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Royal Road  作者: 木山碧人
第六章 イギリス

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第57話 前進

挿絵(By みてみん)




 第三回廊区。白く長い廊下が続く。


 今までの場所と比べて、やけに明るい。


 天井には光る鉱石がはまり、廊下を照らす。


 左右と正面には、多種多様な扉が連なっていた。


「時代感が違う扉……。門番を探せってところか……」


 中に足を踏み入れたベクターは、考え込む。


 今までの傾向から考えて、門番を倒すのは必須。


 この中から門番がいる場所を探し当てて、討伐する。


 それで、次の場所。第四区画へ進めるようになるはずだ。


「いや……そうとも限らねぇぜ」


 隣に立つルーカスは、反対意見を述べた。


 視線を落としながらも、顔つきは真剣そのもの。


 強気な発言から考えても、期待しても良さそうだった。


「妙案があるなら、ぜひ聞かせてくれ……」


 昔なら、他人に判断を仰ぐことはあり得なかった。


 ただ、こいつの発言なら信頼できる。聞く価値はある。


 出会って数時間にも満たないが、そう思える時を過ごした。

 

 タイマンで勝てなかった実力者に、こいつは勝ったわけだしな。


「俺っちたちは、恐らく後入りだ。戦闘が長引いたからな。すでに、先行した王子たちがいたと踏んでる。それも、実力者揃いだ。すでに第三区の門番を討伐し、攻略していても、おかしくねぇ。……つまり、この中のどれかが当たりだ」


 つらつらとルーカスは、思考を述べていく。


 十分、あり得る話だ。森林区では連戦が続いた。

 

 混乱に乗じて、先を越されていても不思議じゃない。


 鹿の門番を倒したせいで、第二区の門は開いていたしな。


「仮にそうだとして、どう見分ける……。十三分の一だぞ……」


 扉は左右正面、合わせて十三枚。


 中に入らなければ、確かめようがない。


 加えて、広大な別の世界に繋がっていそうだ。


 かなり高い確率で、二度手間を踏む可能性があった。


「いや、扉が最初から十三枚だったとは限らねぇ」


 神妙な顔つきで、ルーカスは語る。


 すでに、目星があるような言い方だった。


「そうか……。門番を倒して、新たに扉が増えた……」


 そこまで言われれば、おおよそ察しがつく。


 ここは、独創世界と同じようなルールの部屋だ。


 条件を満たすことで、扉の数を増やすことも可能。


 門番討伐が条件なら、追加されていてもおかしくない。


「あぁ。討伐前は、左右均等の左に6枚、右に6枚の配置が自然」


「つまりは……」


「不自然な正面の扉が順路だ。ここまで苦労した分、楽してやろうぜ」


 そこで会話はまとまり、二人の視線は前を向く。


 そこには、十字架が描かれた白い扉が見えていた。


 ◇◇◇


 第四小教区。教会を中心に発展した区。


 建物が密集し、迷路のように連なっている。


 その道中には、白い修道服を着た悪霊が蔓延る。


 先手を切ったのは、二人。アルカナ陣営が誇る戦力。


 ポリス服を着た紫髪の女性とセーラ服を着た茶髪の女性。


「示現流――【明王】」


超原子拳アトミックインパクト――ッッ!!!」


 アミと広島による、互いの必殺。


 紫炎を纏う斬撃と、赤光を纏う破壊拳。


 空気は爆ぜ、建物は砕け、悪霊は一掃される。


 余力を残した二人を中心に第四区の攻略は始まった。


「……見事なもんだな。こいつが本家本元ってやつか」


 ラウラは二人を褒めつつ、広島を見る。


 あの技は、ジェノが使っていた技と同じだった。


 帝国で学んだと言っていたし、恐らく、師匠はあいつだ。


「あぁ、あの子と知り合いじゃったか。見比べてどーかいの」


 落ち着いた様子で、広島は尋ねた。


 同じ技を使う同士なら、比較しやすい。


 ジェノの方は何度も見たし、違いは分かる。


 弟子との実力差を間接的に計りてぇんだろうな。


「あんたの方が三倍ぐらいすげぇよ。威力も範囲も段違いだ」


 ラウラは感じたままのことを述べる。


 なんの忖度もねぇ。ありのままの事実だ。


 さすがは、ジェノのお師匠様ってところだな。


「……」


 しかし、広島は黙り込む。


 表情は暗く、下を向いている。


 明らかに嬉しくないって印象だった。


「三倍じゃ不服か? 十分だと思うんだがな」


 ラウラは念のため、フォローを入れる。


 一時的とはいえ、協力関係がある間柄だ。


 関係を維持するには、機嫌は取らねぇとな。


「あの子も随分……。いや、気にせんで……」


 広島は、含みがある言い方をして、歩みを進める。


 訳アリって感じだ。当人同士しか分からねぇんだろうな。


(詮索はしねぇ方が良さそうだ……)


 ラウラは空気を読み、そこで会話は終了。


 アミと広島が先導し、小教区の果てを目指した。

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