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総喰の悪魔  作者: ブロッコリー
第1章 少年達は誓う、悪魔への復讐を
11/12

第10話 ①訓練〜森への道〜

久しぶりの投稿です。ぜひたのしんで!ハイロとの仲の深まりが見られます。

食堂を出てから、俺たちは教官が指定した集合場所へ向かっていた。

 外は昼の陽射しがまだ強く、地面を歩くたびに砂埃が舞う。

さっきは喧嘩してしまったがああいう日もありだなとは思う。マイルと喧嘩するときはこっちが一方的に負けてしまうしたまにはハイロのようなやつと話すのも悪くない。俺の周りには知的なやつがなんでか多いからこういう血の気のあるやつは好きだ。

おれもそうだからかな?そう考えてしまうおれはちょっとおかしいのかもしれない…

 俺は軽く伸びをしながら、ルルとマイルの方を振り返った。俺が振り返って2人をみると、あいつらは笑った。その笑顔は俺の間違った考え方を吹き飛ばしてくれるくらい綺麗で圧倒的。


俺も笑って会話をはじめる。

「今日の訓練って、どんな内容なんだろうな。今向かってる場所では訓練なんてできないだろうし教官は一体どうするつもりなんだ。」

俺が話すとマイルは俺が聞いたこと以上のことを言ってくる。知ってることを話すだけなのだから当然のことだろう?と思う人も、きっと多いと思う。

でも、そうやって会話を繋げて俺の聞いていないことを教えてくれるマイルやルルはとても素敵だと思う。こうやって些細なことを素敵と思える自分を気持ち悪いと思うこともあるがこれが成長というものなんだろうな。

「さあ? なんか“体力向上”って言っていたし……たぶんここから遠くのミリホウ区に向かうと思うよ。ミリホウ区はいわばジャングルみたいなもので今までの訓練生はそこに必ず行っていたらしい。

なんだか嫌な予感しかしないね。」

 マイルが肩をすくめる。声が少し震えているのは、あの“体力訓練”の噂を聞いているからだろう。

マイルはとてもわかりやすい、本気で嘘をつこうとしているときは俺ではとてもじゃないが嘘だと見破ることができない。

リオン「虫の息になるまで走らされるとか、そんなの冗談だよな……?」

さすがに距離を指定してほしいと俺は素直に思う。

目標があるから頑張れる。目標とか自分が追いかけているものがなかったら勝手に自分の中の鎖みたいなのがまとわりついてきて歩むことをやめてしまう。だから俺はなんでもいいから距離は教えて欲しいと思う。

ルル「いや、マイル。たぶん冗談じゃないんじゃないかな。私は今回の訓練で大まかな私たちのステータスを測るつもりだと思う。ここでの結果でこれからの方針を決めるらしい」そう言ったルルがあっけらかんと笑った。

 いつも冷静なルルがそう言うのだから、きっと本当だ。俺は無意識に喉を鳴らした。

マイルみたいに肩が震え出した。でもそれがバレることは避けたいので俺は両手で肩をさすりながら寒いなと言ってわざとらしくクシャミをする。

俺はお子ちゃまだな


 集合場所に着くと、そこには数台の馬車が並んでいた。

 すでに多くの兵士が集まっていて、荷台には俺たち用だと思われる飲料水が積まれている。

 俺たちが到着した時、ほとんどの班は整列を始めていた――と思ったが、一人だけ動かずにずっと座っているやつがいた


 フィンだ。

 オレンジに近い瞳、そして陽光を反射するような白い髪。

 この国では珍しい髪色のせいか、初めて会った時は無意識に見入ってしまった。

 整った立ち姿に、片手には厚めの本を持っている。

 まるで“知性を具現化した男”って感じだ。


 こちらに気づいたフィンは軽く手を振った。穏やかな笑みを浮かべ、口元がほんのり動く。

 俺、ルル、マイルの三人も手を振り返した。

 すると、彼は手招きをしてきた。


「おいで。君たち、今のうちに話しておいた方がいいと思うんだ。」

 俺たちは顔を見合わせて、足を進めた。


 間近で見ると、フィンの肌は白かった。でも色白というほど白いわけではないようだ。ミオの肌は色白であるが、フィンと比べるとミオの方が白い。

フィンだからなのか色白というより、静かな生命力儚さを感じさせた。

「君がリオンだね? よろしく。」

「あぁ、よろしくな。……なんかすげぇ知ってる感じで話すな。」

「うん。昨日の訓練、君の空間把握を見てた。初めてにしてはかなり良かったよ、それにあの諦めない感とてもよかった。まあそれ以外もハイロとの会話とかいろいろ見てたよ。すごく面白かった、またああやってしているとこっちも元気になるよ」

