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第七話 初ステージ、天使アイドル始動!

武雄との約束の前日。

「エルシィ、明日のステージはいけそうか?」

昇は念の為、エルシィに声をかけて確認した。

「はい!大丈夫そうです。今、すごいワクワクしてます。おっきなステージで歌えるんですよね?」

昇は多少は緊張してるのかと、想像していたが予想に反しエルシィは期待で目をキラキラさせていた。

それを確認できた昇は明日は成功すると確信していた。

「明日のステージは大きいが、ちゃんとデビューすることができたらもっと大きいステージでも歌うこともできるよ。だから、明日は楽しんで楽しませよう!」

この楽しんで楽しませるは、昇が唯一絶対に所属アイドルに求めるものだった。

その言葉を聞いたエルシィは

「はいです!しっかり楽しんで、楽しませてきます!」

と元気に答えた。


初ステージ当日

昇はステージ裏で今回のステージが想像を遥かに超える規模でおどろいていた。

「昇、大丈夫かよ。思ってたのよりだいぶでけーハコだなんだが」

篤は心配そうに声をかけた。

そばには麗や縁もいる。

「大丈夫だ。問題ない」

言葉とは裏腹に動揺が滲み出ていた。

一方エルシィ本人はというとステージ脇から舞台の大きさと会場でディナーを楽しんでいる大勢の人達をみて、怯むどころか興奮状態になっていた。

「昇さん、ほんとにあそこで歌って、あの人達みんなに歌を聞いてもらえるんですか?」

もうワクワクが止まらないといった様子で昇に聞いた。

それを見た昇は落ち着きを取り戻し、

「そうだとも。今日は一曲だけだけどあの人達みんなにエルシィの歌を聞いてもらえるんだ」

(アイドルを送り出す側の僕が怖気づいてはだめだ。しっかりしないと、エルシィにはチカラある。みんなを幸せにするチカラが)

そう思い、昇は満面の笑みでエルシィをステージに送り出した。


時間は少し戻り、エルシィの出番の20分前

「会長、もうすぐ例の子の出番ですが本当に大丈夫なんですか?今日はお客様もいつもより多いようですが」

黒服の側近は心配そうに武雄に訪ねたが、武雄は余裕そうに

「アイドルの卵のデビューやからなぁ、そりゃいっぱい人も呼ぶやろ。心配せんでも一応前座って話にしてる、成功したら大盛り上がりの大儲け、失敗しても前座に誰も気にかけへん。やから問題なしや」

とガッハッハと笑い飛ばしていた。

その言葉を聞いても側近は不安が拭い切れずにいた。


「皆様、お食事中ではございますが、ここでユメノプロダクションの新人アイドルに一曲歌って頂きます。BGM代わりにお聞き下さいませ」

司会進行役がそう告げ、ステージ袖に下がるとエルシィがステージ中央に出てきた。


「ユメノプロダクション所属、月夜エルシィです!

よろしくお願いします!」

練習した通りにエルシィが挨拶するも、新人アイドルに興味を示す者はほとんどいなかった。


♫~~♪~~~

曲の前奏が流れ出した。

「夜の帳が下りたあと♪」

エルシィが歌い出すと、それに惹かれるようにだんだんと手を止めエルシィの歌に聴き入っていった。

「手をたたこう♪」

パンパン

「足をならそう」

ドンドン

エルシィのダンスにつられ、みんな体が勝手に動いていた。

♫~~♪~~~


「ありがとうございましたー!」

歌い終わり、エルシィがお辞儀をした時にはみんな立ち上がり拍手をしていた。

たった一曲の間に総勢100人を超える人々を魅了していた。

ステージは大成功で幕を閉じたのだった。

たった一人、エルシィのチカラを認めつつもこの状況をよく思わない人物がいたことを除いては。

つづく

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