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物語はやっと始まる

クイッっとあおった液体は見た目や香りは透明な臙脂色でいかにも紅茶なのだがとても不思議な味がした。


「へぇ不思議な飲み物だな。見た目紅茶なのにアップルジュースみたいな甘酸っぱい味がする」

俺が驚きの声をあげるとエーリアは小さくニヤッと自慢げに笑った。


「なかなかいいでしょ第27惑星の茶畑で独自の品種改良をされた茶葉よ。この星でしか作られてないからとても貴重なのよ」


そう言ったエーリアは自分も一口飲んだ。


「エーリア、この茶葉がここでしか作られていないならそれを売れば財政難を防げるんじゃないのか……いやそんな話こんな幼い子に言ってもよくわからないか」


財政難の打開策がふと頭に浮かんでエーリアに尋ねようとしたがエーリアはまだ幼いことを話してる途中に思い出して止めた。


ただやはりこの飲み物は意外性もあるはずで売ればそこそこ需要があるはずだしかも供給が少ないから単価も上がっていいはず……


「あなた……さっき()()()()て言った?」


やけに低いエーリアの声が聞こえて我に返るとエーリアのカップを掴む指先が白くなっている。


「え?言ったけど……エーリアって12にも届いてないんじゃないのか?」


言った瞬間周りの風景がひび割れ崩れ去り俺とエーリアは空中に浮遊した。


「なんだ!?」


だが驚いたも束の間風景はコマ戻しのような動きをしながら元に戻った。


「照本、これでも私は15なのよ多少の政治ならわかるわ」


眉にしわを寄せながらエーリアは不愉快そうに言う。


その不愉快さを表すかのようにエーリアの周囲の空間が揺らめいている。


「いけないわね精神世界を危うく壊すところだったわ。もしここを壊したら消滅するのにね。私」


自虐気味に笑ってはいるが幼いと言われたのがよほどショックだったようで若干周りにひびが入り始めている。


「じゃじゃあこのお茶を売らないんだ?これだけ美味しくてインパクトのあるものだったら絶対にうれるだろ?」


エーリアに消滅されてはたまったものではない話をシフトさせるべく茶葉のことを喋る。


「……それは保存できる期間が少ないからよ一番近い第26惑星まで行くのにも7日はかかるその間に茶葉は腐ってしまうわ。冷蔵庫に入れてもダメ。季節に関係なく一年中採れるから売るだけの量はあるのに惑星内でしか飲めないのは本当にもったいないわ……ただここにちょうどよさそうな、この世界の船に大改革を与える人材がいるわね」


残念そうに首を振ったエーリアはそう言うと無邪気に笑う。


「まそれはもちろん言われなくてもやるつもりだ。ここの船はあまりにも弱すぎる。記憶見てるからわかるだろうがあのレベルは艦艇と言えるレベルじゃない」


倒してはいたがこの世界の艦艇は常にあの触手だらけの魔物に自由に動き回られ搭載している砲はほとんど撃っていなかったうえに撃っても見当違いの方向に飛んでいく。よく一隻もやられなかったものだと言いたくなる悲惨なものだ。


「そうよね砲は一度撃ったら一度分解してからだし撃った反動で船体は宇宙空間じゃなければ転覆してるしであなたの世界の艦艇と比べると酷すぎるわ。ならやることは1つしかないわよね」


いつのまにやら割れていたカップを指パッチン一つで消し新しいカップを出したエーリアは苦笑いしながら言う。


「ああそうだなただいいのか?他にやりたいこととかはないのか?」


不安になってきく。

「そんなことなら別にないわ。毎日特に目標もなく過ごしていただけだからそれにあなたの記憶の中の艦艇を見て未熟さがわかったもの」


エーリアは俺の不安をよそにさらりと言った。


「だから2人で作り上げるのよ第30級魔獣なんて一撃で倒せるような艦艇をね。まずは艦騎士になることね。多分死ぬまでの付き合いになると思うけどよろしく、照本」


手早くまとめたエーリアは言い終わると黙って右手を差し伸べた。


「まエーリアがいいなら俺は特にいうことないしな。よろしくエーリア」


「お・じょ・う・さ・ま、だ!」


「はいはい、お嬢様」


わいのわいの言い合いながら俺も右手を差し伸べ握手をした。

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