#7 『元天文部と彼女たちと勉強会』
「んで? いつやるのよ…」
「え、え~っと?」
次の日。なぜだか、登校して教室に入って待っていたのは
幼馴染である琴吹刹那。 その人のガンであった……。
土曜日なのに、重い腰を上げてあの坂をのぼり、やっとたどり着いて
一息つきたい幼馴染にその態度とはいかがなものだろうか。
「だから、いつやるのよ。 勉強会」
「あ、ああ……。 そうだな、今日やろうか」
というか、むしろその回答しか許さないようなオーラに
若干ながら俺は後ずさる。
そして、放課後。
先ほどのを見かねてか、悪友である塚本海里が後ろを振り返り
小声の姿勢をとってきた。
「(ほら、あれだ。 昨日琴吹機嫌悪かっただろ?)」
「(そ、そうか……?)」
言われて、思い出すがいつも通りだったと思う。
それに、刹那は天体観測に多くはこない。
口には出さないが、刹那はそんなに星は好きではないのだろう。
朱希奈が前にその理由について
少しはなした気がするが、アバウトすぎて何が何だか分からなかった。
「(仲間外れって気分良くねぇぞ?)」
「(仲間外れになんかしてないだろ?)」
「(でも、この頃付き合いは悪くねぇか?)」
「(しょーがないだろ。 刹那の方だって部活が忙しいんだからさ)」
しょうがないで片づける自分を少し嫌悪したが、事実だ。
俺たちと合わないのは当然だ。 なんせ、刹那は今ちゃんと
目的に向かって前に歩いている。 それを邪魔するなんてこと
俺、海里、朱希奈。 親しい仲といえども誰にもできないことだ。
「(それでも、俺は………)」
俺の心中を察して、反論しようとするがすぐにやめる。
海里もちょっとだけ複雑そうだ。
こんな風にするつもりはなかったんだが……。
うん、でも、このままはやっぱ嫌だよな。
「なぁ、刹那。 今日は空手何時に終わる?」
「へ? あ…。 んと、3時。」
「そっか。 じゃあ、その後勉強するか。」
その言葉を聞くと、刹那は少しだけ機嫌が良くなった、感じがした。
「そうそう。 琴吹の成績このままいけば大学はおろか
就職さえも……………」
海里が大げさにハンカチを持って泣き真似をする。
それはいかがなものと思うが……。
「え、でも。 さっきはあんな風に言っちゃったけど
迷惑じゃないの?」
というものの、いきなりの提案に戸惑っているようだ。
幼馴染を迷惑なんて、思ったことないのに。
「刹那らしくないな。 いつもは強引だろ?」
「うむ。 いつもの琴吹であれば胸倉つかんで
『勉強やんぞ? アァ?』 くらいだろ?」
「わ、私そんなことしたことないしっ!!!!」
海里のおかげか、少しだけ刹那も通常に戻ってくる。
こういうときだけコイツは頼りになる。
「この前、校内でカツあげしてたくせに……」
「なっ!? 何回言ったらわかるのよ、アンタは!!!!!
あれは、カツあげされそうになった後輩を私が助けたのよ!?
私が正義!!!!!」
あぁ、なんだろう。 この懐かしい感じは……。
そうか。 うむ、おかえり日常。
そして、いつも通り傍観を決め込む。
「知ってるか? ウル○ラマンは正義とかって言ってるけど
あれ、ウル○ラマン出てきた方が被害が多いんだぜ?」
「で、でもでも! 怪人を放っておいたほうがヤバイでしょうが!」
「もしかしたら、そうじゃないかもしれないじゃないか。
それなのに! 未確認な生物だからって攻撃するのか!!!???
俺からしてみればウル○ラマンも未確認生物だね。」
「うっ……」
「それに、怪人が壊す施設や山が必ずしも善とは限らないぞ?
