第五十九話 技能修得には
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
昇はかなり驚いていた。
目の前に先日依頼のメールをしたコーチ:芦屋祐希がいたからだ。
祐希は篤の従兄弟でミュージカル俳優だが、ミュージカル以外のことは無頓着で普段連絡しても、見ていなかったり、忘れていたりで約束通りに来ることはほとんどなかった。
いつもなら篤にフォローしてもらうのだが、今回はそんなこともなく約束通りに来たのだった。
「久しぶり、昇くん」
唖然してた昇に祐希は話しかけた。
昇は慌てて
「お久しぶりです。ご活躍はかねがね…」
丁寧に挨拶していた昇を制して、
「ノンノン、依頼とは知らない仲じゃないんだから、堅苦しいのはなし。篤から聞いてる面白い子がいるんだって?」
ミュージカル俳優とはいえ、祐希は普段から芝居かかった話し方する。
しかも、篤並の高身長でスラッとしたイケメン、もとい、イケ女だった。
「さて、噂の子がどんなもんか楽しみにしてたからね。まずはテストさせてもらうわよ。どうせ、麗や縁もしてるんでしょうけどね」
篤の従兄弟だけに麗や縁とも面識は当然あった。
「さて、あなたがエルシィ?」
レッスン室にいたエルシィを見つけて祐希は話しかけた。
「はい、新しいコーチってあなたのことですか?ものすごい美人さんですね」
エルシィは満面の笑顔で答えた。
祐希は驚いていた。
今まで祐希はその身長や顔つきのせいで初対面では美男子とはよく言われるも美人と言われることは少なかった。
祐希をスカウトした所属の劇団の団長や劇団マネージャーなどごく一部であった。
(昇などは幼いころから面識があるため元々女性ということは知っている)
「ふむ、なるほどね。これはこれは」
エルシィの周りをグルグル回りながら呟いた。
「まずは合格ね。エルシィ、一曲聞かせてくれる?」
そう言って祐希はレッスン室の端のパイプ椅子に腰掛けた。
その座っている姿の背景にバラが見えるような錯覚を起こすほど優雅に座っていた。
よしっとエルシィは気合いを入れ、いつもの「Rainbow Bridge」を歌った。
祐希は黙ってただエルシィの歌とダンスを見続けた。
歌い終わりにエルシィはペコッお辞儀をした。
パチパチパチパチ
祐希は拍手をし立ち上がりエルシィに近づいた。
「なるほどね、昇が私を呼んだ理由はこれね」
エルシィには何のことかさっぱりで首を傾げていた。
「オッケー、エルシィ合格よ。今日は顔を合わせだけだけど、次回からみっちり仕込んであげるからね」
そう言って祐希はニコッと笑った。
エルシィは目をキラキラさせながらブンブンと頷いていた。
昇はそれを少し遠くで見ていたが祐希の笑いを見た瞬間に身震いをしていた。
のちにエルシィは語る。
「この時のレッスンは一生で1番辛かった」
と、目にコントラストがなくなった状態でインタビューを受けることになるのは、まだまだ先の未来だった。
つづく




