第五十七話 視線の正体
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
昇達が捕まえた人物は遠目に見てもかなり小柄に見えた。
春先にフードのついたコートを着ており、怪しさ満載だった。
篤と合流し、まずは話を聞くことにした。
「ここずっと視線を感じていましたが、それはあなたで間違いないですね?」
昇の問いかけにその人物はコクコクとフードを押さえたまま頷いた。
「あなたはエルシィのストーカーか何かですか?」
その問いにはフルフルと首を振った。
「何が目的か聞かせてもらえませんか?フードも取ってください」
フードを取って現れた人物はどこにでもいそうな女の子だった。
「えとっ、あ、あの、わた、わたし、は、その」
女の子がたどたどしくしゃべり出した。
「ゆっくりで構いません。まず、ストーカーではないってことでいいですね?」
「あっ、は、はい。スト、ストーカー、じゃ、ないです」
「では、なぜ、エルシィの後をつけてたのでしょうか?」
女の子はゆっくりと話しはじめた。
少し話したあと長くなりそうだったので、場所を近くのファミレスへと移動した。
女の子の話を要約すると、3グループ合同のライブ映像を見て、エルシィのファンになったそうで、ネットで色々調べ、エルシィの行動を把握し、ついには会いに来てしまったようだった。
ある程度話していると、慣れてきたのか、たどたどしさはだんだんとなくなってきていた。
年齢的にはどう見ても高校生以下にしか見えなかったので、昇は学校について聞いてみた。
「今は、学校にはいってま、せん。……わたしは、小学生のとき、胸が大きくなってきたのを、男子にからかわれ、女子からも仲間ハズレにされたり、ヒドイいじめにあってて、それで外に出なくなってしまったので」
昇は一瞬しまったと思ったが、同時に今外に出てきて、エルシィにずっとついてきていたことを逆に疑問を思った。
「それはつらかったね。僕では十分には理解できないだろうけど、想像はできるよ。それで外に出れなくなったってことだけど今は大丈夫なのかな?」
「エルシィ、さんにどうしても、会いたくて、そう思ってたら、いつの間にか出れるように」
エルシィは知らぬ間にこの女の子の助けになっていたようだ。
「名前まだ教えてもらってなかったね。聞いてもいいかな?」
昇はできるだけ優しく問いかけた。
「わたしは獅童 祐奈です。今、16歳です」
祐奈と名乗った女の子はやはり高校生だったようだ。
昇も幼いことに母を亡くし、そのショックでしばらく引きこもっていたこともあった。
なので、外に出られなくなったあとにまた出ようした時のしんどさも理解できた。
「祐奈ちゃん、提案なんだけど、これからはエルシィの後をついてくるんじゃなくて、事務所に遊びにおいで」
祐奈は最初、なにを言われてたのか意味がわからずきょとんとしていた。
「君の保護者にも連絡するけど、外に出る練習も兼ねて事務所においで、歓迎するよ」
祐奈はその優しさに涙を浮かべ、何度も頷いた。
その後、エルシィのコンサートの最前列には熱狂的な女の子が常にいるようになったのだった。
つづく