そこは、麻薬取引現場の常習場だったり、鉱毒事件が近々
くり広げられたりとかな。 そういうのを調べもしないで
怪人だからせん滅するのはどうかと思うなぁ……」
「そんなのどうでもいいのよ!!!!」
「はい、俺が言いたかったのはそれ」
「へ?」
「正義か正義じゃないかなんて本当はさほど重要じゃないんだ。
ようは第三者からどういう風に映ってるか」
「つまり、何が言いたいのよ」
「俺から見て、琴吹はカツあげしているように見えました、まる」
「うぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!」
試合終了…。
やはり、海里の方が強い。 というか、刹那よ。
お前、弱すぎじゃないか…。
「い、一星~!!!」
「はいはい。 いきなりそういうキャラにならない。
第一、俺は傍観。 いわば、審判のようなもんだ」
「なんのよ!」
「この口論のだ。」
双方に一刀両断された刹那は机に突っ伏してしまう。
いやぁ、よきかなよきかな。
この"ごくありふれた日常"の光景が好きだ。
日常に浸かりすぎている気もしないでもないが
非日常になった時は非日常になった時。
そんな客観的と言うか、楽観的に考える。
「そうだなぁ……。 そういえば朱希奈も呼ぶか?
期末は朱希奈のところもだろ?」
「ん~? 朱希ちゃんは要領いいし…。(どっかの姉と違って…)」
「あん? なんか、言った?」
「まぁ、それは認めるが…。」
「い、一星まで……」
軽く、青筋が出るくらいまで落ち込む刹那を視界の端に置き
少し考える……。 ん~………。
音姫も…、呼ぼうかな?
「と、とりあえず……。 私は部活に行くから、それからよ!!!!」
「じゃあ、海里は先に家に行っててくれ。 俺の部屋、勝手に入って
勉強の準備でもしておいてくれ。
「いいの~!? あんな本やこんな本発掘しちゃうわよ~ン」
「キモい声出すな。 そして、お前が求めているような本は家にはない」
海里を一蹴すると、まず、朱希奈の教室へと行く。
D組のHRは担任が担任なために長いので後回し。
「朱希奈~」
早々に朱希奈を呼びとめる。
どうやら、帰るようで、教室の入り口付近にいた。
「ん? あ~、星。 また観測?」
「いや、今日は勉強会だ」
「えぇ~………」
露骨に嫌そうな顔するなよ……。
と、言いたくなるが、確かに朱希奈は勉強が好きではないと思う。
俺と同じく、理科は大好き大得意の部類ではあるが
そのほかの教科にはミジンコほど興味がない。
ただ、"無駄"ではないので一応のつもりでやっている。
「なんで、嫌いなことを嫌いな人同士集まってやらなきゃいけないのよ…。」
「まぁ、そういえば俺たちの中で勉強が好きな奴はいないね。 うん」
朱希奈の一言に納得するものの、今回の勉強会開催の理由は
キミの姉にあるわけで……。
「はぁ~、いいわ。 どうせ、姉でしょ。
じゃなかったら、星バカの星が遠路はるばる私の教室に来るわけないものねぇ」
ちと大袈裟だが、まぁそうなる。
逆に2年の教室に通い詰める先輩の方が不思議だ。
「わかった。 星の家でしょ? 支度したら行くから」
「おー」
去り際にため息をついてから玄関へと向かう朱希奈を見送り
また、階段を上る。
見ると、見知っているD組の生徒が下りてくるのがわかった。
「あ、音姫。 ちょっといい?」
その中で、音姫を見つけるのはたやすかった。
「あ、いっくん! どうしたの?」
その後、「もしかして待っててくれたの?」
と、眉毛を八の字にして言われる。 まぁ、HRが長いしな。
C組と比べれば10数分ほどの差がある。
単に俺のところの担任が適当なだけだが。
「いや、大丈夫だよ。 そういえば、今日は暇?」
「うん。 今日はちょこっとテスト勉強するだけだから空いてるよ」
「そっか。 じゃあ、そのちょこっとを俺にくれない?」
「へ?」
ん~…。 伝わらなかったか?
