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第三話「戦闘」

そうこう考えているうちに次の授業に移行した。

次の時間は戦闘についての十八番を英雄が教えてくれるらしい。


戦闘訓練、大陸でも上位に位置する英雄。

数多の上位魔族達を切り伏せ、三か国の英雄の中で一番と言われている。

どんな魔法を使うなどは不明だが、この国のトップの実力。是非見てみたいものだ。


そうウキウキとした気持ちで列に並びながら廊下を歩くと、


「死ね。かす」


後ろからの暴言を吐かれる。声の高さ的に女だろうか。

普段は男しか直接的な暴言を聞かないがどうゆうことだろうか?

ただ流石この一年鍛えられた。何も思わない。

いや、逆に女の子から言ってもらえるのであればご褒美へと昇華することがあるだろう。


次なる暴言を待っていたが、周囲は俺のことよりも英雄様の方のことを話していた。

所詮は一時的な怒りかと思いつつ広い訓練所に着く。


俺たちは座らせ英雄だけが立っている状態。先ほどまでいた先生はどこかに行き、

本当に英雄が授業するのかと感心していると


「まず俺に挑戦したいって人はいなかな?」


大胆不敵な笑みを浮かべ、どんなものが現れても負けないと踏んでいるような発言。

このウィリアム英雄は自身が優位であると誇示したい模様。


プライドは一級品かと思いつつ、下を向く。

ここで上げていたのなら当てかねられないと思ったからである。

これは人間の本能なのだろうか、周囲も同様に顔を下げ、自身が当てられないことを祈っていた。


それもそうだろう英雄にやられると分かっていて手を挙げるようなドMはいない。

心のヤジを飛ばしながら下を見つめていると…


衣服が擦れる音がした。


やや後ろのほうで誰かが手を挙げたようだ。

とんだドMがいるもんだなと心で思いながらも音の鳴った方向を向くと


手を挙げていたのは我が友であった。


いつもつまらなそうな表情を浮かべている彼女が、こと今回に関しては真剣そうな面持ちであった。

周囲もまさか手を挙げるとは思っていなかったのか驚いた表情だ。


「大丈夫か?リア」


彼女に語り掛ける。

何を大丈夫かなど問う必要が無いだろうが、それでも一応だ。


「大丈夫。ちょっとここいらでどれくら実力が離れてるか確認しないといけないし。」


普段から見れない真剣な顔、俺と話しながらも一切目線を合わせず、前にいる英雄を睨んでいた。

何か特別的な恨みでもあるのだろうか、そう思ってしまうほど彼女は鬼気迫る雰囲気であった。


「そこの金髪の女の子、ここまで来て。」


漲る闘志を出しながらリアは立ち上がる。

周囲は巻き込めれにと左右に分裂し、英雄への道を作る。


それに気を止めることなく、一歩一歩と距離を縮める。

その距離は学園指定の剣を引き抜いて届くか届かないギリギリの間合いで止まった。


一方は笑顔を浮かべ、もう一方は睨みつける。

通りすがりの人が見れば今から殺し合いでも始まるのかと思うような空気が二人には流れていた。


「じゃ攻撃してきていいよ。」


英雄は余裕な表情で武具を構えず手で招いてる。

暗にお前程度では武器は使わないと、爽やかな笑顔で酷く挑発的な言葉でけしかける。


余裕そうだな…


パッと見た感じでは英雄の魔気は普通より堅そうだなという印象。

ただあれはでは武器に魔力を込めた攻撃には耐えられないはず。


ということは相当避けるか逸らすことに自信があると思うのだが…

さてどうるすものか見ものだな。


リアは流石に素手相手に剣を振るのは矜持が許さないのか剣を構えたまま動かない。


「英雄様、それは流石に―――」


突如魔力を纏った剣を走らせる。

魔力が込められ白光した剣は英雄の首を取ろうとする勢いであった。


―――こいつ卑怯だ。


会話の途中で渾身の一撃を放ち、しかも首を狙うという卑怯さ。

普通は騎士道精神で公平な状態で始めようなものなのだが、どうやら彼女は持ち合わせてない模様。


誰もが何があったのか分からないまま戦闘が終わっていた。

しかしそれは意外な形であった。


「終了だね。」


英雄が剣が掴まえていた。

これは比喩でもなくその通りなのだ。


つかみ取られた刃は微動だすることは無く、白光を放っていた剣も徐々に輝きを失っていた。

どうにかして動かそうとするリアだが、英雄はそれ以上の反撃をせずにニコニコと笑っているだけである。



これ以上何もできないと悟ったのか力を弱めると、英雄も剣離す。

剣をしまい英雄を殺しそうなくらい睨みつけながら、お辞儀をして終了させたリア。


辺りは英雄の感激の声でいっぱいであった。


「流石英雄様だ。素手であのリアさんの剣を止めるなんて。」


なんて当たり障りのない感想がぽつぽつと聞こえてくる。

その声に手を振りながら答えている英雄。


ただ俺は思う、何が素手だっと。

英雄は魔道具を使っていた。それも魔力を吸うような魔道具だ。


大方あの手当たりに魔力を吸うようなものがあると思える。

現にリアの剣も吸われていた、あれは魔獣コドラの鱗が手の中に埋め込まれているのだろう。


頭が軋む。


急な頭痛に思わず目頭をギュッ力を入れてしまう。

たまにある正体不明な頭痛。

持病かどうかはわからないが今のところ特段問題がなかっから無視していたが、そろそろ病院でも行ってみようか。


頭を押さえつつ薄目を開けると、リアが下を見つつ悔しそうに帰ってきていた。


「やっぱり英雄さん強すぎなんだけど。本気じゃなかったけどあれを掴むとか…

 こんなに離れてるとかちょっと気分下がる。」


帰ってきてから英雄との差について詳しく語るリア。


「でもそんなものだろう。英雄なんてこの国一だ。一生徒にやられたら面子が立たないだろ。」


「そうだけどーーー」


「ただ澄ました顔に思いっきりぶち込んだのに、さわやかな笑顔で返されて腹が立つよ。」


少し落ち込みながら言っていたが、どんな事を言われても俺の掛ける言葉は決まっていた。


「ドンマイ、卑怯な手を使って勝てなかった奴。」


――帰ってきた返事は拳であった。


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