二章 ①勇者離脱決議(前編)
そして現在に至る……
はっ……!
突然の非常事態に意識が過去にトリップしていたようである
……それにしてもこの少女とはどこかで会っただろうか?
見覚えがあるような、無いような?
そんなことを考えてる間にも少女の発言はヒートアップしていく
「あの時、私足腰立たなくなったんですよ!?」
足腰立たない……?
……まさか!
俺の頭は1つの答えを導き出していた
「お前、あの時、魔物から助けた…」
「私のこと覚えててくれたんですか!嬉しいです!」
どうやら俺のことをしたってついてきたようだ、可愛いやつである
しかし、どうやってここまで辿り着いたのだろう?
「いやー、ここまでずっと、ストーキングしてた甲斐がありました!」
前言撤回、相当ヤバいやつだった
「てか、お前さっきから誤解を生むような言い回しすんじゃねぇ!」
「えー?全部本当のことじゃ無いですかー」
「物には言いかたってもんがあるだろ!?」
ドスッ
テーブルから投げ放たれた短刀が俺の足元に突き刺さった
「あんた、いつから小さい女の子に欲情するようになったの?ユウイチと一緒って救いようが無いわよ?」
「ユウイチと一緒にすんじゃねえよ!」
「お前ら俺に対して辛辣過ぎねぇ!?」
「「変態はだまってろ!」」
「シュン(´・Д・)」
ユウイチ(変態)のことは置いといて
今はリリをなんとかしなくては…!
「まぁ待てリリ、いくらお前の胸が断崖絶壁だからっ……」
ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ
リリの投擲した短刀が俺の両手両足を壁に拘束していく
「あのー、リリさん?何をしてらっしゃるので……」
「今からあんたの“ナニ”を切り落とすわ」
冗談だろ!?
「ハッハー、オモシロイジョウダンデスナァ」
「冗談に見える?」
目が本気だ
「話し合おう!話せばわかる!」
「大丈夫、痛いのは一瞬よ」
こんな状況で聞きたくなかった!
「イヤダァァァァァァァァァ!!」
まだ男として死にたくなイィィィ!!
「ま、待ってください!そんなことよりも今は、ケンイチさんの脱落の話が先じゃないんですか!?」
ドロシーが話を戻すべく横槍を入れてきた
よし!ナイス!ナイスだドロシー!
これでリリの思考がそちらに向かってくれれば……!
「それもそうね、じゃあ、話が終わったら『処刑』しましょう」
……やっぱり俺の運命は変わらないらしい




