1ノット
「ちょうどいい機会だし原理とか詳しく教える。なんせ俺たちが目指してる『ラフェンレ艦騎士学園』へは快速船でも……」
「「10ヶ月もかかる……」」
指し合わせたわけではなかったが同時に同じ言葉を言った
今回乗船している快速船はシュペー家の予算の関係から居住性や自衛武装を犠牲に速力があるものになったのだがそれでも10ノット(この世界の1ノットは毎時1852㎞)スイングバイを使っての速度で実際は5ノットも出ない
「そもそもラフェンレ艦騎士学園がある第11惑星が遠すぎるのよ最接近しても1333万㎞とか理不尽だわ」
「俺の記憶を見てるからわかるだろうがこっちは相当恵まれてるだろシュテルン・シュトラールを通れば各惑星の重力で効率よく加速できて第27惑星から第11惑星までたった十ヶ月とおもえば」
実際火星と地球の距離は限界まで近づいても6000万㎞が限界それに対しこの世界の星の間は第1惑星から第10惑星までは大体一律1万㎞、そこから少し離れて周回している第11惑星から第20惑星も2万㎞程度
田舎といえる第21惑星から第40惑星でも4万㎞ぐらい速度だけを考えれば帆船で地球一周するよりも短い期間で辿り着ける。推進力がジェットではなく圧縮した水蒸気ってのも驚きではあったが
「まぁたしかにそうだけど……退屈なのよ。外は基本遠くに星が見えるだけだし」
たしかに動き回りたい年頃としては退屈で仕方ないか
「少しは我慢を……と言いたいところだがわからなくもない。ただお嬢様、俺たちはこの狭い船内以外にも場所を持ってるだろ?」
金属製の体を左右に動かしながら俺はそう言う
エーリアもすぐに合点がいったようだ
「あったわね精神世界が。なら寝る準備をしないとそこらへんで倒れるわけにはいかないしね」
そう言うとエーリアは予め積み込まれていた洋服からお気に入りの寝間着を取り出すといそいそと着替えるとベットに体を固定した
船内は重力がないためベットに体を固定する必要があるのだ
「先に行っているわ。おやすみなさい」
そう言うとすぐにスース―と微かな寝息が聞こえて来た
「俺も早めに行くか。あまり待たせるとお嬢様がしかめっ面で出迎えてくれるからな」
体の斜め下に雷魔法を展開する
俺の体を動かしているのは魔力であり移動のさいは進みたい方向に向けて微弱な放電をすることで空気中の魔力に引力を持たせている
反応によって周囲の魔力光の尾を引きながら音もなくテーブルに着地した俺は足に常時放電がされるようにすると本来の器であるエーリアの体に意識を移しそこから精神世界へ意識を飛ばした