「そ、そうか?」

 褒められるのは悪い気はしないが内容が内容だな、真っ直ぐに言われるとなんか照れるしハイロの件があるから素直に喜べない。


 そんな俺の様子を見て、ルルが口を挟んだ。

「フィンって真面目そうだよね。授与式の時もそうだったけどいつも本、読んでるの?」

フィンをじっと見つめながらルルは喋る

ルルが本を読む習慣があることは知らなかったけど

興味はあるみたいだ。こんど本を買ってやればルルは喜んでくれるだろうか

「うん。魔導理論と心理学の本。兵士って体力だけじゃなく、心の持ち方も大事だから。馬鹿正直に体を動かすだけの時代は終わりつつあるね」

 マイルが目を丸くした。「心理学? 兵士がそんなの読んでどうするの?心理学とかやるより相手が動いた瞬間にすぐ判断して動けるような知識や瞬発力とかが大事になってくるんじゃないのかな?」

後半に言ったことはスルーしてマイルは質問した

フィンは少し考えて口を開いた

「心理学というのはね、相手だけでなく自分のこともよく知れるんだ。自分じゃ気付けない深層部分なんかもわかる。これは持論だけどね、目の前にいる敵よりも自分を知ることが、いちばん強いんだよ。兵士をしていればいつか自分の中にあるなにかを抑えきれないときがある。兵士になったからにはそれを自分の思うままに発散させるか、自身の心に留めておくか判断していかなければならない。兵士になるということは、そういうことなんだよ。戦う時に1番気を付けるべきことは自己管理だね。その時に必要な自分の行動は把握できてもそれを自分が実践できるかは己次第。それらを考慮して配慮できる力を身につけるには、僕は心理学が1番だと思うよ。」

 その言葉に、ルルが「なるほど、そういう考え方もできるのか。とても斬新で素敵だと思うよ。おしえてくれてありがとうね」と頷いた。

 ……こいつはなにか違うと初めて見た時から思っていたが予想以上だ、格が違う。


「そういえば、今から馬車に乗るみたいだけど

体力訓練の場所は知ってる?」

 マイルが聞くと、フィンは少し目線を上げてあさっての方向を指した。

「ここから馬車で一時間くらいのところ。かなり広い森だよ。湿気がすごくて、地面もぬかるんでるらしい。かなり複雑な地形だから体力だけでなく判断力とかも鍛えられるらしいから今回の訓練には最適な土地だと教官はおっしゃっていたよ」

「げっ……最悪じゃん。」マイルがうめく。

「まあ、そう言うなって。教官の体力訓練を真面目に受けなかったら、滅多打ちにされるらしいからね。」

 フィンはさらっと言うが、言葉の端々が笑っていない。

 ルルは苦笑して肩を竦めた。「“滅多打ち”って軽く言うなよぉ……。」


 そんな会話をしているうちに、人がどんどん集まってきた。

 フィンは「他の人にも伝えておくよ」と言って、その場を離れた。

俺はフィンの話を聞いて自分の不甲斐なさを改めて痛感した。俺はただ母さんを殺した悪魔という存在をなくしたい。母さんが笑えなかった日々を償わせたい、母さんが泣いた何千倍もの苦しみを味あわせたい。そんな醜い心で兵士になることを誓った。兵士になるってことは他の人と関わることになる。自分の想いを突き通すことはこういった大きな組織の中ではタブーだ。俺は考えなしに直感で動いてしまうところがある。そういうときは心理学でもなんでもいいからおれはなにかを学ばなきゃなと思う。

