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総喰の悪魔  作者: ブロッコリー
第1章 少年達は誓う、悪魔への復讐を
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第9話 新たな日常

前回の投稿からかなり時間が経ってしまい申し訳ないです。第9話新たな日常を投稿しました!ぜひ楽しんでいってください!

夢の中で、リオンは立っていた。

 真っ白な空間。どこまでも続く白。空も地面も境界がなく、ただ「在る」という感覚だけが残る。

 音もない。風もない。息をしているのかも曖昧だ。

なにもかもがわからなくて自分が自分じゃなくなるような感覚に至った。


 そんな中に、ひとりの女性がいた。

 金色の髪が柔らかく光を反射している。風がないのに、髪だけがゆるやかに揺れていた。

 彼女は微笑んでいた。ずっと。

まるで太陽みたいな笑顔

彼女をみるすべてを優しく包み込むような雰囲気

 その笑みは暖かいのに、どこか寂しげでもある。


ずっと笑顔でいて瞳の色が、見えない。

あの人の底がしれない

あの人に近づけばなにかわかる気がする

本能的にそう感じた

リオンは一歩踏み出した。だが距離は縮まらない。

 まるで幻を追いかけているように、歩けば歩くほど彼女が遠のく。

 焦りを感じ、足を速めた。

呼吸が荒くなる、

息をしているのも曖昧だとさっき感じていたのになぜなんだろう。

彼女ならこれがきっとなにか分かるんだ

そう必死に思考を巡らせ足を走らせた

 そのとき、女性が動いた。リオンの方へ向かって、ゆっくりと。

 その姿はまるで空気の中を滑るようで、足が地を踏んでいないように見えた。俺より圧倒的に早いスピードのはずなのに疲れている様子ではない、

なんなら徐々に早くなっていく。

少しばかりの恐怖を俺は抱えた


 やがて、目の前に立った。

見えなかった

 何も言わず、彼女は両腕を広げた。

その動作一つ一つが美しくて

その行動を認識するのに時間がかかった

 軽く、抱きしめてきた。?