本人も頭に?を浮かべているし…。
「えっと、勉強会するんだ。 海里と、刹那と朱希奈と俺で。
そこに、音姫もどう?」
「あ、そういうことか~。 でも、いいのかな? その、刹那さんはわたしのこと
好きじゃないみたいだし………」
前の第一接触のことを気にしているのだろう。
なぜ怒っていたのかはわからないが
刹那は理由がないのに怒ったりするやつでは……………。
……………………。
「ま、まぁ。 アイツの気分だったかもしれないし。
音姫が刹那にあいたくないのであれば別だけど……」
「もぉ! 逆だよ~。 ちゃんとお話して友達になりたいのに~。」
「そ、そうか……」
俺のちょっと心ない一言にぷく~っとふくれて怒る音姫。
うん、ちょっと言い過ぎたかもしれない。
「ごめんごめん。 じゃあ、来る?」
「うん、じゃあ私支度したら、えっと…。 いっくんのお家だよね?」
「そそ。 待ってるよ」
「うん! じゃあ、お邪魔させてもらいます!」
元気よく走っていく音姫を送ると、なんだかんだで校内に残っているのは
部活をする生徒しかいないことに気づき
早足で学校を後にする。
そういえば、海里は家に着いたかな?
ついているのであれば、アイツに部屋の中を荒らされる構図を
少しだが、思い浮かべる。
うん、アブナイね。 アブナイ。
急いで帰ろう。
「ただいま~!」
誰もいないと分かっていても、習慣づけられたものは一朝一夕じゃ外れないという
まぁ、礼儀正しいのはいいことだけどさ。
ダッシュして部屋へ入ると、海里がきていないことに安心し、カバンを置く。
と、いうか。 玄関見ればわかることなのに……。
なぜ、俺はダッシュで部屋に入ってこないといけないのだ、
まるで…………。
「思春期男子がよく行うエロ本隠しダッシュみたい?」
「のぅわっつ!?」
「know what's? って、なにそれ…。 文法間違ってない?
てか、動詞が二つって…」
とうとうバカになった? という目で見つめてくる朱希奈。
いや、学生的に大事だけど、今はそこじゃない!!!!!
なんで………。
「なんで、朱希奈がいるんだ…?」
「はぁ~?」
うぉ…? なんか、スゴイ形相でにらまれている…。
「呼んだの、星でしょ? 勉強会するからって」
手に持っているバッグを俺に見せてくる。
教科書、ノート、ペンケースに電子英和辞書にワーク。
確かに、勉強をする道具だ。
朱希奈は「走ってる星を見て、何事かと思ったからついてきた。」と
補足までしてくれた。 すいません。
「っていや。 そこじゃなくてね」
「そろそろ、焦るとモノローグを口に出すのやめた方がいいよ?」
「な、なに!? 俺にそんな欠陥が!? と、いうかモノローグって!」
「あ、それはこっちの事情だ。 忘れて」
何言ってるんだ、コイツは……。 まぁ、いい。
朱希奈は昔からつかみどころのない奴ではあった。
今更、全貌を理解しようと試みる俺がバカなのかもしれない。
「ううむ、でも発言が…」
「星はそんなこと気にしなくていいよ。 叩かれるの作者だし」
「…????? ま、まぁいいや」
とりあえず、この場はスルーしたほうがいいな。
たぶん。 まぁ、仮に説明されたとしてもわからないと思うが……。
「じゃあ、私テーブル出すから。 星は適当にお茶運んで」
「はいはい…」
俺は朱希何言われた通り、お茶を準備する。
えっと、洋菓子は……。
――ピンポーン――
お、う○い棒があった。
って、今チャイムなったよな。
「は~い」
扉を開けると、そこには音姫が立っていた。
「来たよ、いっくん。 って、それう○い棒?」
「あ、あ~、うん。 明太子味」
どうやら、う○い棒をそのまま持って来たらしい。
主婦で言うおたまを持ちながら旦那を迎えるならあろだろうが
古今東西、う○い棒を持って同級生を迎えるのは
人類初であろう。 いや、初であろうがなかろうがどうでもいいが。
「どうぞ。 俺の部屋2階のつきあたり」
「おじゃましま~す」
音姫を階段まで案内した後、洋菓子を再度探す。
いや、さすがにコーヒーにう○い棒はないだろう。
そういうことで、明太子味は俺がいただく。