俺は兵士っていうのが何かわかってなかったんだろうな…

 その背中を見送りながら、俺はぼそり今感じたフィンへの感情を曖昧に省略して呟やいた。

「なんか、あいつ……頼りになるな。」

そう、たくさん思うことはあるけれどそれを簡単にまとめてしまえば頼りになるということだけだ。

自分の言葉や想いは案外薄い。

「うん、頭よさそうだしね。結構礼儀とか品性とかもあったしリオンが見習わなきゃいけないところがたくさんあるよ。私もああいう人になりたいもんだね」とルル。

 マイルは「フィン君は真面目で誠実な人だったね。これから仲良くやっていけそうで僕は嬉しいよ。訓練の話に戻すけど森の訓練って虫いっぱいいそうだよね。僕、虫苦手なのに……虫の息になるどころか僕が虫になっちゃいそうだよ」と、現実的な不安を口にしていた。

ルル「心配しなくてもいいよマイル。なんだって私たちがついてるんだもん。これ以上に必要な理由なんてないよ」

ルルはそうやってマイルを慰めているがあまり響いてないようにみえる。

マイルは虫が大の苦手だ。森の話をフィンがしていたときも目が泳いでいたし何より今もそうだ。さっきよりかは収まっているけれどまだ震えている。そんなマイルを慰めるように俺はマイルの肩にそっと手をおく。

「大丈夫だ、虫なんかいても俺がすぐ倒しちまうからよ。それに虫なんて気にならないくらい走れば無問題モーマンタイじゃないか」

俺がそういうとマイルさ下を俯いて何も喋らない

無問題だなんて言葉を使ったのは失敗だったか?

そう思っているとマイルがいきよいよく俺の背中に片手をまわして肩を組んできた。少しばかり痛かったので眉を眉間に寄せているとマイルが口を開けた

「ははっ!そうだ、リオンはそういう人だったね!

お陰で元気付けられたよ。本当にありがとう」

いつも通りに戻ったのマイルの様子をみて俺は安心した。いろいろ落ち着いたので周りを見渡してみる

 そして、集団の中にあの憎たらしいハイロの姿を見つけた。

 相変わらずの態度で、片手をポケットに突っ込みながらふてぶてしく立っている。

 横にはネロもいた。落ち着いた雰囲気で、周りに目を配っている姿が印象的だ。

 だが、問題はハイロだった。

 なぜか、ずっと俺を睨んでいる。いや、“睨む”というより、“まるで獣をみるかのような目”って感じか。くっそ腹立つな。俺にずっと視線がまとわりついて気持ち悪い。そんなジロジロみんなと叫びたい