 重みがない。まるで幻のような抱擁だった。

不思議な感覚だ、

父さんにハグされた時とは

何かが違う

 それでも確かに、腕の中に温度を感じた。淡い体温。心臓が一度だけ強く脈打つ。


 何かを話している。

 唇が動く。

 だが——声が濁っていて、言葉にならない。

理解が出来ない、理解しようとすると頭が痛くなる

 遠くで水中から音を聞くような、歪んだ響きだけが耳に残った。


 「……誰?」

 リオンは問う。たったその一言を話すだけで

耳鳴りが止まらない、だが答えはない。


 その瞬間、頭の奥に電流が走ったような頭痛とはまた違った感覚に襲われた。

 世界が開いていく。

 見えなかったものが見える。

 聞こえなかった音が、意味を持つ。

 何かを「理解していく」——そんな奇妙な確信が、胸の奥から込み上げた。


 ——これは、あの時と同じだ。


 ミオが俺の目に手を当てた時のあの感覚。

 何かを覗き込まれるような、心を丸裸にされるような。これは俺の精神世界なのか

ミオのおかげで俺が成長していく

わからなかったことがだんだんとわかっていく

 けれど、今回は違う。もっと優しく、包み込むような、なぞの暖かさがあった。


 彼女の手が、そっと頬からおでこに触れていく。

 もっと触ってほしい、だなんて意味のわからないことを考えていると

その瞬間——視界が白に染まり、夢は砕けた。


 * * *


 目を覚ますと、天井の木目がやけに近く見えた。

 全身が汗ばんでいる。寝汗というより、夢の熱がまだ残っているような。

心にポッカリと穴が空いたような感覚に襲われた

 リオンは額を拭い、深呼吸をした。

 朝の空気は少し暑い。窓の隙間から射す光が目に刺さる。


 「……夢、か」


 声に出すと、現実に引き戻された気がした。

声を出しても頭が痛くならない、…少し安心した


 胸の鼓動がゆっくりと落ち着いていく。

 あの女性の顔が、脳裏から離れない。金色の髪。安心感を与える微笑み。声にならない言葉。


 ——いったい、誰なんだ。

そう疑問に思うだけで頭が痛くなるような

不快感に襲われる、

あまり深く考えない方がいいだろう


 軽く頭を振って、リオンはベッドから起き上がる。

 顔を洗い、支給された制服に袖を通す。

シャツの襟元を少し荒っぽく整え、髪を後ろに撫でつける。おれは冷静じゃないのかも

 鏡を見ると、いつもより少しだけ目の下に影があった。

 「寝不足、みたいだな……」


 ぼやきながら、ルルとマイルの部屋へ向かう。

 寮は個室制で、廊下はまだ静かだった。早朝の空気が木の香りと混じって心地いい。疲れが癒される


 コンコン、と軽くノックをしてドアを開ける。


 「おい、起きろ。もう朝だぞ」


 ルルの部屋はきちんと整えられていた。

 布団も崩れていない。寝息も静かで、まるで人形のように整った寝姿だ。

ひさしぶりにみたルルの寝ている姿に見とれていた

不思議な感覚でぼーっとしてしまった

振り絞るように声をだす

 「ルル、もう食堂行く時間だぞ」

 「ん……あと五分だけ」


 寝ぼけた声が返る。ルルらしいと

 リオンは苦笑して、次の部屋へ向かった。


 マイルの部屋。

 開けた瞬間、思わず顔をしかめる。

いや、ルルの整った部屋を見たあとだからそう思ってしまうのかもしれないと考えた。

そう、考えたんだ。

にしても許容範囲を超えていたので

俺の口からはある一言が漏れた

 「……ひどいな」

そう言うしかないような部屋だった

 布団はぐしゃぐしゃ、服は椅子の上に山積み。床には読みかけの本と空のコップ。

 見事なまでのカオスだった。

昨日入ったばっかりなのにこの乱れぶり

マイルらしいと言えばそうだが、ある程度は掃除してほしいものだ

こんなやつには制裁を与えてやろうと

いつもより少しばかり荒々しく声を出して起こした

 強くマイルの布団を揺らす、かなり激しくだ

「マイル!起きろ! ……って、起きてるのか?」

 「あぁ……や、離せ……」

離してといいながら布団に包まりベットの隅に

マイルは移動する、こいつらめんどくせー

 「お前もかよ、さっさと起きないと

教官に殺されるぞ…」

そう俺が言い放った瞬間、

マイルのぼやぼやした顔がシュっとなった。

そしてなにかを悟るかのように喋り出す

「ねえ、リオン。今僕が30分寝たとしよう。

現時点で時間は7時、僕が寝たら7時半

集合時間は8時45分だ。

寝たとしても1時間15分も残っていて

余裕があるのに遅れるというのはおかしくないか?

こんな早くに起きる人だなんて

そうそういないだろう

もし君が早く僕を起こしたいが為に

そのような発言に至ったのだとすれば

僕はどうしたらいいと思う?

君は自分が正しければ他の事を考えない所がある

それを知っている僕は責任もって

君を粛清しなければならない。

この布団と共になぁ!!」

とマイルがマジな顔で言っているが………

どうせ半分寝言だろう。自分が寝たいからって

こういうときだけ知恵を発揮しないでほしい

あと普通に最後の発言怖すぎる、はぁ…

おれはお前を思ってやったことなのに

マイルはそういう対応をしてくれるのか

俺が冷静にブチ切れてマイルを1発、いや2発かな?

