第九十七話 花は散る前に咲き乱れる
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
ステージに上がった春風は深呼吸をし、曲が流れるのを待った。
(今までこんなに曲が始まるまでが長く感じたことあったかな?なんだろう、すごくワクワクしてる。今なら一番最高のステージが出来そうな気がする)
春風はスッと目を閉じ、呼吸や鼓動、観客席のざわめきをはっきり聞こえるのを感じた。
なにかを感じパッと目を開いた瞬間にイントロが流れ出した。
完璧な出だし、いつも以上の軽やかなステップ。
全てが最高の状態だった。
いつもなら感覚的に歌っていたが、今日はそれを超えていた。
(あっ、右側の席の盛り上がりが遅い、そっちに振るか)
(奥がかなり盛り上がってる、手前を煽ってみよう)
春風は歌いながらどうすれば盛り上がるのか、どこに視線を送ればいいのか。
今までに感じことのない手に取るようにわかる会場の様子とそれに対応する行動が即座にできた。
春風はこれまでピンチになるようなことはなかった。
感覚だけでやっても圧勝していたし、会場も盛り上がっていた。
今回、ある種のゾーン状態になったのは、それだけピンチなのだと直感で理解していたのだ。
初めて会った時のエルシィの底知れないチカラとどんどん成長していく未来と優花の2人。
そして、相手の得意な曲での勝負。
敗けを強く意識した今回のステージ。
全力以上を出さないといけないと春風は思っていた。
その結果、ゾーンに入り最高のステージになっていた。
(楽しい、楽しい!楽しい!!!)
曲が進むにつれ春風自身のテンションも最高潮になっていた。
(こんなの初めて!楽しすぎる!まだ、やりたい!もっともっと!)
観客もそんな春風につられてどんどんボルテージが上がっていく。
(これだ、私の求めてた世界!見たかった景色!)
一瞬が永遠に、永遠が一瞬に感じられる世界。
いつまでも続くかのように思われた世界。
曲の終わり
全てが元に戻った。
夢のような世界はあっけなく終わりを告げたのだった。
(やりきった。これが最高のステージ!やりたかったこと!全部できた!)
春風はステージの上で息を切らしていた。
(はぁ、はぁ、楽しかった。さいっこうに楽しか、った)
ゆっくりと息を整え、大喝采の中でお辞儀してステージを降りて行った。
春風はもう勝ち負けはどうでもよくなっていた。
最高のステージができた。
ただその満足感で胸がいっぱいだった。
そして、観客席側に回り、Three Angelの登場を静かに待つのだった。
つづく