 あまりに視線が痛くて、俺は思わず声をかけた。

「……なに見てんだよ、ハイロ。」

 ハイロはまってましたとばかりにニヤッと笑う。「おう、リベルタス。お前、森の訓練で俺と勝負しようぜ。」

?純粋に?が浮かんだ。こいつは何を言っているんだ。この訓練は俺たちのこれからの成長に関わるものにそんなふざけた態度でいいのか…

この感情はさておき普通に内容は気になったので聞くことにした。

「は? なんの勝負だよ。」

俺が嫌そうに質問するとハイロはうきうきしながら答え出す、気持ち悪いやつだ

「もちろん、体力勝負に決まってんだろ。負けたらどうなるかは……そうだな、負けたヤツは買ったヤツの言うことを1週間聞くってのはどうだ?」

ハイロは言いながら、顎をしゃくって挑発してくる。

こんな子供みじみたことをするためにここに来たわけではない。

「またかよ……朝から面倒くせぇな。」

 俺が呆れ混じりにため息をつくと、ルルがすぐ間に入った。

「ハイロ、また喧嘩売る気? さっきもそうだったじゃん。こんな頻度でこられたらいくらリオンでも頭がおかしくなっちゃうよ。」

そんなルルをハイロは一瞬腑抜けた顔で見つめたあとすぐ睨み返す

「うるせぇ。男同士の話に口挟むな。」

 マイルが「いや、ハイロさぁ。ネロがいなかったらさっき殴り合いになってたしそうなる前にやめとこうよ。ほら周りも見てるしさ…」と呟く。

 それを聞いたハイロは、ギロッとマイルを睨んだ。

「てめぇ、なんか言ったか?俺はお前みたいな臆病者と話す気はない」

「ひっ、い、いやご、ごめん!?」

 まるで猫に威嚇された小動物のようにマイルが後ずさる。

 ……平和な朝はどこへ行ったんだ。


 俺はイライラを抑えきれず、低い声で返す。

「やるならやるぞ、ハイロ。」

俺は複雑な時期で、いわゆるそういう時期

ちょっとした喧嘩くらい買ってやろうじゃないか

「上等だ。」

 ふたりが一歩ずつ詰め寄ったその瞬間、鋭い声が空から響いてきた。教官がなぜか空から降ってきたのだ。

「全員、一列に並べ!」

 その一言で、まるで空気が凍りついたかのように、全員が動きを止めた。

俺が空を眺めていた時は周りに教官はいなかった。

一体どれだけ早く飛んできたんだ。

いや今はどうやって飛んだ?の方が正しいだろう

教官は喋ったあと俺らをみて、視線がからむ。

眉間にシワがよったかと思えばすぐにそれは収まった。その様子をみてほっと安堵しているとハイロと俺の間に衝撃波がきた。俺は一瞬理解できなかったがこれが空間把握というものなのだろう。

間近で教官の技術をみれて感動する自分がいた。

しかし、突然きたものだから俺が驚いているとハイロも何事だ?!みたいな表情で俺たちは少しばかり見つめあった。

その間だけは仲直りというか距離が縮まった気がした。が、すぐ本調子に戻った

 ハイロは舌打ちをしながら肩をすくめる。

「チッ……運がいいな、リベルタス。」

 そう言い残して列の方へ歩いて行った。

ハイロの顔は少し青ざめておりいかにも緊張しています。という顔であった。実に面白い

 俺も深呼吸して怒りを鎮める。

 ほんの数秒で場の空気が変わる。

教官の声には、それほどの威圧感があった。


 「行くぞ」と教官が一声かけると、兵士たちは一斉に馬車へ乗り込んだ。

ルルとマイルが先に馬車に乗り込んでいるとき

少女が俺の裾を引っ張り声をかけてきた

いや、少女ではなかった

見た目はまさに幼女のようだが雰囲気が違う

紅い瞳、艶のある綺麗な金髪。とてもはつらつとしていた。髪の長さは腰くらいで髪型はハーフアップ

だった。その結び目には赤いリボンが付けられておりよく似合っている。

たしかこの子はアミリアだったけか?

