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X13:鬨をあげし刻

世界は雄叫びを上げる。


恐怖せよ――

神の参られる――


その足音は地を震えさせ、立ち上がる事を許さぬ――


平伏せ愚民よ――

久遠の時を駆け巡り、トキを上げる聖なる獣が現れる――


「デモックス、奴をお前の糧としてやれ――」

いや邪悪なる獣か――

『ヴモォォォォッォォオオオオッォオォオオオ!!!』

戦いの鐘は鳴り響く。

勝者と敗者を別つまで――


地面から響く唸り声。

大地にヒビが入り一本の大樹が芽吹く。

大樹はぐにゃりと曲がりまるで生きているかのように地面に頭を垂れた。

「まさか――!!」

大樹はさらに全貌を明らかにする。

最初に見えていたものは大樹ではなかった。

それはデモックスと呼ばれる化物の腕の一部なのだ。

地面から這い出るようにデモックスの顔が現れる。

眼光はまっすぐにこちらに注ぎ、目を離そうとしない。

体全体が地面から出てくると身震いし、付着していた泥土を吹き飛ばした。

「デイアスと同じ化物か……勝算ないって……」

今までデイアスにすら勝てなかったのに同等クラスであろうデモックスを倒せるわけが無い。


だがまだ諦める必要は無い。

希望は残っている。

見たところデモックスは体が木で出来ているように見える。

ならば先程運よく手にした火の神力が相手との相性がいいはず。

手に意識を集中して火を発生させる。

そしてデモックスに投げ飛ばすが一瞬で火は消え去った。

「ッチ!」

まだ手に入れたばかりの力に慣れていないのかコントロールが難しい。

「相性の悪い力持ってんのか……ふ~ん」

そういって風壬は横に立っていたデモックスの体を掌で叩いた。

「メタルコート……!!」

地面から溢れんばかりの銀色の液体が放射状に噴出したかと思うと、デモックスの体にまとわり付き、体の隅々まで銀色の液体でコーティングしていく。


風壬の言い放ったメタルコートという言葉、素直に受け止めればあの銀色の液体は水銀で、デモックスの苦手とする火の攻撃を防ぐ為にコーティングしたのだろう。

ただ、ハッタリの可能性も考えられる。

ならばもう一度攻撃してみる価値はある!

しかし結果が変わらないことにすぐ気づく。

上手く最大火力で攻撃出来ても嫌がる素振りすら見せない。

「無駄無駄!!」

まだ可能性は残っている。

外側が駄目なら内側を燃やせばいいだけのこと……

右手に意識を集中させ炎の塊をイメージする。

「まだ悪あがきを続けるのかぁ……?」

隙を見て炎をデモックスの口に投げ込む――!

……が、手に違和感を感じ途中で投げる動作をやめた。

違和感のある手を確認するとそこには先ほどと同様に轟々と燃え盛る斬鉄剣が。

再び刀を振り落とした。

「アッチ!!」

火傷したと思ったが手には怪我した痕が無い。

「これは……」

一つの可能性に気付いた。

「何がしたいんだ? そろそろ俺のターンで行かせて貰うぜ……最期まで!」

すかさず燃え盛る斬鉄剣を拾い上げデモックスの振りかぶった重みのあるパンチをかわした。

そのまま反動で動けないデモックスの腕に切り込みに掛かる。

「っらあぁ!!」

腕に食い込み斬鉄剣が抜けなくなってしまった。

「燃えろ――!」

食い込ませえた燃え盛る斬鉄剣の火力をさらにヒートアップさせた。

デモックスは危機を察知し反抗して腕を左右に振る。

その反動で刀は抜けたが、勢いよく背中から木にぶつかった。

「面倒だな、ゴキブリ並みに諦めない奴はよぉ……」

地面に指を食い込ませ何かをつかむ風壬。

「シックル・オブ・ザッ・ゴッド・デス!」

食い込ませた指を持ち上げるとそこには忌々しきオーラを放つ大鎌が。

それを華麗に体の回りで振り回すと勢いを殺さないまま信目掛けて投げつけた。

大鎌は綺麗な弧を描きながら周囲の樹木を切り裂いていく。

「……鎌鼬カマイタチ!」

風壬はニヤリと笑うと次の動作に移る。

デモックスが足を大きく振り上げた。

「念には念をな……」

一呼吸おくとデモックスが足を地面に叩きつけた。

大地はそれに反響するが如く唸りを上げ、泥が宙を舞い踊る。

「……泥時雨!!」

宙を舞っている泥が杭のように形を変化させ、信目掛けて一斉発射される。


信は必死に風壬の攻撃を避けようと動いていた。

しかし気づかないうちに両手両足が風壬に操られた木の枝によって身動きが取れなくなっている。

信は手足を縛っている枝を火の神力で燃やし尽くそうとしたが、既に風壬に読まれていたのか、木の枝が瞬時にメタルコート化された。

「死神に抱かれて死にな!!」

大鎌が信の首を刈ろうと風の刃を発しながら近づく。

その後方には杭のような泥の雨。

諦めるしかない絶対的な絶望。


だけどこんな戦いの中にでも光はある――

一筋の光が俺の手を掴んでくれた――

それだけで勇気が湧いてくる――

それだけで希望に満ち溢れる――!


