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Royal Road  作者: 木山碧人
第六章 イギリス

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第120話 強情な交渉①

挿絵(By みてみん)





 どさりと何かが倒れた音がした。


 気付けば、目の前の男が消えていた。


 すぐに振り返り、音がした方を確認する。


「やれやれ……。久々にちゃんと動くと腰にくるね」

 

 その先にいたマーリンは霊杖で腰を叩いている。


 杖先は赤く染まり、ぽたりと一滴の雫がこぼれ落ちた。


 地面には一人の人間が横たわり、血の水溜まりを作っている。


 事の一部始終を見ていたわけじゃねぇ。ただ、何をしたかは明白だ。


「…………殺したのか?」


 ルーカスは、聞く必要のない質問をぶつける。


 安否確認よりも、倒すのが先決ってのは分かってる。

  

 ただどうしても、本人の口から聞いてやりたくなったんだ。


「残念ながら、まだ生きてるよ。生きるか死ぬかは君次第だね」


 マーリンは肩をすくめ、淡々と質問に答える。


 わざと生かした。そう言わんばかりの舐めた態度。


 今のやり取りだけで、相手の思惑が十分に理解できた。


 ――負傷した人質を助けたいなら離脱しろ。


 それが生かした理由。初代王マーリンの鬼畜めいた思惑だ。


 気付けば、足と体は勝手に動き出し、目的地にたどり着いた。


 両手は自然とベクターの体を抱え、間髪入れずに告げてやった。


「地獄に落ちろ、この人でなしが」


 ルーカスは全部理解した上で、思惑に乗っかる。


 考える余地なんてねぇ。ここはベクターが最優先だ。


 一方的に言いたいことだけ言って、その場を去ろうとした。


「君も同じ側だろ。……百年後で待ってるよ」


 去り際にマーリンは耳元でそっと囁く。


 王位継承戦の継続を確信したような態度。


 言い返したいのは山々だが、時間の無駄だ。


(俺と同じなら、お前の計画は思い通りにいかねぇよ)


 ルーカスは振り返ることなく、王墓所を後にした。 

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