第十話 誓い〜夢への第一歩〜
昇が目を開けると見覚えのない白い天井が見えた。
「ここは・・・?」
昇はつぶやき、辺りを見渡した。
「おい、昇のやつが目を覚ましたぞ」
篤の声が聞こえた。
ドタバタと足音が聞こえ、いつものメンバーが顔を除きこんできた。
少し顔を起こすと少し離れたところにエルシィが申し訳なさそうに立っていた。
見る限り、目立った怪我はなさそうだった。
「大丈夫か?自分がどうなったか覚えてる?」
麗が聞いてきたので、軽く頷く。
「ほんとに心配したんだからね。ばか」
縁が泣きそう声で言った。
(縁はいつも僕が怪我した時は僕より泣きそうなんだから)
など、昔のことをぼんやり考えていた。
篤からその後ことを詳しい説明してもらった。
昇はエルシィを庇ったまま気を失っており、病院に搬送されたが、木材同士がぶつかりあったため、下敷きになったわりには軽傷であったが、頭をぶつけていたようで、すぐに目を覚まさない状態だったとのこと。
ステージになぜハイヤーが張ってあり、それが木材にひっかかるようになっていたのかは不明で、警察も事件と事故で捜査中とのこと。
エルシィは昇が庇ったかいがあり、ほとんど無傷だったとのこと。
そして、エルシィは自分のせいで昇が怪我をしたと思ってることを聞いた。
昇は少し考え、
「少しエルシィと2人で話させてほしい」
それを聞くと3人は少し顔を見合わせたあと、病室から外に出た。
「エルシィ」
と優しく声をかけた。
「ごめんなさい。私のせいで昇さんが・・」
「エルシィ!!」
エルシィの言葉を遮って、少し強めの語気でエルシィに声をかけた。
「少し、話しを聞いて欲しい。僕はさっきまで夢を見ていたんだ」
「夢、ですか」
エルシィは泣きそうなりながらも昇の言葉に耳を傾けた。
「その夢でね。ミカエルって天使様にエルシィのことをお願いされたんだ。エルシィの願いを叶えるのに協力してほしいって」
「ミカエル様が?」
「エルシィのこと、心配してたよ。だから、もう一度しっかり聞かせてほしい。エルシィの願いはなに?ここでなにをしたい?」
「私の願い?」
エルシィは少し考え込んで、
「私は元々歌も、ダンスも好きでした。ここに来て、篤さんに歌を作ってもらって、麗さんと縁さんに歌とダンスを習って、みんなの前で披露してすごく楽しくて、みんなも喜んでくれて」
エルシィはそこでひと呼吸おいて、
「みんな笑顔でキラキラしてて、私はもっと見たい。もっと大勢の人に喜んでもらって、笑顔になってもらいたい。私、アイドルで一番になって大勢の人を幸せにしたいです!」
エルシィはそう力強く答えた。
昇は嬉しそうに
「あぁ、叶えよう!たくさんの人を笑顔に、幸せにしよう。アイドルの一番になろう!」
返した。
今この時に2人の願いを確認し、誓いをたてた日になった。
つづく




