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第九話 ユメノセカイ

昇は白い何も無いところにいた。

床も空も何も無い、ただ白い世界。

「僕は死んだのか?ここは天国なのか?」

とつぶやいた。

「天国は天国ですが、死んではいませんよ」

振り返ると、白いワンピースの長い金髪の女性がいた。

「はじめまして、夢野昇さん。L-738いえ、エルシィがいつもお世話になってます」

そう言って女性は頭を深く下げた。

「ここは天国に近いですが、まぁ夢の世界とでも思って下さい」

現状をあまり理解できなかったが、目の前の女性がエルシィの関係者であることはわかった。

「繰り返しますが、あなたは死んでいません。少しこちら側にお呼びしているだけです。現実ではあなたは一命をとりとめ、眠っている状態です」

女性は淡々としかし、温かみのある口調で話した。

「なぜ、僕は呼ばれたんでしょうか?」

「いくつか理由はあるのですが」

女性はコホンと咳払いをして、

「1つ目はこの度はわたくし共のエルシィが昇さんにご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした」

「いえ、それについてはこちらも助かっています。エルシィが来なければ、僕はあのまま事務所をたたんでいたと思うので」

昇は手をブンブンと振って否定の意を示した。

「そう言って頂けると助かります。あの子は少し特殊でして、普通はそちらの世界に行くことはできないはずなんです。しかし、あの子は思いの強さからそちらの世界に行ってしまったんです」

女性いわく、エルシィは歌や踊りに興味を強く示し、昇たちの世界をよく眺めていたとのことだった。

「そうなんですね。とこらで、えっとあなたはなんとお呼びすればよろしいですか?」

「あらあら、私としたことが自己紹介を失念してました。改めまして、天使階級第八位、ミカエルと申します」

ミカエルはさすがに昇でも知ってるぐらいの有名な天使だった。

「さて、本題なんですが、エルシィですが現状このままでそちらの世界で生活しなければなりません。昇さんやお友達と関わり、こちら側に戻れない状態です」

「それはずっとエルシィはこちらにいると言う事ですか?」

「いえ、エルシィ自体が夢、つまりアイドルになり満足することで、そちらの世界との関わりが弱くなってきますので、その後に戻る形になります」

「ということはエルシィが満足しなければそちらには戻れないということですか?」

今の話から昇は疑問を投げかけてみた。

「その通りです。理解が早くて助かります。つまり、昇さんにエルシィに満足してもらえるようにご助力をお願いしたいのです」

そこで、ふと昇は別の疑問が浮かんだ。

「もし、エルシィがそちらに戻った場合は我々の記憶から消えたりとかは、しませんよね?」

「そこに疑問を抱かれるとは思いませんでした。答えは大丈夫です。記録にも記憶にも残ります。ただ、出生などは昇さん以外には違和感のないように修正されます」

それを聞いて昇は胸をなでおろした。

「安心しました。エルシィの夢は今の僕の夢でもあります。必ず叶えて、エルシィをそちらに送り届けます!」

昇は力強く答えた。

それを聞いたミカエルは満足そうに

「はい。よろしくお願いしますね。あなたの進む道に光が満ちることを祈っています」

そう言うとミカエルは優しく微笑み、昇の視界はだんだん霞んでいった。

つづく

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