すこぶる力を入れたわけではなかったが殴った

忘れてしまったが俺は結局、マイルを引きずるようにして起こし、三人で食堂へ向かう。


 朝の食堂は人がまばらだ。

時間帯がまだ早いからなのか?少し戸惑っている俺をみてマイルが睨む、顔が語っている

ほら、ぼくの言ったとおりだっただろう?とね。


 窓際の席に腰を下ろし、簡単な朝食を取る。

 焼きたてのパンとスープ、ゆで卵に小さな果物。

 スプーンを口に運びながら、リオンはぼんやり外を眺めていた。


 「なんか今日、ぼーっとしてるな、リオン」

 マイルがパンを頬張りながら言う。

そのとき赤くなった頬を触っていた、

若干紫だった気がする

わざわざ俺の前で触っているので

俺がマイルを殴ったことを

根に持っているのだろう。

マジで腹黒野郎だな

 少し疲れ気味で呆れた声で言う

「ん、ああ。ちょっと夢見が悪かった」

その様子をみて心配に思ったのか、

不安そうな顔で俺を見つめる。お前を叩き起したときの俺の行動を忘れたのかそんな表情で

俺をみるマイルに俺はとても尊敬した、

 「夢? どんな夢だったの?」

 「……よく覚えてない。ただ、なんか変な感覚が残ってる」

そういいながら俺は自分のおでこを触る

夢の女が触れてきたからなんとなく触ったのもある

けどなぜかここは触れたら安心するんだ、

それはきっと母さんが最期に

俺に触れてくれたところだったからだと思う


 ルルが静かに水を口に含み、目を細めた。

 「夢って、時々そういうのあるよね。

心が何か、大事なことを思い出そうとしてるのかもよ。それがリオンにとって大事なことか、

私には分からないけどまたそういうことがあったら相談してほしい…」

ルルやマイルらの表情をみて安心する

おれはお前らがいてくれて本当によかったとね

たかが夢なのかもしれないけど、感謝するよ


おれは笑う、あいつらを安心させるように

俺が安心するために


そう考えていたリオンは手を止める。

 “理解していくような感覚”——あれはいったい何だったんだろう。

 けれど、口に出す気にはなれなかった。

 ただの夢かもしれないし、そうじゃないかもしれない。そんなことであいつらを心配させたくない


 食堂の隅では、誰かが笑っている声がした。

 外の光が少しずつ強くなっていく。朝がきたとか

1日が始まったことを酷く実感する

 リオンは自分を落ち着かせるように

ゆっくりと息を吐き、フォークを置いた。


 ——夢でも、現実でも。

 あの金髪の女性がずっと笑っていた理由を、

いつか知れたらいいなと思う。なぜだかわからないけどわかるんだ……そう虚無感?に浸っていると

誰かが俺の肩を叩く、まあまあ強めでだ。

???「よぉ、リオン。朝っぱらから女と話せていいご身分だなぁ。」

こいつは一体なんなんだ、急に話しかけてきたかと思ったらこんなしょうもないことしか言えねぇのか

たしかこいつは推薦組にいたよな、名前は——


ハイロ「おっと、そういえば名前を言ってなかったな。俺の名前はハイロ・ブーラカエ。推薦組様の中の1人だ、よろしくな。」

リオン「ハイロか、覚えておくよ。俺の名前はリオン。リオン・リベルタスだ。」

こいつの表情、顔全部腹立つな、憎たらしい。

人を小馬鹿にしたような顔しやがって

ハイロ「リベルタス…ここらじゃみない苗字だな。

お前、出身はどこなんだ?」

ハイロってやつは人との距離の詰め方がなってない

初対面であれだけ悪印象だったのによくその質問ができるもんだ

リオン「はあ?なんで初対面のやつにそんなん教えなきゃいけないんだよ」

そうだ、別に教える筋合いはないんだ。

ハイロ「あぁ?なんだこのクソ野郎が。俺様が聞いてやってんだぞ?

さっさと答えればいいだけじゃねえか、

なんだぁ、お前そんなこともできないくらい脳みそがちっぽけなのかよ。」

なんなんだ。くっそ腹立つなぁおい

リオン「誰がちっぽけな脳みそだって?」

そう言ってこいつの胸ぐらを掴む。

身長差はあまり無いので苦労はしなかった。

苛立ったハイロが口を開こうとする前に誰かが

制止した、そいつは男で身長がまあまあデカイ。

俺が身長176くらいなのでこの男は188くらいだろうな。

???「おい、ハイロ。そうやってすぐ人に喧嘩をふっかけるな。リオンだっけか?すまなかったな」

なんだろう、

このハイロってやつからは知性の欠片すら感じられなかったがこいつからは頼れる兄貴って感じがする。類は友を呼ぶってことわざはあるがそれも当てにならないな。

ハイロ「ネロっ、邪魔すんじゃねえよ。」

そう言ったハイロはネロの腕をぶっきらぼうにのける。ネロは俺とハイロのあいだに入り込んで両方の肩に手を当てる状態で制止していた。

チッ、とわざとげに声をだしハイロは去っていった

ネロ「ハイロが迷惑をかけたな。あいつはまだこの雰囲気に馴染めていないらしい。少し多めにみてやってくれ。」

リオン「あぁ、わかった……お、俺も悪かったし、ごめん。」

普段なれない言葉を使うからちょっと挙動がおかしかったかもしれない。なんだか恥ずかしい。

俺が喋ったあとネロは少し驚いたような表情をして目を細めた。

ネロ「いいや、気にする必要はない。そりゃリオンにも悪いところはあったかもしれないが

元はと言えばあいつが悪いんだ。これからもこうやって喧嘩を売ってくると思うが

これはあいつなりの仲の深め方らしい。

だから気を悪くするようで申し訳ないが仲良くしてやってくれ。」

リオン「おう。」

大人だ、俺たちよりも1歩先を進んでる。ハイロとの仲を取り持ち沈めてくれた。おれは素直に素敵だと思う。俺にはきっとそんな行動はできなかった。

なんなら仲裁しようとしても逆に火に油を注いでしまう気しかしない。

ネロが去り際に口を開く

ネロ「そういえば俺の苗字を言ってなかったな、俺はミネルヴァだ。これからよろしく頼む」

そう言ってニカッと笑う。ちょっとだけ親父と重なる部分があった。あいつはきっと良い親になる


ことが終わると隣で怯えていたマイルが喋り出す

マイル「朝から怖いね、やっぱり僕みたいなやつは寝ておくべきだったんだ……」

ビクビクしやがって、マイルは仲のいい俺たちの前では腹黒の口達者なやつだが知らない人を前にするとこうやって縮こまる。陰キャかよ。

そう呑気に考えている俺は気づかなかった

あのハイロが黙々と食事をしているルルに熱烈な視線を送っていることを……


楽しんでくれたかな?これからも総喰の悪魔をよろしくお願いします!!

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