第四十八話 売るためには……
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
こうして目標販売数が10倍になってしまったため、ほそぼそと売っていたのでは埒が明かないので何か策を考えなければならなかった。
といっても、できることは限られている。
その1つがイベントに出演し、物販で売り込むこと。
他には他の事務所と協力して合同で販売すること。
最後に大きなツテを使って大々的に販売を展開すること。
他の事務所に関してはThree Angelつながりで春風プロダクション(未来所属)と月城プロダクション(優花所属)があるがおそらくどちらも合同では販売してくれないと判断した。
それはこの前のソロコンテストにて2人に勝ってしまったので、先方としては一緒にはしたくないと考えているとの予想だった。
この予想は概ね当たっていた。
本人達は意に介していなかったが、事務所としてはできれば避けたいことだったのだ。
大きなツテは藤堂も時定も両方すでに頼っているのでこれ以上頼るのは貸しを大きくしてしまうので、今後を考えると好手ではなかった。
事実、2人に頼っていた場合は何らかの見返りが大きいはずだった。
残された手はイベントだが、まず手頃なイベントがしばらくはなかった。
春から夏にかけてはどこも新人の育成などに手を取られるためなかなかイベントに参加するようなところはなかった。
昇はそこでふと思った。
(他がイベントしないのであればうちがすれば集客は見込める。しかし、費用が出せるほど余裕はない。となると)
後日、昇はとある事務所を訪問していた。
そこは星影プロダクション。
あのブラックトライアルの所属事務所だ。
コン、コン、コン、ガチャ
「お待たせしたわね」
入ってきたのは、スーツ姿のモデルを思わせる気品ある立ち姿の女性だった。
この女性こそ、星影プロダクションの社長の遠藤 奏その人だった。
遠藤は昇にソファーに座るように促すと自分も対面の席に座った。
「余計な挨拶とかはめんどくさいから単刀直入に用件をお願いできるかしら?」
ただ座っているだけでもオーラを感じさせる存在感に昇は少し圧倒されながらも、イベントを企画していること、そこにブラックトライアルが参加するのはどうかと、出演する代わりに費用を一部負担してほしい旨を伝えた。
「なるほど、イベントをしたいけど費用が足らないからうちに出資するように打診しに来たというわけね」
少し、思案する素振りを見せた遠藤だが
「いいわよ。3つの条件を呑んでくれるならね」
条件は以下の通りだった。
1、イベントの主催は夢野プロダクションではなく、星影プロダクションにすること
2、ブラックトライアルの3人はそれぞれがソロとして参加すること
3、費用の負担は星影と夢野で6:4にすること
1と2に関しては問題なくクリアできそうだったが、問題は3である。
「すみません。費用に関しては7:3でお願いします。それ以外はそのままで大丈夫です」
遠藤はそれを聞いて、昇を睨みつけた。
しばらく沈黙が続いた。
遠藤がふっと顔を緩ませ
「よかったわ。一緒に仕事をする相手が交渉もできないような無能じゃなくて、費用は8:2でいいわ。その代わり、当日までの準備等はそちらでお願いするわね」
さらりと雑用を全てお願いされる形にはなったが想定以上に費用は抑えられることになった。
昇はこの人にはきっと敵わないんだろうという予感がしていた。
つづく




