんだからあんたがやりなさいよ」
「そうだけどさ……」
だって、オフテゥンが俺を呼んでるし…
「……仕方がないわね、ミツキ、ドロシー、引っ張っていくから先に出てて」
「はーい」
「わ、分かりました」
そういうとリリは俺の首根っこをつかんで外へと引っ張りだした
「ちょっ!お前!やめろ!はな……あ、あれ?はずれない!?なにこの馬鹿力!?」
結局、俺もゴブリン討伐に向かうことになってしまった……
洞窟に到着してから数分後…
「ヒャッハーーーーーー!汚物は消毒だぁ!」
俺は完全にハイになっていた
いや…だって…数が多すぎるんですもん
30匹を超えたあたりから俺は数えるのをやめた
「……あれって初級魔法の『火球投射』よね?」
「は、はいそうだと思いますけど…」
「私の知ってる『火球投射』と大きさが違いすぎるんだけど……」
そうなのだ、常人の数百倍の魔力量を持つ俺は、初級魔法であっても常人の放つ上級魔法と遜色ない威力を発揮するのである
ちなみに、この魔法の消費魔力量は10なので、300発ほど連射できる計算になる
それからどれだけ経っただろうか…
「ヒャッハーーーーーー……あれ?」
気がつくと洞窟中にいたゴブリンが全滅していた
「なんだ……もう終わったのか…」
「……なんでちょっと残念そうなのよ」
いや、なんか、物足りないというか
「まぁ、終わったんだし、さっさと帰るか」
そう言ってきた道を戻っている最中に
宝箱を見つけた
……道のど真ん中に
「罠だろ?」
「罠じゃないの?」
「わ、罠ですよね?」
やはりみんな罠という意見のようだ
「わぁー、宝箱ですよ!」
……一人を除いて
「ミツキ!ちょっと待て!」
「え?」
俺がそう言った時には宝箱を開けてしまっていた
すると、突然、足元の地面が割れて俺たちは穴の底へと落ちていった
「ミィィィツゥゥゥキィィィ!!」
そう叫んでみても意味はなく暗い洞窟の中に響くのみであった…




