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旅立ち

「長旅だろうけど体に気を付けていくのよエーリア」


トーリアは心配そうに顔をゆがめた。


「大丈夫よお母様、私だってもうすぐ成人。艦騎士になるために今まで頑張ってきたんだからこのくらいの辛抱なんて平気よ。それにこの子もいるわ」


母の心配に思う霧を吹き飛ばすかのように微笑んだエーリアは自分の右上に浮遊している物体を見た。


「確かにそうわね。ただ不思議なものだわ1度失敗した召喚の儀式をエーリアがもう1回行ったら召喚されたんだもの普通だったらあり得ないことだわ。もちろん艦騎士になるなら使い魔がいないと話にならないのだから喜ばしいことなのだけど……エーリア、私にはそれがとても使い魔に見えないわ他の人の使い魔と比べてその……なんというか……独特だわ……」


トーリアの発した言葉は驚きと我が子への誇りに満ち溢れていたが最後の言葉だけは違っていた。言葉を濁してはいるがその独特の中に含まれているのは『異様』『奇怪』であろうことをエーリアはよく理解していた。


「確かに独特ではあるわただ今のところ問題もないし問題ないわ。しっかり使役出来てる。心配しなくてもいいわ」


「確かにそうね……それにしてもトーラスったら娘が艦騎士になるために旅立つのにどこで油を売っているのかしら」


トーラスは今この場にいない夫のことを考えため息をついた。


「仕方ないわお母様。何処かできっと領民のために働いているのよ。そんなお父様が私は好きなのよ責めないであげて。お母様が見送りに来てくれただけでも私は満足だわ」


そう言ったエーリアの後ろからくぐもった重低音が響いた。


「親子水入らずのところ失礼しますお嬢様、そろそろ行かなければ学園の入学試験に間に合わなくなるかもしれません」


後ろからオットーの優しげな声がかかった。


「もうそんな時間なのね……エーリアあなたは私たちシュペー家の……いや第27惑星の誇りだわ自分を信じて立派な艦騎士になるのよ」


そう言ったトーリアはエーリアを抱擁した。


「わかっているわお母様シュペー家の名に恥じぬように頑張ります」


時間にして3秒、客観的には短いが親子にはたったそれだけで十分だった。


「行ってきますお母様。よろしく御願いするわオッt」


「待ってくれ!」


張りのある堂々とした声が響いた。


「お父様!?どうしてここに」


走り寄ってきたのはトーラスだった。


「街の鍛冶屋に……頼んでいた物が……ギリギリ……完成して……エーリアに……渡さないと……いけないものが……あってな……」


肩で息をしながらトーラスが差し出したのは2振りの細身な剣。


「今までくたびれたものしか扱わせてやれなかったからな。大奮発して打ってもらったんだ、頑張って来いよ」


「お父様ありがとう。絶対に立派な艦騎士になるわ」


別れを告げるとエーリアはオットーに連れられて学園行きの快速船に乗り込んだ。


「行ってらっしゃいませお嬢様。私達、私兵団も応援しております」


快速船にエーリアが乗り込んだことを確認したオットーは1言言うと扉を閉めた。


オットーが下がると快速船はその名に恥じない速度で第27惑星を離れていく。


「これで良かったのか?時間がないとは言ってもトーラスにもう少し言う時間はあったと思うが」


俺はもう戻れないことはわかっていても反射的に言ってしまう。


「……いいのよあれ以上いたらうじうじしてなにもできなさそうだもの」


「……まそれなら全然いいんだがな」


「あなたもいいの?元に戻れることは知っているけど危険すぎない?自分の意識をただの金属製のファルケに移しっちゃって」


エーリアが心配するのも当然、今の俺の意識はトーリアに独特と言われた使い魔……もとい俺が作った隼型の精巧な模型の中にあるのだから。


「そもそも意識を移す魔法なんて存在しないから俺が1から作ってるしまだ安全かどうかは微妙なところだが使い魔がいないと色々不都合だろ?」


エーリアの体にいつ敵対するかわからない人間の意識を宿し続けるのはエーリアにとって不安であるだろうと考えた俺は魔法に関する資料を昼夜問わず読みまくり自作の魔法……『精神系魔法』を作り出した。そのおかげでエーリアの体から意識を切り離せるようになり艦騎士になるには使い魔がいないといけないということでついでにエーリアが貰える小遣いを使わせてもらって模型を作りその中に意識を移した。

現在はその精神系魔法を応用してエーリアの体と模型とをケーブルのような通路を作ることで必要なときにはエーリアと交代出来るようにしている。


「私が寝ているときによくそんな魔法と模型を作ったものよね。模型自体に発声器官はないのに普通に会話できるし推進器がないのに宙を動き回れる……教えてもらったけど大体しか分からなかったわ」


備え付けの椅子に座ったエーリアは底面を光らせながら浮遊する俺の体を見ながら嘆息した。


「簡単に言えばテレパシーってやつだ。俺とエーリアの意識を繋げて俺が普通通りにしゃべっているだけ精神世界の上位版みたいなやつだな。なんならそっちも口に出さなくても俺には聞こえるぞ」


エーリアがよく分からないのは単純に俺が説明しきれてないだけで基本的な原理はしっかり理解している。


エーリアもやろうと思えばこの模型の体に意識を移せる。


ただ安全面に不安があるため今のところはやらせるつもりはないが。

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