食べながら、戸棚をあけると、ケーキが一皿ラップをされて
たたずんでいるのが見えた。
「……………………。」
父さんのだな、うん。
今現在ここには俺と父さんしかいないわけだし。
父さんが女を連れてくるわけもないし、というか連れてきたとしても
なぜ、ここにケーキを置くのかもわからないので……。
まぁ、要するに……。
――ガララ……――
無言で、戸棚を閉める。
触らぬケーキにたたりなし。
これで男泣きされても困る。 現にこんなのが前にもあったからな。
思わぬ地雷を回避し、当初の予定通り洋菓子を見つけると
とりあえず、コーヒを今いる人数分入れ部屋へと行った。
「おまたせ…。 って、早っ!?」
部屋を開けると、まさかの勉強態勢であった。
笑顔で数学の解説をする音姫とそれを真剣に聞く朱希奈。
音姫はもちろん、真剣に勉強している朱希奈も絵になるなぁ…。
なんか、俺急に入っちゃいけないような気が……。
「で、ここにXを代入してね。 その後計算して……。」
「あ、なるほど。 やっとわかりました」
「はい、お疲れ。 コーヒーとお菓子な」
待つこと3分。 ようやく解説が終わったのか二人ともこちらに向き直る。
「ありがと、星」
「ありがとう。 いっくん」
「いえいえ。 で、さっきは何で悩んでたんだ?」
配り終えて、俺も座る。
「いや、ちょっとね。 応用っていうか文章問題がどうしても解けなくて…」
「でも、朱希ちゃんすごく飲み込み早くて、教えてるこっちも楽だったよ~」
やはり、コイツらいいコンビだなぁ……。
「そういえば、姉と海さんは?」
「刹那は空手部で3時以降に来る。 ヤツは知らん」
俺より早く帰ったはずだがまだきていないという事は
どこかで道草をくっているのであろう。
そんなことを思っていると、チャイムが鳴った。
いや、都合がよすぎるだろう。
とりあえず、階段を下りて
玄関まで行く。
「おい、遅いぞ、海里…。 って」
「やぁ! 一星。 ちょっと買いすぎた」
待っていた海里は参考書の山の中にいた。
海里が教える分野である文系の他にも、理系や
特別科目などなど。 どんだけ勉強する気満々なんだよ……。
「お前、勉強なんかしなくてもいいって言ってなかったか?」
「いや~、ね。 俺は別にいいんだけどどうしても成績を上げたい奴が
いるからねぇ…。」
意味深にため息をつく海里から疑問は消えないがとりあえず半分持つ。
海里は参考書を俺の部屋までまで無事運び終わると、
結構へばっていた。
「いやぁ~…。 疲れる」
「海さん、次のテスト。 かけてるの?」
「いや、琴吹のだよ。 琴吹の」
「あ~……、 姉…、ね」
朱希奈は目をそらしながら明後日の方向を向いている。
この視線から察するに姉妹間での勉強会は終わったと思われる。
結果は聞かずとも手に取るように分かるが……。
「姉は、勉強の才能がないとか、努力で何とか~とか、
そういう領域じゃないからねぇ……」
「え? 刹那さん。 そんなに頭悪いの?」
「そうだな、音姫。 レベル1の勇者が魔王に挑むくらいには…。
無謀かつヒドイな。」
「そ、そんなに……?」
苦笑している音姫以外全員、笑えなかった。
朱希奈なんて音姫に合わせて苦笑しているところが
気遣いといえば、気遣いであろう。
まぁ、俺と海里はそれすらできないのだが…。
「ま、まぁ。 琴吹は今回いい点数取れば全然まだ大丈夫だ!」
「そ、そうだよね! 海さん!!!」
「そうそう! じゃあ、刹那の対策を皆でたてようか!!!!」
全軍刹那保護体制&救済体制にかかる。
俺は理系を中心に。 海里は文系を中心に。
音姫には、特別科目(副教科)を中心として。
朱希奈は参考書を使って問題を作る担当に分かれて、
残り1時間30分を使った。
「おじゃましま~す」
「おー…、刹那。 お、おかえりぃ」
「い、一星!? なんで、そんなボロボロ…。 というか皆まで!?」
「姉……。 早く椅子に座れ…」
「あ、朱希!?」
ゾンビのように刹那の足をガシッっと掴むと、そのまま下げる。
って、マテマテマテ!!!!!!!!!!!!!
