第九十九話 結末と約束
天使がトップアイドルを目指すというとんでも設定です。
一応王道アイドル物になる予定です。
誤字・脱字、感想、レビュー諸々受け付けております。
ぜひよろしくお願いします!
審査員10と観客からランダムに選ばれた100人による投票でこの頂上決戦に終止符が打たれる。
集計中はしんと静まりかえっていた。
1分が1時間にも感じられる中、司会者がステージに上がってきた。
司会者も結果はまだ見ていない。
会場全体が緊張するなか
「今回の1等星春風 愛菜とThree Angelの対決の結果は」
そこで初めて結果の書かれた紙を開いた。
それを見た司会者は驚き、絶句してしまった。
数秒して我に返った司会者は
「失礼致しました。結果は・・・」
改めて、間をとり
「同点により、引き分け!今回は勝敗つかず!」
わぁーーー!
っと会場中が盛り上がった。
1等星戦で引き分けは未だかつてなく、稀なケースだった。
観客達はそれよりも両者の素晴らしいパフォーマンスに敬意を評して盛大な拍手を送ったのだった。
結果発表の後、Three Angelの控え室で、3人は嬉しさと悔しさと春風の凄さなどいろいろ感情でどうしたらいいのかわからなくなっていた。
「ねぇ、これって結局どうなるの?」
椅子にもたれかかりながら、未来が尋ねた。
「調べたところ、ルール上は引き分けの場合、トップ5側が優先されるみたいだな」
メモ帳を広げながら昇は残念そうに答えた。
「ということは今年も防衛されちゃったってことですね」
優花もさすがにうなだれていた。
「でも、一番楽しかったですよ」
エルシィはそう言ったが、声色に元気はなく疲れがみてとれた。
「結果は残念だったが、あの1等星の春風に引き分けたんだ。充分誇れるものだと思うぞ」
「まぁ、かなりこっちにハンデ貰った感はあるけどね」
未来が自虐的にははっと笑った。
「あのルール、春風さんが急に言い出したみたいですね?なんでなんでしょうか?」
優花が首を傾げた。
「トップの考えることはわからないわねー」
「しかし、春風さんが今回で殿堂入りになるから実質1等星はThree Angelになるのか繰り上げになるのか判断待ちだな」
そう言って昇は視線をメモ帳から上げ、3人に帰る準備をするように促した。
ところ変わって春風サイド
春風はマネージャーに車で送ってもらっていた。
流れていく景色を見ながら、
「マネージャー、約束通り引退するわね」
キキーーーッ!
びっくりしたマネージャーが急ブレーキをかけた。
幸いほとんど車がなかったため、事故の心配はなかった。
「愛菜、今なんて言ったの?」
「引退するって言ったの、約束でしょ?」
マネージャーは運転席から振り返り
「負けてないのに引退なんて1等星から殿堂入りするとはいえ」
マネージャーはなんとか説得を試みた。
「私は勝てなかったらって言ったのよ、引き分けは勝ちじゃない。だから、引退」
「そんな、ここまできて」
「正直ね、勝てたって思ってたのよ、今までで一番の最高のステージができたって、勝って殿堂入りしてやろうとすら思っちゃったの」
春風はそこで一旦区切り、
「そしたら、3人で同じようなことしてるんだもの、それで引き分け、あーこれもうこれ以上いけないなって」
「今度は自分の歌でやれば余裕で勝てるわよ」
「なんていうか、歌い切った後で満足しちゃったのよ」
「満足って」
「あの3人はそうじゃなかった、あの歌の中でもまだうまくなりたいって気持ちが切れてなかったの」
マネージャーは大人しく聞いていた。
「3人はあれが限界じゃないまだ伸び代があったの、でも、私は満足して、あーここまでなんだって気づいちゃったの」
ハァーーーっとマネージャーは大きくため息をついた。
「ごめんね、マネージャー」
「全く、しばらくゆっくりしようと思ったのに休めないじゃないの」
「マネージャー?」
「この仕事が終わったら長期休暇もらうからね!旅行付き合いなさいね、愛菜」
「わかった、ありがとう、マネージャー」
「もうすぐ、マネージャーじゃなくなるけどね」
「ありがとう、遙」
翌日、各メディアに春風の引退が伝わり、業界に激震を与えたのだった。
つづく