リオン「なんだよ、俺は早く馬車に乗りたいんだ

服が伸びちまうから離してくれないか?」

アミリア「下、見て。」

そう言われて下をみるとそこは泥で汚れておりすでに何人かが踏んだ後がみられる。

もしかしてこれを教えてくれたのか…

リオン「おう、教えてくれてありがとうな。なぁ、お前、名前は?」

アミリア「人に名前を聞く前に自分から名乗るべきだと教わらなかったのかしら?まあいいわ。あなたの噂はよく聞くしほぼ名前も聞いたも同然ね。

私の名前はアミリア・エクイタス。さあ早く乗って、教官に怒られちゃうでしょう。」

お前のせいだろ、と言いかけてしまったが実際こいつのお陰で俺は泥を踏まずにすんだので中々それを言える立場ではない。だから大人しく黙ることにした。

リオン「はいはい」

俺はそう気だるげに返事をする、足を蹴られてしまったがあいつの足が短いからかな?全然痛くなかった。なんやかんやあって

 俺たち三人は後ろの馬車に乗り、ガタガタと揺れながら森へ向かう。

 その間も、俺の頭の中ではハイロの挑発が渦を巻いていた。

 どうしてあいつは、ああも喧嘩腰なんだろうか。

 何か裏があるのか、ただの性格なのか――どちらにせよ、次の訓練で決着はつく。それが楽しみでならねぇよ。ワクワクする気持ちを胸にしまい、ふと窓をみてみる。


 遠くの森が、揺れる馬車の窓から見えてくる。

 あの深緑の中で、何が待っているのか?それは

きっと俺の勝利だな。

 リオンの胸に、静かな熱が灯っていた。

馬車の揺れが一定のリズムで身体を揺さぶる。

木の車輪が砂利を踏みしめる音が耳に残り、時折、馬のいななきが混ざった。

リオンは窓の外に視線をやった。草原の緑が、徐々に森の濃い影色に変わっていく。


「ねえリオン、あの森が訓練場って本気なのかな?今更って感じだけど思ってたのと違うっていうか……さっきの話聞いたからかな、凄く鳥肌がたってるよ」

マイルが隣で腕を組みながら呆れたように言った。

「ルルの言う通りだよ。だってさ、前回の訓練で緊急搬送された奴が50人いたんだよ。毎回コース名は兵士の中で変わっているらしい。

今回は“お先真っ暗危篤コース”とか言われてる

今年の教官は今までの人達よりダントツで怖いらしいしね」


「名前からしてヤバいな」

リオンがぼそっと呟く。彼は膝の上に水筒を置き、どこか遠くを見るように目を細めた。

「危篤って……つまり、生きて帰れるかどうかわからない奇跡みたいなもんだってことだろ。マジで死ぬ訳ではないだろうけどそのレベルの危険度ってことだ」


「ねえ縁起でもないこと言わないでよ」

マイルが軽く肘でマイルを小突く。

ルルが喋り出す

「でもルルの言うとおりかもよ。教官、昨日からやたら機嫌悪そうだったし。あの顔を見た後だったら危篤コースって言われるのも納得」


「たしかにな」

リオンは短く返しながら、窓の外の木々を見た。

さっきまで陽が差していたのに、森が近づくにつれて空気が変わる。

風が生ぬるく、息を吸うたびに喉が重くなるような感覚。

まるで森そのものが「お前の来る場所じゃない」と警告しているようだった。

そんなのいやだ、たかが俺の心の中で語りかける森の声。そんなささいなことで俺の夢は止まらない

止めることなんてあってはならないんだ

こんな気持ちを隠すために俺は新たな話題をだす

「……なあ、ルル。お前、昨日夜更かししてただろ」

これは事実だ、いつもの俺なら気にしないちょっとした変化。普段なら、ね。俺はそれくらいこの気持ちを掻き消したかった。上書きしたかったんだ

利用した訳ではないがルルに申し訳なく思う。ルル本人は心配して欲しくなかっただろうに

リオンは呆れた風に装って言うと、ルルは少し困った顔をしてわざとらしく目をそらす。

「ち、ちがうって。ちょっとだけだよ。リオンの父さんが持ってきてくれた魔法書見せてもらってたんだって!」

マイル「その“ちょっと”が問題なんだよ、ルル

君はいつも無理をするからね。リオンはそれが心配なんだよ」

マイルが眠そうな目で笑う。てっきり寝たと思っていたが起きていたのか、狸寝入りなのか?

リオン「寝不足で森に行ったら、危篤どころか“即死コース”だぞ。」マイルの意見に同調して会話する

ルルには本当に罪悪感しか湧かない


「やめてって、怖いこと言わないでよぉ!」

ルルの声に、馬車の中の空気が少し和らぐ。

ルルらしい、そんなルルをみて俺の心は痛くなる

外では、他の馬車の笑い声が遠くに聞こえてきた。

心に余裕ができたからかな…?

リオンはふと、先ほどの夢を思い出す。

あの白い世界。金髪の女性。聞こえなかった声。

――何かを伝えようとしていた。理解したかったけどまだまだ遠いみたいだ、あの時はいけるとおもったんだけど……

それだけは確かだったんだ


「……リオン?」

マイルの声でふと我に返る。

「どうしたの? さっきからボーッとしてるけど」

「いや……なんでもない」

リオンは小さく息を吐いた。

マイルを心配させたくない

「ハイロとの勝負どうしようかなって考えてた

あいつなんかに負けてたらこれから胸張って俺は兵士だなんて言えないしな」

マイルは納得したように微笑み

マイル「そうだね。負けないように頑張らないと」

頑張るぞ!とポーズを決めているマイル

可愛らしいところもあるもんだ

その時ルルが窓の外を覗き込む。

森の入口はもう目の前だ。木々の影が道に落ち、光を呑み込むように揺れている。

「……うわ、なんか霧出てきたよ…」

「ちょっと嫌な感じだね、なんだか怖いよ」

マイルが呟く。

リオンは眉をひそめ、森の奥を見つめた。


どこかで鳥の鳴き声が聞こえた――その音を聞いている間は幾分か気分はよくなったが

すぐに途切れる。

その静寂の中、馬車の車輪が泥を踏みしめる音だけが響いていた。

兵士になるには乗り越えなきゃいけない

だから頑張るんだ、母さんの為にも…


次回は来週の日曜の午後9時です。時間は変わるかもしれませんが、この日にはするのでご安心を!

新キャラが登場いたしますよ!

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