「ん? あれ? スカートだけ? 姉は?」
我に帰る朱希奈の手に残ったのはスカート。
「「「…………………」」」
先ほどまで朱希奈と共にゾンビ化をしていた(?)
俺、海里、音姫は絶句するしかなかった……。
というか、唖然? 驚愕?
どっちでもいいけど………………。
「き、き……」
「あ、ちょ、せ、せせ刹那。 と、とりあえず。落ち着け! なっ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――!!!!!!!!!!」
………………………。
「「「「ごめんなさい」」」」
ただいま、4人で土下座中。
音姫がなぜ一緒に土下座しているのかはわからないが
まぁ、アレを下げてしまった朱希奈と男子達には少なくとも
こうして謝るのが最低義務であるからして………。
「ふんっ!」
ああ、ご機嫌斜めだ。
「っというか、姉。 スパッツはどうしたのさ。 スパッツは」
謝罪中だが、いつもと違う事に講義を申す朱希奈。
「あれは、学校だけ! まさか、ひざ丈くらいのスカートの中身が
みられるとは思ってないからね!!!!!」
「も、申し訳ございません…」
ごもっともである。 高校では膝より上のスカートが一般なので
スパッツを着用している女子は少なくないらしい(刹那談)
そして、今回はひざ丈以上のロングスカートなのだ。
それをみられる…。 まして、脱がされるなんて誰も想像がつかんだろう。
「せ、刹那さん……。 意外に………」
「ちょ、ちょっと!!!! 言わないでよ!!!! いろんな意味でヤバいから!!!!」
音姫が何か言おうとしたのを必死で止める刹那。
うん、でも別に何とも思わなかったし…。 もう、いいんじゃないか?
「刹那、もうやめておけよ。 皆お前のためにテスト対策してたんだし
それに、反省してるし。 俺たちは見ても全然気にならなかったし。」
「あ………」と、朱希奈。
「おい……」と、海里。
「それは…」と、音姫。
「………………へ?」と、最後に状況がわからないマヌケな俺の不抜けた声。
「一星…。 そ、それはどういう意味よ…!!!!」
え、あれ? え、なんで? なんで刹那が怒ってるんだよ。
そして、なんだよ。 お前ら。
なんで、頭抱えてるんだよ、朱希奈。
なんで、そんな殺意のこもった目してるんだよ、海里。
最後に、やめてくれ。 音姫。 その苦笑は死亡フラグっぽいから!!!
「帰るっ!!!!!!!!!!!!」
ドン! と、扉を開けてドスドスと帰ってしまった……。
「「「「……………。」」」」
4人とも何が何やらわからないまま、刹那のご帰宅を許してしまった。
「え、えっと……」
「ん、ん~………」
「まぁ、なんだ………」
「結果的に……」
「「「一星(星)(いっくん)が悪い!」」」
「え? え? え―――――――――!?」
な、なんでだ!?
ちなみに、上から、俺、音姫、海里、朱希奈だ。
っというか……。
「な、なぜ?」
「お前、今のは傷つくよ」
「そうだよ、星。 女の子は傷つきやすいんだよ」
「いっくん、乙女心って知ってる?」
なに、この言われよう…。
音姫まで参加しないでくれ…。
「いやいや! え? 今の俺が悪いの?」
「「「いいからさっさと(早く)追いかけて来い(来て)!」
「は、はい!」
皆に部屋から追い出され、一瞬呆然としてしまったが、
意を決して刹那を追いかけることにした。
ああ、こりゃ、2、3発覚悟しといたほうがよいかもしれないなぁ……。
追いかける=走る
なのだが、どうも足取りは重くなるばかりだった。
執筆再開!
ということで連続投稿でした!