第四十七話 縁結び
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
翌日、エルシィはもらった名刺を昇に渡し、事の顛末を話した。
昇は名刺を見て、パソコンで所在を確認しアポをとった。
アポ当日
昇はある雑居ビルの中の事務所に向かった。
ピンポーン
昇はインターホンを押し、相手が出たことを確認し、
「本日、アポイントを取らせていただいた、ユメノプロダクションの夢野と申します」
「鍵は開いてるんでそのまま中にお入り下さい」
昇はガチャっと扉を開けて入った。
中に入るとすぐにソファーなどの応接室と思われる場所だった。
その奥の部屋にはいろいろな機材やパソコンが置いてあった。
昇はソファーにいた男性にお辞儀をし、
「改めまして、ユメノプロダクションの夢野です。先日はうちのエルシィにお声をかけていただきありがとうございます」
男性は昇の名刺を受け取り、
「サンライズミュージックの須藤です。名刺は先日渡したので大丈夫ですかね?」
といい、昇の名刺を見た須藤は少し驚いた顔したがすぐに笑顔に戻った。
そして、ソファーに腰掛けるように勧めたあと
「では夢野さん、さっそくですが、エルシィさんのCD作成の件でよろしいでしょうか?」
本題から始めた尚弥に昇は少し驚いたが、
「はい、デモテープはこちらです。まずは1万枚で作成を依頼したいのですが」
昇はテープとは名ばかりのCD音源を渡した。
「少し確認しても?」
尚弥の質問に昇は頷きで返した。
尚弥は奥の部屋に行き、しばらくヘッドホンで音源を確認していた。
戻ってきた尚弥に昇は
「いかがでしょうか?1万枚で60万円でできないでしょうか?」
と聞いた。
相場としては1万枚なら65〜70万円で昇の出した金額はかなり安い。なので今まではどこも断られてきた。
「うーん。夢野さん、正直に言いますね」
と尚弥は一旦区切り、
「あの音源ではたぶん1万も売れないでしょう。なので、これは交渉なのですが編集を私に任せてもらえれば、10万枚を500万円でかつ支払いは売れた分のみというのは?」
突然の申し出に昇は少し呆気にとられた。
まず、枚数が10倍になっていたが1枚当たりの費用はかなり下がっていた。しかも、売れた分だけというのは、予想の1万枚なら50万円ということになる。
しかも、編集込みとなると破格である。
「ちょっと待って下さい。申し出はありがたいですが、あまりにもこちらにメリットしかなくないですか?そうまでされる理由がないと逆に怪しく感じてしまいます」
昇はさすがにその申し出を素直に受け取ることはできなかった。
1万枚で60万円でもかなり格安なのだ。
それをさらに10万円も下げ、かつ、販売分のみの費用とあると昇側があまりにも有利すぎるのだ。
「まぁ、そうなりますよね。ここまで破格にする理由は2つあります。まず1つ目はエルシィさんの歌声に可能性を感じ、トップアイドルになれる逸材であると感じたからです。つまり、一種の投資みたいなものですね」
その言い分はたしかにわかるが、それでも破格すぎると昇は感じていた。
なので、
「そこはまぁ理解出来ます。私もエルシィには可能性を感じていますので。2つ目の理由をお聞きしても?」
と、続きを促した。
「2つ目は……夢野さん、最近私以外で須藤という名前を聞きませんでしたか?」
尚弥は理由を言わず逆に昇に質問した。
昇は一瞬考えたが、すぐに答えは出た。
「あの妊婦さん…」
「そうです。須藤 陽子は私の妻です。これが理由です。みなまで言わなくてもわかりますよね?その節は大変お世話になりました」
尚弥は深々と頭を下げた。
「いえ、あれはたまたまですし誰でもああしたと思いますよ」
と昇は言ったが、
「助けていただいた事実は変わりませんし、何よりあの日は私もエルシィさんに出会っていたので、おそらく何かの縁なのだと思います。私はこの縁を大事にしたい。だからこその申し出でなのです」
尚弥は再度頭を下げた。
「そう言っていただけるならこちらも願ったり叶ったりです。こちらこそよろしくお願いします」
昇も頭を下げた。
こうしてエルシィの初のCDはほぼ無名の新人としては異例の10万枚作成からスタートすることになった。
つづく