大鎌は一定の距離を進むとブーメランの要領で持ち主の元へと戻っていく。

さらに泥の杭がズサズサと突き刺さっていった。

しかし風壬は唖然としていた。

忽然と攻撃の対象者がいなくなっていたからである。

「悪いな……ちょっと借りるぜ?」

そういい誰かが風壬の投げたシックル・オブ・ザッ・ゴッド・デスを奪い取った。

「――――ッ何!」

デモックスをすかさず攻撃にまわす風壬。

そしてまさかと思いつつ周囲を確認すると捉えていたはずの女2人が姿を消していた。


「アイツラが……何かしたようだな……!!」

体力奪いで全て奪っていたと思っていたが、まだ余裕が残っていたのか……

まぁいい、そう遠くにいけないはずだろうし、ここはデモックスに任せて、すぐにでも女2人を……

風壬は唇を舐めるとジャングルの奥に消えていった。


「萩野たちの事がバレたか――!」

当然のことといったら当然である。

戦闘に集中していて相手が今まで使わなかった未知の力を突然使ったのだ。

第三者を怪しむのは当然か……

でも俺はコイツを倒して早く萩野たちを助けなければいけない。

約束したんだ。

あいつらを守るって。

言われたんだ。

体力を奪われてほとんど動けない状態のあいつの口から、俺だけが頼りだって……


デモックスにシックル・オブ・ザッ・ゴッド・デスと斬鉄剣で攻撃を加えるが一向にダメージを与えている気配が無い。


『……カラ……』


鎌を投げつけデモックスの口に鎌をストッパー代わりに挟ませる。

その開いたままの口に一気に手から発せられる火炎を注ぎ込む。

「ヴモォオオォォォォォォオォォオオオオオオオ!!!!!!!」

口と目から火を吐きながらよろめくデモックス。

鎌を抜き取り距離をとった。


『……オイデ……』


さっきから耳元で囁くような声が聞こえる。

ここには化物と信しかいない筈なのに。


『構ワナイ……カラ……オイデ――!!』


耳元で風を切る音が聞こえる。

すぐに音がするほうに刀を向ける。

しかし刀が弾き飛ばされてしまった。

いつからいたのか分からない、ローブの者に。

すぐさま鎌を振りかぶるが何かの棒で攻撃を受け止められた。

「――っな!」

ローブの者が持つのは信と同じ武器、シックル・オブ・ザッ・ゴッド・デス。

『構わない、構わない……無礼を許すぞ、人間』

そういうとローブの者はデモックスに目を向ける。

『……その悲鳴をヤメロ……』

デモックスは業火に焼かれたかのように、動くのをやめた。

そのまま信の火の神力によって内部から燃焼し尽くし塵と化した。

『ホラ……私の鎌をそろそろ、カエシテモラオウカ?』

ローブの者は信に向かって構えていた鎌を振りかざす。

『サァ冥土の土産だ……その魂に我が名を刻め――!』

再び信も鎌を握りつつ、ローブの者の攻撃を受け流す。


『我こそが死の神――ネルガル……構って欲しいなら死がオススメだ……』

ローブが外れ敵の顔があらわになる。

その冷たい表情が変わることは無い。

虚構の塊のような存在が死ノ国より参られた。

その鎌を見かけたら諦めろ。

お前の死期はもう来たのだから。


「死神――!?」


死の確定申告は受託された。

逃げ場は無い、助けも無い。

思いだけが取り残され後悔が頭を駆け巡る。


『鎌斬り!!』

鎌の刃が大きく伸び、信の首をかすめとろうとする。


倒せない、倒せるはずが無い。

相手は骨だけの存在なのだから。


死神ネルガルは瞳に青い炎を灯して高らかに笑った。

『タノシミハコレカラダ!!』

デモックス:神獣

補足   :神に仕えているといわれる獣。

      体は木で出来ており火に弱い。

      その巨漢から生み出すパワー、生命エネルギーは計り知れない。


ネルガル:死神

補足  :2本の死神の鎌、シックル・オブ・ザッ・ゴッド・デスを巧みに振り回し

     死期の来た死を抗う者共の首を狩りに現れる。      

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