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長かった1日

「……なるほど。これでようやく分かったわ」


 ホッとため息をついてエーリアは呟く。


「な、何がですか?」


 相変わらずオドオドとした表情で少女は聞き返す。


「私と相部屋の人があなただって事がね!」


 キメ顔でそう叫んだエーリア。


 当たり前だ!他にどういう事があるんだよ!


 俺はそんな何処か抜けたエーリアに心の内でツッコミを入れるのであった。


「はぁ〜お風呂も気持ちよかったしご飯も格別だったわ」


 満足げな表情で部屋の扉を開けたエーリアその足でベットに飛び込む。


「幸せ〜このままぐっすり寝てしまいたいわ……」


 枕に顔を埋めそうエーリアは満ち足りた声で言う。


「お、お嬢様。せめて寝間着を着て寝ましょう……」


 あの後先に風呂から上がり食事の時に合流し一足先に部屋に戻った少女がエーリアの肩を控えめに揺さぶりながら言う。


「ああ……そうだったわね。よっこらしょっと」


 あの一瞬でもう眠りかけていたエーリアは眠そうに目を擦りながら立ち上がる。


「ん……そう言えばまだ名前を聞いていなかったわ。これから同じ部屋で生活するんだから聞いておきたいわ。とりあえず私から名乗らないとね。私はエーリア・フォン・シュペー。星付き城伯(ビーツグラーフ)の爵位を持つ第27惑星領主のトーラス・フォン・シュペーの一人娘だわ。貴族だからって気負わずに気軽にエーリアと呼んでほしいわ」


 寝間着に着替えたエーリアはベットにポスンと座ると特に自慢するような口調でもなんでもなくサラッとそう言い「あなたは?」と尋ねるような目を少女に向ける。


「わ、私はファルシュ・シュピーゲル……です第14惑星出身……も、もちろん北側です。ただシッフメンシュの家系ではなくて……それどころか私は捨て子のようで……3年前私を見つけてくれた町はずれの小さな店で靴屋を営んでいた老夫婦に育てて貰っていました……」


 エーリアに促されて自己紹介をした少女改めファルシュはそう言うと俯いた。


「……そう。親切な人に拾ってもらえて良かったわね。という事はラフェンレ艦騎士学園に来た理由は恩返してのもあるでしょうけどやはりお金がかからないからかしら?」


 ラフェンレ艦騎士学園は国営で試験に合格して入学することさえ出来れば制服代や食事代、その他諸々が免除されているのだ。


「はい。私に隠していたのでしょうけど生活は当然私が来る前より苦しくなったでしょうし私もその頃15歳でしたので微力ながら手伝ってはいたんですが……それに私自身ここで学びたいと思っていたんです。やりたいこと……やらなきゃいけないことを見つけたので」


 弱々しいが目にしっかりと決意を漲らせたファルシュはエーリアの目をしっかり見ながら答えた。


「確かに生活は苦しくなるでしょうね……それでもしっかり育ててくれたのね。その夫婦の為にも頑張らなくっちゃね。とりあえず困った事があったら私とかに全然言って没落してるとはいえシュペー家は貴族よ。同室の子も守れないなんてことはしたくないわ」


「私もお嬢……エーリアさんの手を煩わせないようにしたいと思います」


「もう、さっきも言ったけど気負わなくて良いのよ。気楽にいきなさい。そうしないなら……またお腹くすぐるわよ?」


 手をわきわきと握ったり開いたりしながらエーリアは笑う。


「えーと……はい!」


「ほら!笑顔よ!せっかく可愛い顔しているんだから!」


 ぷにぷにとファルシュの頬を触りながらエーリアは無邪気に笑う。


「ひ、ひふぁいれふ〜ふにふにしないでくだふぁい〜」


 そう抗議するファルシュの雰囲気もエーリアの貴族らしからぬフレンドリー?な物腰で幾分和らいだように見える。


「ふぁ〜 あ、そうだエーリアさん、明日は上級部から私とエーリアさんを教えてくださる先輩方が来るらしいですよ。どんな人達か楽しみですね」


 ようやくエーリアの手から脱したファルシュは頬をさすりながら言う。


「ええ、そうね。どんな人達なのかしら……まぁそれは明日のお楽しみね。今日は明日の為に早く寝ましょう。寝坊したらソフィーアさんに怒られるわ」


 そう言いながらエーリアは部屋の照明を落とす。


「お休み、ファルシュこれからも仲良くしましょう」


「はい、エーリアさん」


 そうしてドタバタだった1日は終わったのであった。

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